CRADLE 揺籃の刻 1890–1918
1890

CHRONICLE OF THE ABYSS

作品史・年表

1890年、無名の男が生まれた。彼が遺した宇宙は、いまも広がり続けている。
スクロールせよ。時の断片が浮かんでは消え、深淵の神々が水底より立ちのぼる。

SCROLL ― 深淵へ
1890 生涯

揺籃 ― 深淵、生まれる

8月20日、ロードアイランド州プロヴィデンスにハワード・フィリップス・ラヴクラフト誕生。20世紀ホラーを根底から書き換える男は、まだ誰にも知られていない。

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1901 世界史

ヴィクトリア女王崩御

19世紀が幕を閉じる。理性と進歩を信じた旧世界の黄昏。少年ラヴクラフト、11歳。

1908 生涯

学窓を去る

病弱を理由に高校を中退。学位を得られぬまま、独学で天文学・化学・古典に沈潜する。宇宙の広大と人間の卑小を、彼はまず星に学んだ。

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1914 世界史

第一次世界大戦

全欧が塹壕の泥に沈む。文明が自らを引き裂くさまは、やがて彼が描く「宇宙的恐怖」の下地となった。

1917 作品

「ダゴン」

ラヴクラフトが深海より現れる異形を描いた初期作を発表。海の底に眠る巨大な神性という主題が、ここに芽吹く。

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1918 作品

「ネメシス」

ラヴクラフトが無韻詩「ネメシス」を執筆。永劫の刑罰と宇宙の無情を歌う、初期詩篇の代表作。

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1918 作品

「ポラリス」

ラヴクラフトが夢と現の境界を漂う詩的短編「ポラリス」を発表。後年の『プナコティック・マニュスクリプト』の初出ともなる一篇。

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1919 作品

「白い船」

ラヴクラフトが幻想的な寓意譚「白い船」を発表。玄武岩の柱を越えた先にある理想郷を描く、初期の夢の国物語。

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1919 作品

「眠りの壁の彼方」

ラヴクラフトが「眠りの壁の彼方」を発表。貧しい山男が眠りの中で異星の意識と交信する、宇宙的な広がりを見せ始める初期作。

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1919 生涯

母、病院へ

母スーザンが精神を病み入院。孤独と喪失が、彼の筆をいっそう暗い淵へと導く。

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1920 作品

「ナイアルラトホテップ」

ラヴクラフトが散文詩「ナイアルラトホテップ」を発表。這い寄る混沌、千の仮面を持つ使者が神話の闇に姿を現す。

1920 作品

「ランドルフ・カーターの陳述」

ラヴクラフトが「ランドルフ・カーターの陳述」を執筆。友を失った男が語る、地下墓地からの恐るべき通信。以後長く続くカーター物語群の端緒。

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1921 作品

「名もなき都市」

ラヴクラフトが「名もなき都市」を執筆。アラビアの砂漠に眠る、人類以前の爬虫類種族の廃都。「死せるにあらざるものは永劫に横たわる」の一節がここに刻まれる。

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1921 作品

「樹」

ラヴクラフトが古代ギリシアを舞台にした復讐譚「樹」を執筆。彫刻家兄弟の確執が、一本のオリーブの樹に結実する。

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1922 作品

「ハーバート・ウェスト―死体蘇生者」

ラヴクラフトが死者を蘇らせる医学生の物語「ハーバート・ウェスト―死体蘇生者」を発表。ミスカトニック大学とアーカムが、初めて神話の舞台として姿を現す。

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1922 作品

「セレファイス」

ラヴクラフトが「セレファイス」を執筆。夢の中でのみ辿り着ける黄金の都。現実に絶望した男が、永遠に夢の国へと旅立つ。

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1923 神話

『ウィアード・テイルズ』創刊

安価な紙に刷られたパルプ雑誌が創刊。この一誌がラヴクラフトとクトゥルフ神話の揺籃となり、作家たちの相互交流を可能にした。

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1923 作品

「ヒュプノス」

ラヴクラフトが「ヒュプノス」を執筆。夢による意識の探求と、その代償を描く一篇。彫刻家である語り手と、謎めいた友人の結末。

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1923 作品

「潜み棲む恐怖」

ラヴクラフトが「潜み棲む恐怖」を発表。キャッツキル山中の廃屋敷に潜む、地底の一族。退行と近親婚がもたらす恐るべき末路。

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1924 作品

「壁のなかの鼠」

ラヴクラフトが「壁のなかの鼠」を執筆。一族の館の地下に眠る太古の秘密。祖先の罪と、血に刻まれた退行の恐怖。

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1925 作品

「祭り」

ラヴクラフトが「祭り」を執筆。雪の夜、キングスポートの地下で行われる先祖の集い。『ネクロノミコン』が作中に初めて姿を現す。

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1925 作品

「神殿」

ラヴクラフトが「神殿」を執筆。第一次大戦下のUボート艦長が海底で目にする、太古の水没都市。海洋的恐怖の先駆的作品。

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1926 作品

「クトゥルフの呼び声」執筆

ラヴクラフトがこの夏「クトゥルフの呼び声」を執筆。後の神話の礎石が置かれた。太平洋の底、死せる都市ルルイエに眠る大いなるクトゥルフ。発表は1928年、『ウィアード・テイルズ』2月号。

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1926 作品

「アウトサイダー」

ラヴクラフトが「アウトサイダー」を執筆。孤独な語り手が辿り着く、鏡に映る自らの真の姿。彼自身が最も自伝的とみなした一篇。

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1927 作品

「宇宙からの色」

隕石とともに落ちた「色」が土と生命を蝕む。ラヴクラフト自身が最も気に入った、名状しがたい侵蝕の物語。

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1927 作品

「ピックマンのモデル」

ラヴクラフトが「ピックマンのモデル」を執筆。ボストンの地下に潜む画家の秘密。芸術と実在する怪異の境界を問う怪奇譚。

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1927 作品

「レッド・フックの恐怖」

ラヴクラフトが「レッド・フックの恐怖」を執筆。ブルックリンの移民街に潜む悪魔崇拝結社。都市の暗部そのものを恐怖の源泉とする異色作。

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1928 作品

「ダニッチの怪」

ラヴクラフトが「ダニッチの怪」を執筆。ヨグ=ソトースの落とし子が丘に現れる。門にして鍵たる、内と外の境で待つ神性の恐怖。

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1928 作品

「忌み家」

ラヴクラフトが「忌み家」を執筆。一族に取り憑く正体不明の「何か」。吸血する土地そのものという、独創的な恐怖の造形。

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1929 作品

「イグの呪い」

ゼリア・ビショップ名義の代作。蛇神イグの呪いを受けた開拓者一族の悲劇。

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1929 作品

「銀の鍵」

ラヴクラフトが「銀の鍵」を執筆。夢と現実を繋ぐ鍵を失った男、ランドルフ・カーターの彷徨。

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1929 世界史

世界恐慌

ウォール街大暴落。世界が経済の底なし沼へ沈む。ラヴクラフトの困窮もまた深まっていく。

1930 作品

「闇に囁くもの」

ラヴクラフトが「闇に囁くもの」を執筆。ヴァーモントの丘に潜む菌類生物ミ=ゴ、そして遥かユゴスからの声。宇宙的な陰謀を描く(発表1931)。

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1931 作品

「狂気の山脈にて」

ラヴクラフトが「狂気の山脈にて」を執筆。南極の氷の下に眠る〈古のもの〉と、粘液の奴隷ショゴス。人類以前の地球史を暴く長編(発表1936)。

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1930 神話

「夜の王たち」

ロバート・E・ハワードの英雄クル・ソード王シリーズ。文通を通じ、彼の史劇世界も神話の周縁と交わっていく。

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1931 作品

「バル=サゴスの神々」

ハワードとの合作。失われた大陸バル=サゴスに眠る、盲目の神ゴル=ゴロス。

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1932 神話

剣と魔法、神話に加わる

ロバート・E・ハワードが英雄コナンを世に放つ。文通を通じて彼は神話に『無名祭祀書』をもたらした。

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1932 作品

「石の男」

ヘイゼル・ヒールド名義の代作。『エイボンの書』の秘薬とシュブ=ニグラス、ツァトゥグァへの祈り。

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1932 神話

ロイガーとザー、神話に加わる

ダーレスとショーラーの合作「星の落とし子の棲み家」。後継作家による拡張神話の初期の実例。

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1933 作品

「魔女の家の夢」

ラヴクラフトが「魔女の家の夢」を執筆。非ユークリッド幾何学と魔女、そして万物の中心で盲目に蠢く玉座のアザトース。数学と魔術が交わる悪夢。

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1933 作品

「博物館の恐怖」

ヘイゼル・ヒールド名義の代作。ユゴスより来たりし両生の神格ラーン=テゴスが、蝋人形館に潜む。

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1933 世界史

ヒトラー、政権を掌握

ドイツで独裁が始まる。現実の世界もまた、静かに狂気へと傾いていく。

1934 作品

「屍神」

ヘイゼル・ヒールド名義の代作。死者を統べる神モルディッギアンの棲む地下納骨堂。

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1934 作品

「銀の鍵の門を越えて」

E・ホフマン・プライスとの合作。ランドルフ・カーター、ついに銀の鍵の門をくぐる。

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1935 作品

「アフォーゴモンの鎖」

クラーク・アシュトン・スミス代作。時の神アフォーゴモンによる、輪廻を超えた復讐譚。

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1935 作品

「ヴルトゥーム」

クラーク・アシュトン・スミス代作。赤い惑星に眠る太古の神ヴルトゥーム、目覚める。

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1935 作品

「永劫より」

ヘイゼル・ヒールド名義の代作。ムー大陸の遺物と、ミイラと化してなお生きるガタノトア。

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1935 神話

拡張する万神殿 ― ガタノトア

他作家との合作を通じ、神話の神々は増え続ける。ミイラと化してなお生き続ける太古神ガタノトアもこの頃に加わった。

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1936 作品

「時間からの影」/「インスマスの影」

ラヴクラフトが「時間からの影」「インスマスの影」の二大長編を執筆。精神を時を超えて交換する〈イスの偉大なる種族〉。そして海辺の町に潜む深きものども。

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1936 生涯

盟友の死

頻繁に文通していたロバート・E・ハワードが自ら命を絶つ。その報せはラヴクラフトの心に深い傷を残した。

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1936 作品

「暗闇の悪魔」

ラヴクラフトが最後期の傑作「暗闇の悪魔」を執筆。塔に潜む輝くトラペゾヘドロンと、闇より覗く這い寄る混沌の化身。

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1937 作品

「セイラムの恐怖」

ヘンリー・カットナーとの合作。禁じられた儀式の果てに現れる、名状しがたきニョグタ。

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1937 作品

「戸口に現れたもの」

ラヴクラフトが晩年の傑作「戸口に現れたもの」を執筆。精神の乗っ取りと肉体の交換、その果てにある戸口の恐怖。

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1937 生涯

終焉 ― だが物語は続く

3月15日、腸癌のため47歳で死去。生前は無名に近く、栄光を見ることはなかった。しかし彼が遺した宇宙は、ここから広がり始める。

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1938 作品

「アロンゾ・タイパーの日記」

ウィリアム・ラムレイとの合作。古い屋敷の地下に隠された、禁断の書物群と日記の結末。没後発表。

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1939 神話

アーカム・ハウス設立

弟子オーガスト・ダーレスが出版社アーカム・ハウスを創立。師の作品がパルプ誌の中に埋もれ消えるのを防ぎ、書物として後世に残した。

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1939 作品

「邪悪な牧師」/「メデューサの巻き毛」

没後発表の遺稿群。前者は生前ラヴクラフト自ら手を入れた最後期の断片、後者はビショップ名義代作三部作の掉尾。

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1939 世界史

第二次世界大戦

再び世界が戦火に包まれる。現実の破局が、宇宙的恐怖の寓意をいっそう切実なものにした。

1941 作品

「チャールズ・ウォードの症例」出版

1927年にラヴクラフトが執筆した長編が没後ついに発表。先祖の魔術師を蘇らせようとする青年の悲劇。

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1943 作品

「未知なるカダスを夢に求めて」出版

1927年にラヴクラフトが執筆した夢幻長編が没後刊行。ランドルフ・カーターが夢の国を旅する集大成的作品。

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1944 作品

「ファン・ロメロの奇怪な失踪」出版

アリゾナの鉱山を舞台にしたラヴクラフトの初期作が没後発表。地底からの声に導かれ消えた男の記録。

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1945 神話

「クトゥルフ神話」という呼称

ダーレスらが用語と分類を整理していく。作者自身は意識しなかった「体系」が、後継者たちの手で形づくられていく。

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1959 作品

「老いた酔いどれ」出版

1919年にラヴクラフトが執筆した禁酒法諷刺篇が、実に40年を経てアーカム・ハウス版短編集で初刊行。

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1961 神話

詩人スミス、天へ還る

ツァトゥーグアやエイボンを生んだクラーク・アシュトン・スミス没。ラヴクラフト・サークルの巨星が次々と姿を消していく。

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1964 神話

グラーキ、神話に加わる

ラムジー・キャンベルの「湖の住人」。若き後継作家による、拡張神話のさらなる広がり。

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1969 世界史

人類、月へ

アポロ11号、月面着陸。人がついに宇宙へ手を伸ばした年。だが宇宙の広さと暗さは、ラヴクラフトが半世紀前に囁いた通りだった。

1972 神話

学術的再評価

リン・カーターが『ラヴクラフト──クトゥルフ神話の背後にあるもの』を刊行。パルプの徒花は、研究に値する文学へと昇格していく。

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1975 神話

クタニド、神話に加わる

ブライアン・ラムレイ『タイタス・クロウの転身』。クトゥルフと相対する善なる神という新たな系譜。

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1974 日本

日本、神話と出会う

創元推理文庫『ラヴクラフト全集』第一巻が刊行。断片的な紹介の時代を経て、日本における本格的な受容がここに始まる。

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1974 日本

荒俣宏、神話を紹介す

博物学者・翻訳家の荒俣宏が、日本にラヴクラフトとヒロイック・ファンタジーを本格的に紹介していく。

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1981 卓上

『クトゥルフの呼び声』TRPG

ケイオシアム社がテーブルトークRPG『Call of Cthulhu』を刊行。正気度(SAN)システムが、宇宙的恐怖を「遊べる」体験へと変えた。

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1981 卓上

サンディ・ピーターセン

ゲームデザイナー、サンディ・ピーターセンがクトゥルフ神話をゲームへと翻案。後にDOOM等のデザインでも知られる。

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1986 日本

卓上の神話、日本へ

日本語版TRPGが登場。以後クトゥルフ神話は、同人・ゲーム・ネット文化を通じて爆発的に広まっていく。

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1994 神話

『クトゥルー神話事典』刊行

ダニエル・ハームズによる神話事典『The Encyclopedia Cthulhiana』刊行。散逸した設定を体系的に整理する試み。

現在 神話

遍在する神話

ゲーム、映画、漫画、アニメ──クトゥルフ神話はあらゆる媒体に浸透した。無名の作家が遺した宇宙は、いまや世界中の想像力に棲みついている。あなたがいま覗き込む、この書架のように。

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― 年代記は、あなたが読むことで続いていく ―

IV — HISTORY

作品史・年表 ― 全記事

年表

Weird Talesとパルプ雑誌の時代──ラヴクラフトの発表媒体

1923年創刊のパルプ雑誌 Weird Tales は、ラヴクラフトとクトゥルフ神話の搖籃となった。

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年表

「クトゥルフ神話」という呼称の成立と体系化

ラヴクラフト自身は「体系」を意識していなかった。後継者たちが用語を創造し、分類体系を整備していく過程の歴史

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年表

オーガスト・ダーレスとアーカム・ハウス──神話を書物にした出版活動

ラヴクラフトの死後、その作品がパルプ雑誌の中で埋もれ消えることを恐れた弟子ダーレスは、1939年に出版社アーカム・ハウスを設立した。

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時代区分

クトゥルフ神話、解釈の4時代——ラヴクラフト・ダーレス・ゾス神話群・TRPGの境界線

「クトゥルフ神話」は一人の作者が一時期に書き上げたものではなく、ラヴクラフト自身の原典・オーガスト・ダーレスによる体系化・リン・カーターらの…

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年表

クラーク・アシュトン・スミスの生涯と創作

詩人として出発し、後にラヴクラフトとの文通を通じて怪奇小説へ転じたカリフォルニアの異才。

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年表

ブライアン・ラムレイ——邪神に反撃する物語の開拓者

英国陸軍の憲兵として勤務する傍らダーレスに見出され、オカルト探偵タイタス・クロウと『ネクロスコープ』で邪神に反撃する物語を切り開いた英国ホラ…

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年表

ラムジー・キャンベル——セヴァン渓谷から英国ホラーの頂点へ

10代でダーレスに見出され、英国独自の神話舞台セヴァン渓谷を創造し、後に「英国で最も尊敬される現存のホラー作家」と評されるに至った巨匠の生涯…

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年表

ラヴクラフトの生涯と創作活動

1890年の生まれから1937年の死去、そして死後の再評価までの人生と創作活動の軌跡

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年表

ラヴクラフト・サークルと後続作家による神話拡張

クラーク・アシュトン・スミス、ロバート・E・ハワード、ロバート・ブロックら、同時代の作家たちによる共有宇宙の形成と、その後の世代による継承の…

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年表

リン・カーター——神話体系の編纂者

バランタイン・アダルト・ファンタジー叢書の編集者として幻想文学の古典を復興し、ゾス神話群でクトゥルフの眷属を体系化した「神話の編纂者」の生涯…

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年表

ロバート・E・ハワードの生涯と創作

「英雄コナン」を生み、剣と魔法(ソード&ソーサリー)というジャンルを切り拓いたテキサスの作家。

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年表

日本におけるクトゥルフ神話の受容史

1950年代の断片的な翻訳紹介から、1970-80年代の本格的な作品集の刊行、そしてTRPG・同人文化を通じた大衆化まで。

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年表

荒俣宏

中学生でホラー・幻想文学に魅せられ、ラヴクラフトやロバート・E・ハワードの翻訳を手がけた博物学研究家・作家。

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