小説 — The Unnamable

名状しがたきもの

アーカムの古い墓地で「名状しがたいもの」の実在を巡り議論していたランドルフ・カーターと友人が、まさにその怪物に襲われる。

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名状しがたきもの

「私たちは秋の午後遅く、アーカムの古い墓地で、朽ちかけた十七世紀の墓の上に腰掛け、「名状しがたきもの」について語り合っていた」

— H・P・ラヴクラフト「名状しがたきもの」(1925年発表)冒頭部

概要

語り手ランドルフ・カーターと懐疑的な友人が、アーカムの古い墓地で「名状しがたいもの」の実在を巡って議論した直後、まさにその怪物と遭遇する短編。ラヴクラフトが自らの美学を作中で擁護してみせる、メタフィクション的な色彩の強い一作。

作品情報

  • 執筆・発表年: 1923年執筆(9月)/1925年発表(「ウィアード・テイルズ」誌7月号)
  • 主題タグ: 名状しがたき恐怖、アーカムの古い墓地、懐疑論への反駁

登場神格・用語

あらすじ

語り手(後の作品でランドルフ・カーターと明かされる)は、アーカムの古い墓地で、合理主義者の校長ジョエル・マントンと「名状しがたいもの」の実在を巡って議論していた。マントンが語り手の怪奇小説家としての妄執を一笑に付すと、語り手は先祖の日記(1706年〜1723年)に記された、隣接する朽ちた屋敷に取り憑いていたという「傷ついた目」を持つ怪物じみた雑種生物の記録を語って聞かせる。屋根裏で見つけた骨を墓へ移したのも自分だと明かした直後、隣家がまさに今二人がいる場所に接していると知ったマントンは動揺する。その叫びを合図にしたかのように朽ちた屋敷の窓が開き、名状しがたい何かが二人を襲う。病院で目覚めた二人の体には蹄と爪による傷が残されており、正気を取り戻したマントンは「あれは至高の忌まわしきもの……名状しがたいものだったのだ、カーター」と語る。

読みどころと注目テーマ

合理主義への反駁、描写不可能な恐怖、実在のセイラム埋葬地に着想を得た舞台

執筆背景と影響

セイラムのチャーター・ストリート墓地に着想を得て書かれた。ラヴクラフト自身の美学(恐怖は名状しがたいからこそ恐怖たりうる、という立場)を、作中の議論という形で直接擁護してみせる自己言及的な作品として知られる。

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