旧支配者 — MNOMQUAH

ムノムクア

ダーレス以降

幻夢境の月に囚われ、月下に広がる黒湖ウボスを統べるとされる爬虫類状の神格。リン・カーターが創造したと伝えられ、ブライアン・ラムレイが長編『Mad Moon of Dreams』で配偶神オーンとの関係や月を操る力を大きく肉付けした。

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ムノムクア
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編集部注(層の区分と裏づけの範囲): ムノムクアは、H・P・ラヴクラフト本人の作品には登場しない。ラヴクラフト公式サイトhplovecraft.comが公開する作品一覧にも、この名は見当たらない[5]。当サイトの三層区分はラヴクラフトの死(1937年)より前の発表か後かで分けており、この神格が現れる作品はいずれも1980年代の発表であるため、本記事は拡張神話(ダーレス以降)として扱う。

裏づけの範囲を先に書く。関連作品の本文を当サイトは照合していない。いずれも著作権の存続する作品で、公開されたスキャンも見つからなかった。そのため、誰がいつどの雑誌・書籍に発表したかという書誌事実は書誌データベースの記録で確認して断定的に記し[1][2][3][4]、姿・権能・信仰といった作中の設定は「とされる」「伝えられるところでは」と断って区別する。原文からの引用は行わない。

概要

ムノムクアは、幻夢境(ドリームランド)の月の内部に囚われ、月下に広がる黒湖ウボスを統べるとされる爬虫類状の神格である。「黒湖の主」とも呼ばれる。創造したのはリン・カーターとされ、設定の大部分を肉付けしたのはブライアン・ラムレイの長編『Mad Moon of Dreams』(1987年)である[3]。

項目 内容
分類 旧支配者(当サイトの神格分類による。一次資料に基づく体系的な位置づけは確認していない)
欧文表記 MNOMQUAH
創造者 リン・カーターとされる
書誌上もっとも早い関連作 「Something in the Moonlight」(1980年12月、『Weird Tales #2』139ページ)[2]
表題に名を持つ作品 「Mnomquah」(1985年5月、『Crypt of Cthulhu』第31号25ページから)[1]
設定拡張の中心作 ブライアン・ラムレイ『Mad Moon of Dreams』(1987年)[3]
住処 幻夢境の月の内部、黒湖ウボス
配偶神とされる存在 オーン(触手を持つ巨大な軟体動物状の存在)
別名 黒湖の主(Lord of the Black Lake)

初出作品

書誌の上では、ムノムクアに結びつけられるリン・カーターの作品が三つ確認できる。

もっとも早いのは短編「Something in the Moonlight」で、1980年12月刊のアンソロジー『Weird Tales #2』(編集リン・カーター、Zebra Books / Kensington Publishing、265ページ、2ドル50セント)の139ページに収められている[2]。次いで1985年5月、ロバート・M・プライスが編集する同人誌『Crypt of Cthulhu』のRoodmas 1985号——誌面の表記では第4巻第6号、通巻第31号——に、そのものずばり「Mnomquah」と題する短編が25ページから掲載された。この号は56ページのA5判、定価2ドル50セント、表紙はスティーヴン・E・フェイビアン、全篇が小説という構成で、カーターの連作「The Book of Episodes」の第6話として登録されている。挿絵はジェイスン・C・エックハートが担当し、25ページと31ページに図版がある[1]。三つめが「The Fishers from Outside」で、1988年4月の『Crypt of Cthulhu』Eastertide 1988号に載り、のちに『The New Lovecraft Circle』(Fedogan & Bremer、1996年)と、カーターの神話作品を集成した『The Xothic Legend Cycle』(Chaosium、1997年)へ収められている[4]。

これらのうちどの作品でムノムクアの名が最初に現れるかは、本文を照合していないため当サイトでは確定できない。発表の順序だけは上記のとおりである。以前の版の本記事は、この『Crypt of Cthulhu』掲載記録をhplovecraft.comの書誌検索によるものとして、参照先を示せないまま載せていた。今回、書誌データベースISFDBの雑誌記録で同じ内容を確認し、参照先を示せる形に改めた[1]。

設定を大きく広げたのはブライアン・ラムレイである。長編『Mad Moon of Dreams』は1987年にW・ポール・ガンリーから刊行された(190ページのトレードペーパーバック、7ドル95セント、表紙デイヴ・カーソン、ISBN 0-932445-27-6)。この作品はラムレイの連作「New Adventures in H. P. Lovecraft’s Dreamlands」の第3作にあたり、1990年にヘッドライン、1994年にはトアからも版が出ている[3]。

原典での描写

ムノムクアは、H・P・ラヴクラフト存命期(1937年以前)の著作には登場しない。原典に直接の記述は無い。ラヴクラフト公式サイトの作品一覧にも名がなく[5]、本記事で扱う設定はすべて、ラヴクラフトの死後に成立した拡張神話に基づく。

ダーレス以降の変化

ムノムクアを直接手がけたのはオーガスト・ダーレスではなく、リン・カーターとブライアン・ラムレイである。ただしラヴクラフト没後の作家が神話を書き継いだ系譜に属する存在なので、この項にまとめる。以下の設定は、いずれも当サイトが本文を照合していない[6]。

  • 創造(リン・カーターとされる) — 大きな爬虫類的な姿と、うねる触手状の冠を持つとされる。眼窩は空洞なのに視力がある、という設定も伝えられる。幻夢境の月の内部に囚われているというが、そこに至った経緯は資料上はっきりしない
  • 設定拡張(ブライアン・ラムレイ『Mad Moon of Dreams』、1987年) — 配偶神オーンとの婚姻関係、月光によって人間の狂気を強める力、月の軌道をゆっくりと精密に操る力、幻夢境の月を地球側の幻夢境へ衝突させて破滅させる計画などが加えられたとされる

配偶神とされるオーンは、触手を持つ巨大な軟体動物状の存在として描かれ、旧支配者たちが目覚める時にムノムクアと再会するとされる。この婚姻設定自体がラムレイによる拡張とされる。

ボクルグは「旧支配者、あるいは下級旧支配者」とされ、ムノムクアに仕えるとされる。ただしボクルグ単独の出典である「サルナスの滅亡」自体にムノムクアへの言及はなく、この主従関係の典拠を当サイトでは確認できていない。未照合として扱う。

真の信奉者はレンの人間とムーンビーストのみとされ、幻夢境のサルコマンドの近くにムノムクアとオーンを祀る神殿があるとされる。

なお、盲目で聾の月神グリース(Gleeth、太古の大陸Theem’hdraおよび幻夢境で信仰されたとされる)は外見がムノムクアに似ていると言われることが多いが、両者の間に直接の関係はないとされる。

TRPGでの扱い

クトゥルフ神話TRPGの公式資料でムノムクアがどう扱われているかは、当サイトでは確認していない。「概要」欄の「旧支配者」という分類も、公式のTRPG資料ではなく当サイトの神格分類による整理である。

登場作品一覧

作品 年 作者 確認の状態
Something in the Moonlight 1980 リン・カーター 書誌でもっとも早い関連作。『Weird Tales #2』139ページ[2]
Mnomquah(『Crypt of Cthulhu』第31号、25ページから) 1985 リン・カーター 表題にこの神の名を持つ短編。連作「The Book of Episodes」第6話[1]
Mad Moon of Dreams 1987 ブライアン・ラムレイ 配偶神オーン、月光と月軌道への権能、月を衝突させる計画[3]
The Fishers from Outside 1988 リン・カーター 『Crypt of Cthulhu』Eastertide 1988号。登場するとされるが本文は未照合[4]

関連神格・地域・書物

神格・種族

  • オーン — 配偶神とされる、触手を持つ巨大な軟体動物状の存在。婚姻設定はラムレイによる拡張。当サイトに個別記事はない
  • ボクルグ — ムノムクアに仕えるとされるが、主従関係の典拠は確認できていない(未照合)
  • ムーンビースト — 真の信奉者とされる種族の一つ
  • グリース(Gleeth) — 外見が似ているとされる別の月神。直接の関係はないとされる

地域

  • 幻夢境の月(内部) — ムノムクアが囚われているとされる場所
  • 黒湖ウボス — 月の内部に広がるとされる湖
  • サルコマンド(幻夢境) — 近くにムノムクアとオーンを祀る神殿があるとされる

人物

参考文献

  • [1] 書誌データベースISFDB、同人誌『Crypt of Cthulhu, Roodmas 1985』Publication Record #356956(該当ページ)。編集ロバート・M・プライス、発行Cryptic Publications、1985年5月、56ページ、A5判、定価2ドル50セント、表紙スティーヴン・E・フェイビアン。注記に「Vol. 4, No. 6.」「#31」「”All-Fiction” issue」とある。目次上、リン・カーターの短編「Mnomquah」は25ページから始まり、連作「The Book of Episodes」の第6話として登録されている。ジェイスン・C・エックハートの挿絵が25ページと31ページにある。
  • [2] 書誌データベースISFDB「Something in the Moonlight」Title Record #77384(該当ページ)、および『Weird Tales #2』Publication Record #54156(該当ページ)。リン・カーターの短編、1980年12月。編集リン・カーター、発行Zebra Books / Kensington Publishing Corp.、265ページ、定価2ドル50セント、ISBN 0-89083-715-5。目次上、この短編は139ページから始まる。
  • [3] 書誌データベースISFDB『Mad Moon of Dreams』Publication Record #21034(該当ページ)。著者ブライアン・ラムレイ、1987年、発行W. Paul Ganley、190ページ、トレードペーパーバック、定価7ドル95セント、表紙デイヴ・カーソン、ISBN 0-932445-27-6。連作「New Adventures in H. P. Lovecraft’s Dreamlands」の第3作。同じ書名でHeadline(1990年4月)、Tor(1994年2月)の版も記録されている。
  • [4] 書誌データベースISFDB「The Fishers from Outside」の収録記録。『Crypt of Cthulhu, Eastertide 1988』(編集ロバート・M・プライス、Cryptic Publications、1988年4月、該当ページ)、『The New Lovecraft Circle』(Fedogan & Bremer、1996年)、『The Xothic Legend Cycle: The Complete Mythos Fiction of Lin Carter』(Chaosium、1997年)。
  • [5] ラヴクラフト公式サイト hplovecraft.com の作品一覧(該当ページ)。ムノムクアの名も、上記の各作品も含まれないことを確認した(2026年9月14日確認)。
  • [6] 姿・権能・信仰・系譜についての記述は、当サイトが収集した二次的な要約に基づく。関連作品の本文は照合していない。いずれも著作権の存続する作品で、公開されたスキャンは見つからなかった。本文を照合できる資料が得られた時点で書き直す。

なお[1]〜[4]はいずれも利用者が編集する書誌データベースISFDBの記録である。当サイトでは刊行年・版元・掲載誌・掲載ページといった書誌事実に限って用い、作中の描写や解釈の根拠には使っていない。

FAQ

Q. ムノムクアを創造したのはブライアン・ラムレイですか。 A. いいえ。収集した資料の限りでは、創造者はリン・カーターとされています。姿や幽閉状況といった基本設定はカーターに由来するとされ、配偶神オーンとの婚姻関係や月を操る権能など、後年広く知られる設定の多くを加えたのがラムレイの『Mad Moon of Dreams』(1987年)です[3]。資料によって両者の強調のされ方が異なるため、混同されることがあります。

Q. ムノムクアの初出作品はどれですか。 A. 本文を照合していないため、名がどの作品で最初に現れるかは確定できません。書誌の上で確認できるリン・カーターの関連作は、発表順に「Something in the Moonlight」(1980年12月)[2]、「Mnomquah」(1985年5月)[1]、「The Fishers from Outside」(1988年4月)[4]の三つです。

Q. ボクルグはムノムクアの部下として原典から確定している設定ですか。 A. いいえ。この主従関係の典拠を当サイトでは確認できておらず、ボクルグ自身の出典である「サルナスの滅亡」にムノムクアへの言及はありません。

Q. 作中の描写が引用されていないのはなぜですか。 A. 関連作品がいずれも著作権の存続するもので、当サイトが本文を照合できていないためです[6]。書誌事実だけを断定的に書き、設定の内容は二次的な要約に基づくものとして区別しています。

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