編集部注(著作権について): 本記事が扱う『サラプンコの彼方の峡谷』(Weird Tales誌1949年3月号掲載)は、パブリックドメインであるとは断定できません(理由は前作と同様)。本記事は原文からの引用を行わず、あらすじ・論評のみで構成しています。
概要
ニューオーリンズの旧家の学者が、失踪した大伯父の遺した資料を通じてクトゥルフ神話の深淵に足を踏み入れ、南米の秘境で邪教の儀式に遭遇する。作者ダーレス自身が「独立した物語と連作の橋渡しの両立が難しかった」と述懐した一作。
作品情報
- 執筆・発表年: 1946年執筆/1949年発表(「Weird Tales」誌3月号)
- 主題タグ: 遺された研究資料、南米の秘教、単身での潜入と脱出
登場神格・用語
あらすじ
クレイボーン・ボイドは、ニューオーリンズの旧家に生まれ、クレオール文化を研究する学者である。核物理学の元教授であった大伯父アサフ・ギルマンは、隠遁生活を送りながら、古代の異教崇拝とクトゥルフ神話の繋がりを独自に研究していたが、不審な状況で世を去る。ギルマンはボイドに、研究資料と遺物の詰まった二つの旅行鞄を遺す——その中には、クトゥルフの偶像や、難破船の生存者が海から浮上したルルイエらしき遺跡に遭遇したという手記も含まれていた。手がかりを追ったボイドは、サラプンコの彼方にある峡谷で神殿を発見し、儀式を隠れて目撃する——黒い淵から巨大な怪物が現れ、同行者アンドラーダを撃つ。ボイドは神殿を爆薬で破壊して脱出するが、後に残されたのは空になったガラス瓶だけで、彼自身の消息は途絶える。
読みどころと注目テーマ
遺された研究資料が導く運命、単身での潜入と決死の脱出、行方不明のまま終わる結末
執筆背景と影響
ダーレス自身が、独立した一編として成立させつつ連作全体の橋渡しの役割も担わせる難しさに不満を漏らしたと伝えられる一作。前後の主人公たち(シュルーズベリー、フェラン、キーン)とは別の視点人物を主役に据え、南米という新たな舞台へ神話の版図を広げた。





