索引 — Cthulhu Mythos Deity Index

クトゥルフ神話 神一覧——85柱を分類別に引く【原典・ダーレス以降・TRPG別】

クトゥルフ神話の神格・種族を分類別に一覧にする。外なる神・旧支配者・旧神という分類は原典に無く、後世の整理である。各項目に「どの層で生まれたか」を付し、原典由来のものと後付けを見分けられるようにした。

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このページについて

クトゥルフ神話の神格・種族を分類別に引くための索引である。当サイトの神格記事85本をすべて並べ、それぞれに「どの層で生まれたか」を付けた。

この「層」の表示が、他の一覧との違いにあたる。神格の名前だけを並べた一覧は多いが、その神格がラヴクラフト自身の作品に出てくるのか、死後に後続作家が足したのか、TRPGの設定資料が初出なのかは、たいてい書かれていない。混ざったまま覚えると、原典を読んだときに食い違う。

層の考え方は三層で読み解くクトゥルフ神話、神話そのものの入門はクトゥルフ神話とはを参照。

神格の数は、定まっていない

「クトゥルフ神話の神は全部で何柱か」という問いに、正しい答えは無い。

誰かが管理している公式の一覧が存在しないためである。ラヴクラフトは体系を定めず、友人たちに固有名詞を自由に使わせた。その後も作家が足し続けてきた結果、資料によって数え方が変わる。

当サイトが現時点で個別記事を持っているのは85柱である。これは「神話に85柱いる」という意味ではなく、当サイトが記事として立てた数にすぎない。

内訳を実測すると、こうなる。

生まれた層件数
原典(ラヴクラフト存命中、1917-1937)51
ダーレス以降(1939-)22
後世の拡張(さらに後の作家による)9
TRPG(ゲーム設定資料が初出)2
未分類1

原典由来が6割、残り4割は後から足されたものという比率になる。よく名前を見る神格ほど原典由来とは限らない——たとえばハスターは名前がラヴクラフト以前の作家に由来し、神格として確立したのはダーレスの手による。

分類そのものが、後付けである

一覧を見る前に、分類の枠組み自体が原典に無いことを押さえておきたい。

  • 外なる神(Outer Gods) — 宇宙の中心や外側にいるとされる存在。アザトース、ヨグ=ソトースなど
  • 旧支配者(Great Old Ones) — かつて地球を支配し、今は眠りや封印の状態にあるとされる存在。クトゥルフなど
  • 旧神(Elder Gods) — 人類の味方として旧支配者を封じたとされる存在
  • 種族・眷属 — 神格に仕える、あるいは独立して存在する知的生命

ラヴクラフトの作品に、この階層構造は書かれていない。存在同士の上下関係も、敵対関係も定まっていない。整理したのはオーガスト・ダーレス以降の世代である。とりわけ「旧神」は、原典に相当するものが存在しない枠組みである。

用語の詳しい整理は旧支配者・外なる神・旧神——神格の分類用語を整理するにある。

以下の分類は、この後付けの枠組みに沿って並べたものである。便利だから使っているのであって、原典がそうなっているわけではない。

一覧

各行の「層」は、その神格の名前が最初に現れた時期を指す。設定が後から足されている場合でも、初出が原典なら「原典」としている。

外なる神

この節には19柱を収めている。

名称層概要
アザトース原典宇宙の中心で太鼓とフルートの音に合わせて蠢く、盲目にして白痴の魔王。名を口にすることすら憚られる、根…
イェブ原典ヌグと対をなす双子の一柱。ラヴクラフト自身の原文には姿も性別も描かれず、書簡上の系譜設定だけが先行し…
イドラーダーレス以降1970年代にウォルター・C・デビル・ジュニアが創造した「夢見る魔女」。捕食した生物の特徴を取り込み…
イブ=ツトルダーレス以降「忍耐強きもの」「暗黒のもの」と呼ばれる、蝙蝠に似た黒い翼と無数の触手を持つ外なる神。バグ=シャッシ…
ウボ=サスラ原典地球上のすべての生命の原型とされる「自存の源泉」。地底に横たわる原形質の海。
グロスダーレス以降ラムジー・キャンベルが「The Tugging」で創造した、球体状の姿で宇宙を漂う破滅の歌い手。惑星…
シュブ=ニグラス原典「千匹の仔を孕みし森の黒山羊」と呼ばれる豊穣の女神格。姿を見せず、呪文の中の呼びかけとしてのみ気配を…
ゼクサノス原典クラーク・アシュトン・スミス「アフォーゴモンの鎖」に登場する「潜みし混沌」。時の神アフォーゴモンと敵…
タルザーシャTRPGTRPG『クトゥルフの呼び声』の設定資料集が、ラヴクラフト「祭事」に登場する名もなき緑の焔に与えた名…
ダオロスダーレス以降幾何学的な形状と金属質の部品が絶えず組み替わる姿を持つ外なる神。その真の姿を目にした者は現実の裏側を…
トゥルネンブラTRPGTRPG『クトゥルフの呼び声』の設定資料集が、ラヴクラフト「エーリッヒ・ツァンの音楽」で語られる窓の…
ニャルラトホテプ原典無数の姿で自ら人類の前に現れる「這い寄る混沌」。アザトースの代行者にして、唯一意志を持つ外なる神。
ヌグ原典イェブと対をなす双子の外なる神。ラヴクラフトの書簡ではヨグ=ソトースとシュブ=ニグラスの間に生まれた…
ノス=イディクとクトゥン原典「博物館の恐怖」で狂気の蝋人形師ロジャーズが呪詛の中で呼ぶ、アザトースに連なる一対の存在。後年リン・…
ヒュドラ(カットナー版)ダーレス以降ヘンリー・カットナーが短編「ヒュドラ」で創造した、無数の生首が浮かぶ灰色の海。「インスマスの影」の母…
ムランドスとムリル・ソリオンダーレス以降ウォルター・C・デビル・ジュニアが創造した「ムランドス・サイクル」の二柱の至高神。互いを陰陽のように…
ヨグ=ソトース原典あらゆる時間と空間に同時に遍在する「門にして鍵」。禁断の知識と境界侵犯を象徴する、外なる神々の中でも…
名なき霧原典アザトースの直下に置かれた始原の存在。ラヴクラフトが自らの「血統」を茶化した1933年の私信の中にの…
闇原典アザトースの3子の一柱として、ラヴクラフトの私信にのみ名を残す始原存在。シュブ=ニグラスの親(先祖)…

旧支配者

この節には38柱を収めている。

名称層概要
アイホート後世の拡張ラムジー・キャンベルが創造したクトゥルフ神話の旧支配者。地下の迷路に潜み、出会った人間に死か雛(子)…
アトラク=ナクア原典地底の深淵で無限の糸を紡ぎ、世界を繋ぐ蜘蛛の姿をした旧支配者。
アフォーゴモン原典異星の都カロードに祀られる「分と周期の神」。時間律を犯した神官には、鎖と業火による永劫の断罪を下す。
アブホース原典地底の深淵に潜む「不浄の源泉」。絶え間なく不気味な落とし子を生み出す粘液の池。
イオド後世の拡張ヘンリー・カットナーが創造した「輝ける追跡者」「魂の狩人」。人間の魂を狩ることを楽しむとされる旧支配者。
イグ原典「蛇の祖神」。インディアンの伝承に現れる、親しみやすさと冷酷さを併せ持つ蛇の父親。
イゴロナクダーレス以降頭部を持たず、両掌に濡れた赤い口を持つ旧支配者。名を知り姿を目にした者を狂気と堕落へ誘う、接触感染的…
イソグタダーレス以降リン・カーターが「ゾス神話群」で創造した「魔王三神」の第二子。ラヴクラフト作品には一度も登場しない、…
イタカダーレス以降極北の荒野を彷徨う「風に乗りて歩むもの」。氷点下の狂気と孤独を司る冬の巨神。
イダ=ヤーダーレス以降クトゥルフの配偶神とされる「強大なる母」。ラヴクラフト自身の原典には登場せず、リン・カーターのゾス神…
ガタノソア原典目撃した者を意識ある死のまま石化させる、ムー大陸に封じられた恐怖の神。クトゥルフとの血縁は後世の創作。
クティラダーレス以降クトゥルフの「秘密の種」。原典に外見描写はなく、後年のファン創作を経て翼ある頭足類として定着した、再…
クトゥグアダーレス以降フォーマルハウトに幽閉された、生ける炎の巨神。あらゆる物質を焼き尽くす純粋な破壊の力。
クトゥルフ原典南太平洋の海底都市ルルイエに幽閉され、星辰が正しき位置に至る日を待ちながら眠り続ける旧支配者。眠りの…
グラーキダーレス以降隕石とともに飛来し、イングランドの湖底に潜む棘だらけの旧支配者。犠牲者を金属の棘で貫き、意識を保った…
ゴル=ゴロス原典孤島の都バル=サゴスの最高神。影の神殿に鎮座する破壊不能の巨像として君臨し、血の供犠を受け続けた闇の神。
ザーダーレス以降アルクトゥルスから飛来したとされる、盟友ロイガーと共に「双子の醜悪」と呼ばれる旧支配者。
シアエガ後世の拡張エディ・C・ベルタンが短編「Darkness, My Name Is」(1976年)で創造した旧支配…
シュド=メルダーレス以降地下深部を掘り進む巨大な頭足類状の怪物。クトーニアンたちの至高の長。
ズヴィルポググーア後世の拡張ツァトゥグァとシャタクの子とされる、翼ある蟇蛙のごとき姿の存在。アメリカ先住民の伝承ではオサダゴワー…
ゾス=オムモグダーレス以降クトゥルフ神話に登場する旧支配者ゾス=オムモグを解説。リン・カーターの「ゾス神話群」で創造された、ク…
ダゴン原典深きものどもの首魁とされる海神。原典ではクトゥルフとの関係が明言されないまま、後世の設定によって従者…
チャウグナー・フォーン原典山奥の石像として眠る、ゾウに似た不気味な吸血巨神。時間とともに目覚める悪夢。
ツァトゥグァ原典黒暗のクン=ヤンやサイカノーシュに住まう、怠惰なる蛙形の旧支配者。
ニョグタ原典「暗黒に住まうもの」「あるべからざるもの」。旧きものたちの同胞とされ、鉄の円盤の下に潜み、黒く脈打つ…
ノフ=ケー原典極北の氷雪に住むとされる存在。原典では「北極星」に食人種族として、「博物館の恐怖」に角を持つ怪物とし…
ハスター原典単一の作者ではなく、ビアス・チェンバース・ラヴクラフト・ダーレスら複数の作家の手を幾重にも経て積み重…
バイアティス後世の拡張ロバート・ブロックが1935年に名のみを言及し、後にラムジー・キャンベルが1964年の短編で単眼と蛇…
バグ=シャッシュダーレス以降無数の目と口に覆われた黒く粘つく塊。死者に口づけて蘇生させ、その肉体を支配する。
フジウルクォイグムンズハー後世の拡張クラーク・アシュトン・スミスが「土星への扉」で創造した、頭部が体に対して逆さに据えられた姿で知られる…
ボクルグ原典「大いなる水蜥蜴」。イブの古代種族から崇拝され、彼らを滅ぼしたサarnathの街に復讐した神。
ムノムクア後世の拡張幻夢境の月に囚われ、月下に広がる黒湖ウボスを統べるとされる爬虫類状の神格。リン・カーターが創造したと…
モルディギアン原典遠未来大陸ゾティークの都ズル=バ=サイルを統べる屍食の神。死者のみを請求し生者に関知しない「公正な神…
ラーン=テゴス原典ユゴスより到来し北極の廃都に眠っていた両生の神。蝋人形館の奥に持ち帰られ、「像か実在か」の境界そのも…
リム・シャイコース原典巨大な氷山ユイキルスに乗って南下し、行く手のすべてを死の寒冷で凍らせる、白く肥大した蟲の姿の旧支配者…
ロイガーダーレス以降盟友ザーと共に「双子の醜悪」と呼ばれる、無数の触手を持つ巨大な有翼の旧支配者。強風を操るとされる。
ヴルトゥーム原典クラーク・アシュトン・スミス『ヴルトゥーム』(Weird Tales 1935年9月号)に登場する、…
母なるヒュドラ原典「インスマスの影」で確立された、父なるダゴンと対をなす深きものどもの女神。同名だが無関係な、ヘンリー…

旧神・地球本来の神

この節には5柱を収めている。

名称層概要
イホウンデー後世の拡張クラーク・アシュトン・スミスが「土星への扉」で創造した、ハイパーボリアで信仰されたヘラジカ(エルク)…
クタニドダーレス以降クトゥルフと瓜二つの姿を持つとされる、その双子の兄弟にして「旧神」の長。暴力を振るえないとされる、数…
ノーデンス原典深淵の大公。夢の国の深淵を支配し、時に人間の探求者を助ける古代の神々の一柱。
ヒュプノス原典短編「Hypnos」の語り手が眠りの果てで対峙した、友人か、彫像か、それとも神そのものか――正体の定…
ヴォルヴァドス後世の拡張ヘンリー・カットナーが「The Eater of Souls」で創造した、緑の焔をまとう神格。ベル・…

種族・眷属

この節には21柱を収めている。

名称層概要
イースの大いなる種族原典時間を越えて精神を転移させる、巨大な円錐形の肉体を占有した宇宙最古の知的精神体。
ガスト原典ジンの穴蔵に棲む、光の下では生きられない獣。カンガルーのように跳躍し、鼻も額も持たない醜悪な顔で知ら…
クトゥルフの落し子原典クトゥルフに連なる、タコに似た姿をした陸生の眷属種族。単一の神格ではなく集合的なカテゴリで、原典より…
クトーニアンダーレス以降地中深くに生息する、イカに似た触手を持つ巨大な蠕虫状の生命体。強力な地殻変動を引き起こす。
グーグ族原典夢の国の地底に追放された、体毛に覆われた巨躯の種族。縦に開く牙だらけの口を持ち、声を持たず表情で会話…
シャンタク鳥原典象より大きく馬に似た頭部と鱗の翼を持つ、夢の国北方の怪鳥。ニャルラトホテプの命によりランドルフ・カー…
ショゴス原典古のものが労働用に開発した、無定形の原形質生命体。模倣能力と巨大な怪力を持つ。
ズーグ族原典夢の国の「魔法の森」に棲む、小柄で臆病な茶色い森の民。多くの秘密を知るが、猫を恐れる。
ティンダロスの猟犬原典時間の「角(角度)」から侵入する、鋭角の接点を通じて標的を追尾する次元の捕食者。
ドール原典夢の国の地底に棲む、姿を見た者のない巨大な蠕虫状の生物。骨の山を這う音と粘液質の感触だけで存在が語ら…
バイアクヘー原典星間宇宙を飛翔する、翼ある混成生物。儀式によって召喚され、魔術師の乗騎となる奉仕種族。
ブラウン・ジェンキン原典「魔女の家の夢」に登場する、魔女キージア・メイスンの使い魔。鼠に似た体躯に髭を蓄えた鋭い歯の顔と人間…
ミ=ゴ原典冥王星ユゴスより飛来した、甲殻類と菌類のハイブリッドのような星間飛行種族。
ムーンビースト原典幻夢境の月を拠点とし、黒いガレー船でルビーを運び、レンの男を介して人間を奴隷買いする、目の無い蛙状の…
古のもの原典太古の地球に飛来し、高度な科学と都市文明を築いた、樽状の胴体と星形の頭部を持つ超生命体。
夜鬼原典夢の国の深淵に生息する、顔のない黒く滑らかな飛行生物。ノーデンスを主と仰ぐ。
彼方からの狩人ダーレス以降肉眼では知覚できない次元から人間の魂を狩る、クラーク・アシュトン・スミス創造の捕食種族。彫刻や像に憑…
深きものども原典半人半魚の姿で海底都市に住む知的種族。父なるダゴン・母なるヒュドラを奉じ、人類との交配によって血統を…
蛇人間原典ロバート・E・ハワードがキング・カル物語のために創造した、蛇の頭部を持つ人型種族。後年の神話体系では…
飛行ポリプ原典太古の地球に無窓の玄武岩の塔の都市を築き、風を操って飛行したとされる先住の知的種族。原文中に固有の種…
食屍鬼原典地下墓地や犬に似た顔を持つ人型生物。現実と夢の国の地下を往来する。

その他・分類が定まらないもの

この節には2柱を収めている。

名称層概要
ウムル・アト=タウィル未設定『銀の鍵の門を越えて』で第一の門の先に現れる、布に覆われた案内者にして守護者。魔導書はあらゆる暗黒よ…
クァチル・ウタウスダーレス以降クラーク・アシュトン・スミスが創造した、触れたものすべてを瞬時に塵と化す破壊の精霊。異名は「塵埃を踏…

名前を覚えるより先に

85柱を暗記する必要はない。むしろ先に押さえておくと役に立つのは、次の三点である。

1. クトゥルフは最上位ではない。作中の肩書きは「大いなる祭司」で、誰に仕えているのかは書かれていない。「最強の神」という発想自体が後世の整理による2. 姿が描かれていない神格のほうが多い。シュブ=ニグラスは呪文の中の名前としてしか出てこないし、アザトースの描写も断片的である。描写が無いからこそ、後世が姿を与えられた3. 同じ神格に矛盾する設定が並立している。系譜だけでもリン・カーター系、クラーク・アシュトン・スミス系、ブライアン・ラムレイ系などが並んでおり、統一されていない

このあたりの事情はクトゥルフ神話に「公式設定」は存在するのかで扱っている。

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