概要
プレイヤーとして何度かクトゥルフ神話TRPGを遊ぶと、次第に「今度は自分が進行役(キーパー、KP)をやってみたい」と思う瞬間が訪れます。キーパーは物語の進行・NPCの演技・ルール裁定をすべて担う分、負担も大きく感じられますが、実際には「完璧に準備する」必要はありません。このページでは、初めてキーパーを務める人が最低限押さえておきたいポイントを整理します。
シナリオ選びの基準
初めてのキーパー体験は、シナリオ選びで九割方決まると言っても過言ではありません。
- 「初心者キーパー向け」「導入向け」と明記されたものを選ぶ——手がかりの提示が明快で、進行の分岐が少ないシナリオほど、初めてでも回しやすくなります
- 短時間で完結するものを選ぶ——長編キャンペーンより、1回(3〜4時間程度)で完結するシナリオのほうが、全体の流れを把握しやすく、途中で迷子になりにくいです
- 既に自分がプレイヤーとして体験したシナリオは避ける——先の展開を知っていると無意識に誘導してしまいがちなので、初回は未体験のシナリオを選ぶのが無難です
- NPCの人数が少なく、舞台がシンプルなものを選ぶ——広大なマップや大人数のNPCを一度に捌くのは負担が大きいため、最初は小規模な舞台のシナリオが向いています
NPCの演じ方——「役者」になりきる必要はない
初めてのキーパーが身構えがちなのが「NPCをうまく演じられるだろうか」という不安です。しかし、NPCの演技に高い演技力は必要ありません。
- 声色を変える必要はなく、「この人物はこういう性格・立場である」という一言をプレイヤーに伝えるだけでも十分に機能します
- NPCの発言に詰まったら、シナリオのテキストをそのまま読み上げても構いません。無理にアドリブを増やそうとしなくて大丈夫です
- 重要なのは「探索者に必要な情報がきちんと伝わること」であり、演技の巧拙よりも情報伝達の正確さを優先しましょう
探索者の行動への対応——「想定外」は怖くない
キーパーの最大の不安は、プレイヤーがシナリオ作者の想定していない行動を取ったときにどう対応するか、という点です。
- 一度立ち止まって考えてよい——即答する必要はありません。「少し考えます」と伝えて数十秒〜数分考える時間を取っても、進行に支障はありません
- 判定の結果は柔軟に裁定してよい——シナリオに書かれていない状況が起きたら、シナリオの意図(何を伝えたいシーンか)に立ち返って、その場で妥当な結果を決めてよいとされています
- 詰みそうになったら手がかりを追加してよい——探索者たちが手詰まりになった場合、キーパー判断でヒントとなるNPCの一言や新たな手がかりを追加することは、シナリオの原作者の意図を尊重した上での正当な裁定です
当日までの準備
- シナリオを最低2回は通読する——1回目は物語の全体像をつかむため、2回目はNPCの台詞・手がかりの提示条件・SAN値の増減表など、実際の進行に必要な情報を確認するために読みます
- NPCの名前・立場を簡単なメモにまとめておく——本番中にシナリオ本文を探し直す手間を減らせます
- ダイス・キャラクターシートなど必要な道具を確認する——オンラインセッションの場合は、使用するツール(ダイスボット・ビデオ通話・共有画面等)の動作確認も忘れずに
- プレイ時間の見積もりを共有しておく——初めてのキーパーは進行に慣れておらず、想定より時間がかかることも多いため、余裕を持ったスケジュールを組んでおくと安心です
まずは一度、回してみる
キーパーの経験は、実際に一度シナリオを回してみることでしか身につきません。多少の進行のぎこちなさや裁定の迷いがあっても、プレイヤー側も温かく受け止めてくれることがほとんどです。完璧な進行を目指すのではなく、まずは一度、探索者たちを物語に導いてみることから始めましょう。

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