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当サイトが個別記事を持つ原典173本を、年代順に並べた索引である。作品名から記事へ飛べる。
「クトゥルフ神話をどの順番で読むか」には、大きく三つの考え方がある。このページが扱うのは一つ目(年代順)で、残り二つには専用の記事がある。
| 考え方 | 向いている人 | 記事 |
|---|---|---|
| 年代順 | 全体像を通しで見たい。作風の変化を追いたい | このページ |
| 入門順 | まず面白い1本から入りたい | どこから始めるか |
| テーマ順 | 好きな味わいから選びたい(宇宙SF系・怪奇伝奇系・幻夢境系) | テーマ別に選ぶ原典の読み方 |
最初の1本を選びたいだけなら、年代順はおすすめしない。初期作は短く素朴で、いま読んで面白いものが必ずしも先頭に来ないからである。年代順が効くのは、何本か読んだあとで「この作家は何をしていたのか」を掴みたくなったときである。
年代順で読むと、何が見えるか
通しで並べると、作風がはっきり移り変わっていることが分かる。
- 1919年まで — ポーやダンセイニの影響が濃い短い怪奇譚が中心。神話の固有名詞はまだ少ない
- 1920年代 — ニャルラトホテプ(1920)、クトゥルフの呼び声(1928)などが現れ、後に「神話」と呼ばれる固有名詞が出揃っていく
- 1930年代 — 狂気の山脈にて、インスマスを覆う影など長めの作品が増え、恐怖の説明に科学の語彙が入ってくる
- 1940年以降 — 没後発表分と、共作・代作の整理。本人が完成させなかったものが多い
なおこの一覧には、ラヴクラフト以外の作家の作品も含まれている。冒頭に並ぶカルコサの住人(1886、アンブローズ・ビアス)や名誉修理者(1895、ロバート・W・チェンバース)はラヴクラフトより前の作品で、彼が影響を受けた側にあたる。神話は一人の作家から始まっていない。
作家個人の年譜はラヴクラフトの生涯と創作活動にある。
年代順 全173本
年は各記事が採用している表記に従う。執筆年と発表年が離れている作品は「1922年執筆/1938年発表」のように併記した。没後に発表されたもの、共作・代作も同じ一覧に含めている。
1880-1919 ── 前史と初期
| 年 | 作品 | 形式 |
|---|---|---|
| 1886年発表 | カルコサの住人 | 小説 |
| 1891年発表 | 羊飼いハイタ | 小説 |
| 1895年発表 | 仮面 | 小説 |
| 1895年発表 | 名誉修理者 | 小説 |
| 1895年発表 | 竜の路地にて | 小説 |
| 1895年発表 | 黄の印 | 小説 |
| 1896-97年執筆/1959年発表 | 小さなガラス瓶 | 小説 |
| 1898-99年執筆/1959年発表 | 墓地の怪事件 | 小説 |
| 1898-99年執筆/1959年発表 | 秘密の洞窟 | 小説 |
| 1902年執筆/1959年発表 | 謎の船 | 小説 |
| 1904-05年執筆/1918年発表 | 洞窟の怪物 | 小説 |
| 1908年執筆/1916年発表 | 錬金術師 | 小説 |
| 1917年発表 | サミュエル・ジョンソン博士の思い出 | 小説 |
| 1917年執筆 | ダゴン(小説) | 小説 |
| 7, 1918年6月) | ネメシス | 詩 |
| 1919年執筆 | サルナスの滅亡 | 小説 |
| 1919年 | 白い船 | 短編小説 |
| 1919年執筆 | 眠りの壁の彼方 | 小説 |
| 1919年 | 老いた酔いどれ | 短編小説 |
| 1919年発表 | 記憶 | 小説 |
| 1919年執筆/1920年発表 | 通り | 小説 |
1920年代
| 年 | 作品 | 形式 |
|---|---|---|
| 1920年執筆 | ウルタールの猫 | 小説 |
| 3 no.12, 1920年3月) | ダンセイニ卿『驚異の書』を読んで | 詩 |
| 1920年執筆 | ナイアーラソテップ | 散文詩 |
| 1920年 | ポラリス | 短編小説 |
| 13, 1920年5月) | ランドルフ・カーターの陳述 | 短編小説 |
| 1920年執筆 | 向こう側 | 小説 |
| 1920年 | 家のなかの絵 | 短編小説 |
| 1920年 | 詩神たち | 短編小説 |
| 1921年 | アーサー・ジャーミンに関する事実 | 短編小説 |
| 1921年執筆 | エーリッヒ・ツァンの音楽 | 小説 |
| 1921年 | 名もなき都市(小説) | 短編小説 |
| 1921年 | 忘却より | 散文詩 |
| 1921年 | 恐ろしい老人 | 短編小説 |
| 1921年執筆 | 月沼 | 小説 |
| 1921年 | 樹 | 短編小説 |
| 1921年執筆 | 流離の王子イラノン | 小説 |
| 1921年執筆 | 異形の神々の峰 | 小説 |
| 1922年執筆/1938年発表 | アザトース(小説) | 小説 |
| 1922年 | セレファイス(小説) | 短編小説 |
| 6回連載, 1922年2月〜7月) | ハーバート・ウェスト―死体蘇生者 | 短編小説(連作) |
| 1922年 | 墓 | 短編小説 |
| 1922年執筆 | 猟犬 | 小説 |
| 1923年 | ヒュプノス(小説) | 短編小説 |
| 1923年執筆 | 名状しがたきもの | 小説 |
| 1923年執筆 | 壁のなかの鼠 | 小説 |
| 1923年 | 月が語るもの | 散文詩 |
| 1923年 | 潜み棲む恐怖 | 短編小説 |
| 1924年 | ファラオとともに幽閉されて | 中編小説 |
| 1925年 | 神殿 | 短編小説 |
| 5 no.1, 1925年1月) | 祭り | 短編小説 |
| 7 no.4, 1926年4月) | アウトサイダー | 短編小説 |
| 1926年執筆 | クトゥルフの呼び声 | 小説 |
| 1926年 | 彼 | 短編小説 |
| 1926–1927年執筆/1943年 | 未知なるカダスを夢に求めて | 小説 |
| 1927年執筆 | 『ネクロノミコン』の歴史 | 設定資料 |
| 1927年 | いにしえの民 | 小説 |
| 1927-28年執筆/1938年発表 | イビド | 小説 |
| 1927年執筆 | チャールズ・ウォードの症例 | 小説 |
| 1927年 | ピックマンのモデル | 短編小説 |
| 1927年 | レッド・フックの恐怖 | 短編小説 |
| 1927年執筆 | 宇宙からの色 | 小説 |
| 1927年執筆/1938年発表 | 末裔 | 小説 |
| 1928年執筆 | ダニッチの怪 | 小説 |
| 1928年 | 冷気 | 短編小説 |
| 1928年 | 忌み家 | 短編小説 |
| 1928年発表 | 怪魔の森 | 小説 |
| 1929年 | イグの呪い | 短編小説 |
| 1929年発表 | ティンダロスの猟犬(小説) | 小説 |
| 14 no.3, 1929年9月) | トゥズーン・スーンの鏡 | 短編小説 |
| 1929-30年執筆、ゼリア・ビショ | 墳丘 | 中編小説(代作) |
| 14 no.2, 1929年8月) | 影の王国 | 短編小説 |
| 1929年 | 銀の鍵 | 小説 |
1930年代
| 年 | 作品 | 形式 |
|---|---|---|
| 16 no.5, 1930年11月) | 夜の王たち | 短編小説 |
| 1930年執筆 | 闇に囁くもの | 小説 |
| 1931年執筆 | インスマスの影 | 小説 |
| 1931年発表 | サタムプラ・ゼイロスの話 | 小説 |
| 1931年 | バル=サゴスの神々 | 短編小説 |
| 1931年発表 | 夜の末裔 | 小説 |
| 1931年発表 | 妖術師の帰還 | 小説 |
| 1931年発表 | 恐怖の山 | 小説 |
| 1931年執筆 | 狂気の山脈にて | 小説 |
| 1931年 | 霧の中の奇妙な高屋敷 | 短編小説 |
| 1931年発表 | 黒の碑 | 小説 |
| 1932年発表 | アタマウスの遺言 | 小説 |
| 1932年発表 | 名もなき末裔 | 小説 |
| 1932年発表 | 土星への扉 | 小説 |
| 1932年 | 墓地にて | 短編小説 |
| 1932年発表 | 大地の妖蛆 | 小説 |
| 1932年発表 | 屋根の上に | 小説 |
| 1932年発表 | 彼方から狩り立てるもの | 小説 |
| 1932年 | 石の男 | 短編小説 |
| 1932年発表 | 羅睺星魔洞 | 小説 |
| 1932年発表 | 脳を喰う怪物 | 小説 |
| 1932年発表 | 邪神チョーグナー目覚める時 | 詩 |
| 1932年発表 | 闇の種族 | 小説 |
| 1932年執筆 | 魔女の家の夢 | 小説 |
| 1933年発表 | アゼダラクの聖性 | 小説 |
| 1933年発表 | アヴェロワーニュの獣 | 小説 |
| 1933年発表 | ウボ=サスラ | 小説 |
| 1933年 | 博物館の恐怖 | 短編小説 |
| 1933年執筆/1938年発表 | 書物 | 小説 |
| 1933年 | 邪悪な牧師 | 短編小説 |
| 1934年発表 | イルーニュの巨人 | 小説 |
| 1934年発表 | 七つの呪い | 小説 |
| 1934年発表 | 屍神 | 短編小説 |
| 1934–35年執筆/1936年発表 | 時間からの影 | 小説 |
| 1934年 | 翼ある死 | 短編小説 |
| 1934年 | 銀の鍵の門を越えて | 小説 |
| 1934年発表 | 食屍鬼(小説) | 小説 |
| 1935年 | アフォーゴモンの鎖 | 短編小説 |
| 1935年 | ヴルトゥーム(小説) | 短編小説 |
| 1935年発表 | 塵埃を踏み歩くもの | 小説 |
| 1935年発表 | 彼方よりの挑戦 | 小説(5名合作) |
| 1935年発表 | 星から訪れたもの | 小説 |
| 1935年執筆 | 暗闇の悪魔 | 小説 |
| 1935年 | 永劫より | 短編小説 |
| 1935年発表 | 自滅の魔術 | 小説 |
| 1936年発表 | アッシュールバニパルの焔 | 小説 |
| 1936年発表 | クラーリッツの秘密 | 小説 |
| 1936年発表 | 冥府の守護神 | 小説 |
| 1936年発表 | 哄笑する食屍鬼 | 小説 |
| 1936年発表 | 闇の魔神 | 小説 |
| 1936年発表 | 顔のない神 | 小説 |
| 1937年 | セイラムの恐怖 | 短編小説 |
| 1937年発表 | セベクの秘密 | 小説 |
| 1937年発表 | ドルーム=アヴィスタの戯れ | 小説 |
| 1937年発表 | 墓はいらない | 小説 |
| 1937年 | 墓を暴く | 短編小説 |
| 1937年 | 墓地の恐怖 | 短編小説 |
| 1937年発表 | 奇形 | 小説 |
| 1937年 | 戸口に現れたもの | 小説 |
| 1937年発表 | 暗黒のファラオの神殿 | 小説 |
| 1937年発表 | 暗黒の口づけ | 小説 |
| 1937年発表 | 魂を喰らうもの | 小説 |
| 1938年 | アザトース(断章) | 断章 |
| 1938年 | アロンゾ・タイパーの日記 | 短編小説 |
| 1938年発表 | ダゴンの末裔 | 小説 |
| 1939年発表 | ハスターの帰還 | 小説 |
| 1939年発表 | ヒュドラ | 小説 |
| 1939年 | メデューサの巻き毛 | 短編小説 |
| 1939年発表 | 侵入者 | 小説 |
| 1939年発表 | 恐怖の鐘 | 小説 |
| 1939年発表 | 狩りたてるもの | 小説 |
| 1939年発表 | 蛙 | 小説 |
1940年以降・没後発表
| 年 | 作品 | 形式 |
|---|---|---|
| 1941年発表 | 戸口の彼方へ | 小説 |
| 1941年発表 | 白蛆の襲来 | 小説 |
| 1943年発表 | 可愛いアーメンガード | 小説 |
| 1944年発表 | カーウェン街の家 | 小説 |
| 1944年 | ファン・ロメロの奇怪な失踪 | 短編小説 |
| 1945年発表 | 暗黒の儀式 | 小説 |
| 1945年発表 | 空からの監視者 | 小説 |
| 1946年執筆 | サラプンコの彼方の峡谷 | 小説 |
| 1950年発表 | 尖塔の影 | 小説 |
| 1951年発表 | 無人の家で発見された手記 | 小説 |
| 1951年発表 | 鍵の番人 | 小説 |
| 1952年発表 | 黒い島 | 小説 |
| 1954年発表 | 生きながらえるもの | 小説 |
| 1957年発表 | アルハザードのランプ | 小説 |
| 1957年発表 | ウェントワースの日 | 小説 |
| 1957年発表 | ピーバディ家の遺産 | 小説 |
| 1957年発表 | 異次元の影 | 小説 |
| 1957年発表 | 破風の窓 | 小説 |
| 1957年発表 | 祖先 | 小説 |
| 1959年発表 | ファルコン岬の漁師 | 小説 |
| 1959年発表 | 閉ざされた部屋 | 小説 |
| 1962年発表 | 魔女の谷 | 小説 |
| 1964年発表 | 屋根裏部屋の影 | 小説 |
| 1966年発表 | ポーの末裔 | 小説 |
| 1967年発表 | 魔界へのかけ橋 | 小説 |
| 1971年発表 | インスマスの彫像 | 小説 |
| 1971年執筆 | 時を超えて見張るもの | 小説 |
| 1980年発表 | 暗黒の復活 | 小説 |
この索引の作り方
年は各記事が採用している表記をそのまま使っている。当サイトで独自に推定した年は無い。
クトゥルフ神話の作品には、執筆年と発表年が大きく離れているものが多い。ラヴクラフトは書いたまま発表しなかった作品をいくつも残しており、没後に友人たちが世に出したためである。たとえば未知なるカダスを夢に求めては1926-27年に書かれ、発表は1943年になる。
この時差は、神話の広がり方に直接影響している。同時代の読者が読めなかった作品が、後の世代にはまとめて読めた。ダーレスたちが体系を整理できたのも、バラバラに発表されたものを一望できる位置に立てたからである。
共作・代作も同じ一覧に入れてある。ラヴクラフトは他人の名義で書く仕事を多く引き受けており、墳丘(ゼリア・ビショップ名義)や永劫より(ヘイゼル・ヒールド名義)がそれにあたる。名義と実際の書き手が違う作品を外すと、神話の主要な設定がいくつか抜け落ちる。
迷ったときの3本
この一覧を上から読み始める必要はない。最初に読むなら、次の3本のどれかを勧める。
1. クトゥルフの呼び声(1928) — 代表作。遺品整理から始まり、世界各地の断片が一つに繋がっていく構成そのものが読みどころ2. 宇宙からの色(1927) — 神話の固有名詞がほとんど出てこない。それでも最も宇宙的恐怖に近いという評価がある一本3. インスマスを覆う影(1936) — 逃走劇として読める。逃げ切った先で、追ってきたものが自分の中にもあったと分かる。恐怖の対象が外から内へ入れ替わる
選び方の考え方はどこから始めるかで詳しく扱っている。
関連する棚
作品ではなく神格の側からたどるなら、クトゥルフ神話の相関図が入口になる。68柱のつながりを、原典・後継作家・TRPGの層に分けて記録している。
- どこから始めるか——初心者向けクトゥルフ神話の読書ルート
- テーマ別に選ぶ原典の読み方 — 宇宙SF系・怪奇伝奇系・幻夢境系
- クトゥルフ神話の本の選び方 — 新訳・全集・図解の違い
- クトゥルフ神話とは — まず全体をつかむ
- ラヴクラフトの生涯と創作活動 — 作家個人の年譜
- クトゥルフ神話 神一覧 — 神格から引く


