概要
シカゴの食肉処理場地区、裏路地の酒場「シーハンのプールルーム」が舞台です[1]。安酒と麻薬の匂いが充満するこの店では、密造酒の取引が公然と行われ、常連たちは「西暦一九五〇年のこの世」にあってなお絶えないウイスキーの匂いを、禁じられた果実のように味わっています[1]。この店で床をモップがけし、痰壺を洗って日銭ならぬ酒と麻薬を得ている浮浪者が「オールド・バグズ」です。ふだんは無学な浮浪者そのものですが、酒がまわると時おり長い単語を連ねた演説や、詩の一節らしきものを口走り、常連たちに「昔は物書きか教授だったのでは」と噂されています[1]。彼が肌身離さず持ち歩く、若い女性を写した古い写真も、その過去を思わせる手がかりでした。
そこへ現れるのが、ウィスコンシン州アップルトンの資産家の息子アルフレッド・トレヴァーです。呼び込み役ピート・シュルツに連れられて、初めての酒を試そうとやって来ます[1]。トレヴァーの父カール・トレヴァーは弁護士、母は旧姓エレナー・ウィングの名で知られる詩人でした。名乗りが飛び交ったその瞬間、店のどこかで誰かが歯を食いしばり、鋭く息を呑む音がしたと、後に多くの者が振り返っています[1]。
いよいよライ・ウイスキーが注がれようとしたその刹那、床にうずくまっていたはずのオールド・バグズが跳ね起き、グラスを叩き落とし、モップで酒瓶の載ったトレーごと薙ぎ払います[1]。「そんなことはするな。わしも昔はお前のようだった、そしてそれをやった。今のわしはこの通りだ」――静かにそう告げた老人は、止めに入った店主シーハンに対してもモップを槍のように構えて暴れ、ミルトンばりの荘重な文句をまくし立てながら「飲ませはせん!」と叫び続けます[1]。やがて不意に静まり、背筋を伸ばして「アヴェ、カエサル、モリトゥールス・テ・サルート(カエサルよ、死にゆく者があなたに敬礼する)!」と叫ぶと、そのまま床に倒れ、二度と起き上がりませんでした。
駆けつけた警官の求めに応じ、老人の写真が身元確認のために回覧されます。多くの者が写真の女性の気高さに打たれる中、トレヴァーだけは長く見つめたのち、「知らない」と答えました[1]。しかし本文はここで、トレヴァーが遺体をアップルトンまで引き取ると申し出て終わります――彼の家の書斎の暖炉飾りの上には、寸分違わぬ同じ写真の複製が、生まれてこのかた飾られていたのです。それは、彼自身の母の若き日の肖像に他なりませんでした[1]。
作品情報
- 原題: Old Bugs
- 署名: 本文の副題は「An Extemporaneous Sob Story by Marcus Lollius, Proconsul of Gaul」[1]
- 執筆: 1919年[2]
- 初出: 『The Shuttered Room and Other Pieces』(アーカムハウス、1959年)76–84ページ[3]
- 分量: 約3,000語(公式アーカイブ本文を機械集計)
- 語り: 大半は三人称の報告体で進みますが、途中で「シーハンの常連たちの多くは、あの日のことを忘れないだろうと思う」と語り手自身が一人称で顔を出す箇所があります[1]
- 舞台: シカゴの食肉処理場地区にある酒場「シーハンのプールルーム」。会話の中でのみ言及されるウィスコンシン州アップルトンとローレンス大学
- 主題: 最初の一杯をめぐる転落、そして隠された血縁の露見
登場神格・用語
神話的な神格・存在は登場しません。作中に出てくる人物・場所は次の通りです(本文から)。
- シーハンのプールルーム — シカゴの食肉処理場地区にある、密造酒と麻薬の取引で知られる酒場
- オールド・バグズ — 素性を明かされない浮浪者。モップがけや痰壺洗いをこなし、酒と麻薬を得て生きている
- シーハン — 同店の経営者
- アルフレッド・トレヴァー — ウィスコンシン州アップルトンのローレンス大学に通う青年
- ピート・シュルツ — シーハンの「呼び込み」役。トレヴァーをローレンス大学で見出した
- カール・トレヴァー — アルフレッドの父。弁護士
- エレナー・ウィング — アルフレッドの母。旧姓での作品で名を上げた詩人
- ガルピン — かつてエレナーの婚約者だった若き教授。転落してニューヨークへ移り、消息を絶つ
- コンサル・ヘイスティング — ガルピンと同一人物ではと噂された、舞台・映画向けの仕事をする筆名
- 銀行の使い込みで身を隠す常連客 — オールド・バグズと言葉を交わし、彼の過去を推し量る人物
あらすじ
シーハンのプールルームとオールド・バグズ
裏路地に面したシーハンのプールルームは、コールリッジがケルンで嗅いだような千の悪臭が入り混じり、太陽の浄化を知らない場所です[1]。それでも人気が衰えないのは、安タバコの煙の上に、かつて国中で親しまれ、いまは「政府の慈悲深い布告」によって裏通りへと追いやられたウイスキーの香りが漂っているからでした[1]。「西暦一九五〇年のこの世にあっては、まことに貴重な禁断の果実」――語り手はそう皮肉を添えます[1]。この店で床をモップがけし、グラスや痰壺を洗って暮らす浮浪者が「オールド・バグズ」です。ある夜、口から泡を吹きながらウイスキーとハシシを求めて店に転がり込み、以来居着いて雑用をこなしてきた男でした。
無口で、話すときはたいてい裏社会の隠語ですが、度を越して酔うと長い単語を連ねた演説や、格調高い散文・韻文の一節を口にすることがあり、常連たちは「昔は物書きか教授だったのでは」と噂しています[1]。銀行の使い込みで身を隠している常連客だけは、彼と定期的に言葉を交わし、その口調から同じ見立てを持つに至りました。オールド・バグズの過去を示す唯一の手がかりは、彼が肌身離さず持ち歩く、色あせた一枚の写真です。ティッシュペーパーに包まれたそれを取り出しては、気品ある若い女性の顔を何時間も見つめる姿が、幾度となく目撃されていました[1]。身なりも古めかしく、六フィートを超える長身で猫背、まだら禿げの汚れた白髪、いつも中途半端に伸びた無精髭。かつては恰幅がよかったらしいのに、いまは頬の肉がたるむほど痩せ細っています。
普段は鼻先の一杯のためなら何でもする典型的な「浮浪者」ですが、ごく稀に瞳に生気が宿り、態度に威厳が戻る瞬間がありました。そういうときの彼には皮肉めいた機知があり、周りの者はいつもの蹴りや小突きを控えるほどでした[1]。ただ一つだけ、彼が主人の完璧な奴隷になり損ねている点がありました。初めて酒を飲もうとする若者が店に連れて来られたときの振る舞いです。床から立ち上がり、脅すような言葉で「人生をありのまま見る」道に踏み出そうとする新参者を思いとどまらせようとし、長広舌をふるって恐ろしい真剣さを漂わせます。ただし、その真剣さも長くは続かず、やがて酔いに脳が霞み、また馬鹿笑いを浮かべてモップに戻るのが常でした[1]。
若きアルフレッド・トレヴァーの来訪
そんなシーハンの常連たちが忘れないと語るのが、若きアルフレッド・トレヴァーが来た日のことです[1]。呼び込み役ピート・シュルツが、ウィスコンシン州アップルトンのローレンス大学で見つけた「掘り出し物」でした――裕福で威勢のいい、何でも「とことんやる」青年です。父カール・トレヴァーは著名な弁護士、母は旧姓エレナー・ウィングの名で名を上げた詩人でした。アルフレッド自身も学者肌の詩人でしたが、子供っぽい無責任さゆえにシュルツの格好の獲物になっていました。ローレンス大学の悪ふざけ好きな学生団体では誰よりも派手に騒ぐ一人でしたが、そんな学生じみた放蕩では満足できず、書物で知った「もっと深い悪徳」を、今度は自分の身で確かめたいと望んでいたのです[1]。
その渇望の裏には、家庭での厳しいしつけへの反発もありました。母エレナーは、かつて婚約していた相手の転落を目の当たりにした経験から、一人息子に殊のほか厳格な教育を課していたのです[1]。シュルツが「ボス、友達のアル・トレヴァーを紹介するぜ」と、酔った隠語まじりに店主へ引き合わせると、その口から「トレヴァー」「ローレンス」「アップルトン」という名が次々にこぼれ落ちました。玉突き台の球音や奥から運ばれるグラスの音に紛れて、店のどこかで誰かが歯を食いしばり、鋭く息を吸い込んだように思えた者が少なくなかったといいます。トレヴァー自身は「初めての場所だが、人生を学ぶ者として何事も見逃したくない。こういうものにも詩情がある」と、育ちのよい落ち着いた口調で語りました[1]。
婚約者ガルピンの転落
ここで語り手は時をさかのぼり、母エレナー・ウィングのかつての婚約について語ります[1]。相手はガルピンという青年で、アップルトンきっての俊才として知られ、ウィスコンシン大学で名を上げたのち、二十三歳でアップルトンに戻ってローレンス大学の教授職に就き、街いちばんの才媛エレナーに指輪を贈りました。しばらくは順風でしたが、森の中でひそかに交わした最初の一杯に端を発する悪癖が、若き教授の身に表れ始めます。教え子たちの品行を乱したとして訴追されかねない事態となり、辞職に追い込まれました[1]。婚約は解消され、ガルピンは東部へ渡って出直しを図りますが、ほどなくニューヨーク大学の英文学講師職も不名誉のうちに免ぜられたと、アップルトンの人々の耳に届きます。
その後のガルピンは、図書館と講演台を拠点に文芸に関する著作や講演に力を注ぎ、ヴィヨン、ポー、ヴェルレーヌ、オスカー・ワイルドを弁護する情熱的な講演で、世間もいずれは彼の過去を許すのではと思わせるほどの才を見せました[1]。パーク・アヴェニューの由緒ある家との縁談が取り沙汰されるほどの、つかの間の「小春日和」の後、それまでとは比べものにならない最後の不祥事が彼の再起の望みを打ち砕き、ガルピンは名を捨てて公の場から姿を消します。舞台や映画会社の仕事で評判を取った「コンサル・ヘイスティング」という人物と同一視する噂も一時流れましたが、ヘイスティングもやがて表舞台から消え、ガルピンの名は親が子を戒めるときに引き合いに出すだけの存在となりました。エレナー・ウィングは間もなく新進の弁護士カール・トレヴァーと結婚し、かつての婚約者については、一人息子の名付けと躾の方針を左右する記憶だけを残すことになったのです[1]。
最初の一杯をめぐる乱闘
そうした厳格なしつけにもかかわらず、アルフレッド・トレヴァーはいまシーハンの店内で、初めての一杯を前にしていました[1]。「ウイスキーをくれ、昔ながらのライを!」とトレヴァーは声を弾ませます。「アナクレオンの詩を読むたび、口の中に水がわくんだ――もっとも欲しいのは水よりずっと強いものだが」[1]。銀行の使い込みの常連客が「アナクレオン」を説明し、それとなくトレヴァーの母について水を向けると、トレヴァーは吐き捨てるように答えました。「母は、人生から喜びをすべて奪うような、退屈で説教くさい人さ。旧姓エレナー・ウィングの名で書いている」。まさにこの瞬間、オールド・バグズの手からモップが落ちました[1]。
トレー一杯の酒瓶とグラスが運ばれ、褐色の液体がグラスに注がれます。匂いに顔をしかめながらも、トレヴァーは決意を崩しませんでした。だが、その決意が試される前に、思いがけないことが起こります。それまで床にうずくまっていたオールド・バグズが跳ね起き、掲げられたグラスを叩き落とし、モップで酒瓶の載ったトレーを薙ぎ払ったのです。床に散らばった酒を舐めようとする者もいれば、ただ呆然と見つめる者もいました[1]。老人はトレヴァーの前に真っ直ぐ立ち、穏やかで教養を感じさせる声でこう告げます。「そんなことはするな。わしも昔はお前のようだった、そしてそれをやった。今のわしはこの通りだ」。
トレヴァーが「一体何のつもりだ、この老いぼれが」と怒鳴り、店主シーハンが老人の肩をつかんで「もう堪忍袋の緒が切れた、痛い目に遭う前に出て行きな」と凄んでも、シーハンは異常心理と神経刺激の力を見くびっていました[1]。オールド・バグズはモップを槍のように、マケドニアの重装歩兵さながらに振り回して自分の周りに空間を切り開き、意味の分からない引用の断片を次々と叫びます。中でも繰り返されたのが「……驕りと酒に脹れ上がったベリアルの子らよ」という一節でした。店内は阿鼻叫喚となり、誰もが目を覚ましてしまった不気味な老人におびえます。トレヴァーは呆然と壁際に追いやられ、老人は引用の言葉が尽きたのか、あるいはそれを超えたのか、ただ「飲ませはせん! 飲ませはせん!」と吠え続けました[1]。物音を聞きつけた警官が戸口に現れますが、しばらくは動こうとしません。すっかり怯えたトレヴァーは、放蕩の教育はもう十分だと悟り、青い制服の新参者のほうへとにじり寄っていきました。
オールド・バグズの死
槍代わりのモップを振るう手が不意に止まり、オールド・バグズはこれまで誰も見たことがないほど背筋を伸ばして立ちました。「アヴェ、カエサル、モリトゥールス・テ・サルート!」――「カエサルよ、死にゆく者があなたに敬礼する」という意味のラテン語をそう叫ぶと、ウイスキーの匂いが染みついた床に倒れ、二度と起き上がりませんでした[1]。この光景は、若きトレヴァーの記憶から生涯消えることがなかったといいます。
写真の正体とトレヴァーの沈黙
警官たちは人垣をかき分けながら、居合わせた全員に事件と遺体について問いただします。とりわけシーハンには執拗に質問が向けられましたが、オールド・バグズについて有益な情報は何も得られませんでした[1]。そこで銀行の使い込みの常連客が例の写真を思い出し、身元確認のために回覧してはどうかと提案します。しぶしぶ遺体にかがみ込んだ警官がティッシュに包まれた厚紙を見つけ、それが人々の間を回っていきました。酔った男が写真の美しい顔を見て下卑た冗談を口にする一方、しらふの者たちはその繊細で気高い顔立ちに敬意と気後れを覚え、誰もその素性を言い当てられませんでした――ただし銀行の使い込みの常連客だけは、老人の堕落という仮面の下にあるものを、少し深く見抜いていたようです[1]。
写真がトレヴァーに回ってきたとき、青年の様子が変わります。最初にはっとした表情を見せた後、彼はティッシュの包みを丁寧に元へ戻し、まるでこの場の穢れから守るかのようにしました。そして床に横たわる老人の姿を、その並外れた長身と、命の炎が消えたいまになって浮かび上がってきた気品ある顔立ちを、長く探るように見つめました。「知らない」とトレヴァーは急いで答えました。「あまりに古い写真だから、いまとなっては誰にも分からないだろう」と付け加えて[1]。しかし、これはトレヴァーの本心ではなかったと、多くの者が後に気づくことになります。彼は遺体を引き取り、アップルトンでの埋葬を手配すると申し出たからです。
本文はここで、次の一文とともに幕を閉じます。彼の家の書斎、暖炉飾りの上には、寸分違わぬあの写真の複製が生涯にわたって掛けられており、その原本の女性を、トレヴァーは物心ついたときから知り、愛してきたのです。優しく気高いその面差しは、他ならぬ彼自身の母のものでした[1]。オールド・バグズの正体が誰であったかを、本文は最後まで一言も明言しません。それでも、婚約者ガルピンの転落の顛末と、この結びの一文の並べ方そのものが、読者に強い示唆を残す作りになっています。
読みどころと注目テーマ
偽の署名が仕掛ける二重の距離
本文の副題には「ガリア総督マルクス・ロッリウスによる即興のお涙頂戴話」という架空の署名が添えられています[1]。ローマ属州の総督が涙を誘う身の上話を語るという設定自体が一種の悪ふざけで、深刻な転落の物語に軽い虚構の額縁をかぶせています。この額縁は、作中でオールド・バグズの正体が最後まで明かされない構造とも響き合うつくりです。読者は物語の内と外の両方で、「誰が語っているのか」という問いを渡されることになります。
「西暦一九五〇年」に据えられた酒場
語り手はわざわざ「西暦一九五〇年のこの世にあっては」と年号を記し、ウイスキーの匂いを「貴重な禁断の果実」と呼びます[1]。執筆時点よりはるか先の未来に、酒と麻薬を取り締まる「政府の慈悲深い布告」がすでに定着している――そんな架空の先取りを土台に据えることで、シーハンの酒場は禁令が生んだ地下経済の縮図として描かれています。
学識がにじみ出る荒々しい抵抗
普段は隠語しか話さないオールド・バグズが、酔うと長い単語を連ねた説教口調に変わり、決戦の場面では「驕りと酒に脹れ上がったベリアルの子らよ」というミルトンばりの文句や、死に際のラテン語まで口をついて出ます[1]。モップを「マケドニアの重装歩兵の槍」のように振るう比喩も含め、身なりの荒廃と言葉の格調との落差が、この人物の「かつて何者だったか」を雄弁に物語ります。
一枚の写真がつなぐ円環
老人が大切に抱え続けた写真は、酒場での孤独な鑑賞、警察への提出、そしてトレヴァーの手に渡る瞬間という三つの場面で姿を見せ、最後にトレヴァー自身の母の肖像だったと明かされます[1]。この反復が物語全体の輪を閉じ、真相を知りながら「知らない」と答えるトレヴァーの沈黙に、読み手の視線を集めます。
執筆背景と影響
公式年譜は本作の執筆を1919年としています[2]。生前に発表された記録はなく、初めて活字になったのは没後1959年、アーカムハウス刊の作品集『The Shuttered Room and Other Pieces』76–84ページでした[3]。誰に宛てて、あるいはどのような機会に書かれたのかは、公式アーカイブに記載がなく、当サイトでは確認していません。
同じように架空の筆名を掲げた戯作として、当サイトでは1917年執筆の可愛いアーメンガードを扱っています。あちらの副題には「パーシー・シンプル著」という署名が添えられており、実名を隠して軽い戯文を書くという手つきは本作と共通しています。両作とも生前は発表されず、後年になって作品集に収められた点も同じです。
出典
[1] H. P. Lovecraft, “Old Bugs” (本文). The H. P. Lovecraft Archive.https://www.hplovecraft.com/writings/texts/fiction/ob.aspx本記事の引用・要約はすべてこの本文に基づきます。訳文は当サイトによる試訳です。
[2] “Lovecraft’s Fiction” (作品年譜). The H. P. Lovecraft Archive.https://www.hplovecraft.com/writings/fiction/成立年(1919年)の出典。
[3] “Data Page for ‘Old Bugs'” (作品情報・出版履歴). The H. P. Lovecraft Archive.https://www.hplovecraft.com/writings/fiction/ob.aspx初出『The Shuttered Room and Other Pieces』(1959年)76–84ページの出典。
関連作品ガイド ── どれから楽しむか
- 可愛いアーメンガード — 「パーシー・シンプル著」の架空署名を掲げた戯作。実名を隠して軽い調子で書くという本作との共通点がある一本。
- サミュエル・ジョンソン博士の思い出 — 同じ1917年前後、歴史的な文体を借りて書かれた別種のパスティーシュ。生真面目な語り口の落差を味わえる。
- イビド — こちらも実在の人物や逸話をおどけて語り直す小品で、シリアスな怪奇色を離れたラヴクラフトのもう一つの顔を伝える。
- 詩神たち — 同じ大正期にあたる1920年の作。酒場の戯作から一転、詩と神々をめぐる幻想譚で振れ幅を確かめられる。

