概要
『トゥズーン・スーンの鏡』は、ロバート・E・ハワードが1929年に『Weird Tales』誌に発表した、ヴァルーシア王クルを主人公とするシリーズの一編です。前作『影の王国』の派手な陰謀劇とは対照的に、内省的で幻想味の強い作風が特徴となっています。
登場神格・用語
本作には深淵書架収録の神格・用語は登場しません(ハワード独自の史劇世界を舞台とする作品です)。
あらすじと構成
王としての地位に倦み、生きることの意味を見失いつつあったクルは、無数の鏡を集めた奇怪な部屋に住む老賢者トゥズーン・スーンの噂を耳にします。鏡の中には、見る者を別の世界へと誘い込む力があるとされ、クルはその真偽を確かめるべく足を運びます。鏡に映る自分自身と向き合う体験は、クルに存在そのものへの根源的な問いを突きつけます。
作品としての位置づけ
剣戟中心のシリーズの中にあって、本作は哲学的・幻想文学的な色彩が際立つ異色作として評価されています。「自我とは何か」「現実とは何か」という主題は、後のクトゥルフ神話が扱う「人間の認識の限界」というテーマとも通じるものがあります。1929年の初出であり、米国・日本双方でパブリックドメイン作品として扱われます。




