概要
『影の王国』は、ロバート・E・ハワードが1929年に『Weird Tales』誌に発表した短編で、蛮族出身の王クル(Kull)を主人公とするシリーズの第一作です。ハワードはこの後『クトゥルフの呼び声』のラヴクラフトとも親交を深め、両者の作品世界は緩やかに影響し合っていくことになります。
登場神格・用語
本作には蛇人間が登場します。ハワード独自の史劇世界を舞台とする作品ですが、この蛇人間は後年クトゥルフ神話に組み込まれ、独立した神話生物として扱われるようになりました。
あらすじと構成
蛮族の出でありながら、実力によって古代王国ヴァルーシアの王座に就いたクルは、宮廷内に人間そっくりの仮面と皮膚を被って成り代わる「蛇人間」の陰謀が進行していることを知ります。誰が本物の人間で誰が蛇人間なのか分からないという疑心暗鬼の中、クルは忠臣ブルールと共に、王国そのものを揺るがす脅威に立ち向かいます。
作品としての位置づけ
本作は、蛮族出身の主人公・剣戟・恐怖の融合という点で、後の「ソード&ソーサリー」ジャンルの原型を作った作品として文学史上重要視されています。作中の蛇人間は、後にクトゥルフ神話体系に組み込まれる神話生物としても扱われるようになり、ハワードとラヴクラフトの作品世界を繋ぐ結節点の一つとなっています。1929年の初出であり、米国・日本双方でパブリックドメイン作品として扱われます。


