小説 — The Lurker at the Threshold

暗黒の儀式

アーカムの旧邸を相続した青年が、封じられていた旧支配者ヨグ=ソトースの脅威を解き放ってしまう長篇。ダーレス版クトゥルフ神話の代表作。

公開更新出典最終確認作成AI支援で作成

誤りの指摘・訂正依頼と編集方針は運営者情報へ。

暗黒の儀式

編集部注(著作権について): 本記事が扱う『暗黒の儀式』(原題: The Lurker at the Threshold、1945年アーカムハウスより長篇小説として刊行)は、パブリックドメインであるとは断定できません(同時代・同著者の他作品に著作権更新登録の実例が確認されているため)。本記事は原文からの引用を行わず、あらすじ・論評のみで構成しています。

概要

アンブローズ・デュワートが相続したアーカムの旧邸に封じられていた邪なる力を、自らの手で解き放ってしまう長篇。ラヴクラフトの断片的なメモを基にダーレスが約5万語まで肉付けした「死後合作」シリーズ随一のボリュームを持つ作品。

作品情報

  • 原題: The Lurker at the Threshold
  • 執筆・発表年: 1945年発表(アーカムハウスより長篇小説として刊行。英国版はMuseum Press、1948年)
  • 主題タグ: 禁じられた要石、旧支配者の帰還を阻む闘い、ラヴクラフト断片の最大級の肉付け

登場神格・用語

あらすじ

アンブローズ・デュワートは、アーカムに残る一族の旧邸ビリントン館を相続し、居を移す。館には奇怪な塔と石の環、幻視をもたらすステンドグラス窓、禁書の並ぶ書庫が残されていた。一族の古文書には「戸口に潜む者」を招き入れてはならないという警告が記されているが、デュワートは塔の要石を動かしてしまい、封じられていた邪なる力を解き放つ。過去の妖術儀礼や失踪事件の真相を辿るうち、事態はヨグ=ソトースをはじめとする旧支配者を地上に呼び戻す陰謀へと発展するが、ミスカトニック大学の司書セネカ・ラファムらの介入により、辛くも召喚は阻止される。

読みどころと注目テーマ

禁じられた要石を巡るゴシック的恐怖、単純な善悪の対立を超えた旧支配者たちの脅威、デュワート一族に伝わる警告譚としての骨格

執筆背景と影響

S・T・ジョシイはこの長篇について「滑り出しは良いが、単純な善悪二元論の闘争へと急速に堕落する」と批判し、ラヴクラフトの寄与はごく僅かで「ラヴクラフト名義の作品としては数えるべきでない」とする立場を取る。一方E・F・ブライラーはダーレスによるラヴクラフト風パスティーシュの中では最良の出来と評価しており、評価は分かれる。ダーレス自身も本作の9割は自分の執筆であると認めていた[1]。より具体的には、本作は約5万語のうちラヴクラフト自身が実際に書いた分量はわずか1,200語程度に過ぎず、ダーレスはラヴクラフトが遺した3つの未完断片「新イングランドにて人にあらざる姿を取りし悪魔により行われし邪術について」「円塔」「バラ窓」(いずれも仮題)を素材に、物語の時代設定を1684年から1788年へと移し替えるなどの大幅な脚色を加えて長篇へ仕立て上げた[2]。1945年のアーカムハウス初版は3,041部のハードカバーで、「アーカムハウス・ノヴェルズ・オブ・ファンタジー・アンド・テラー」叢書の第2弾(かつ最終巻)として刊行され、1948年には英国のミュージアム・プレス社からも単行本化された。以降1971年のビーグル・ブックス版、バランタイン版、キャロル・アンド・グラフ版など複数のペーパーバック版が版を重ねている[3]。批評家ベアード・サールズは「見事なまでに不吉な」雰囲気を評価する一方、現代的な言及が作中の時代設定にそぐわないとも指摘している[1]。著者オーガスト・ダーレス(1909年2月24日、ウィスコンシン州ソーク・シティ生-1971年7月4日、62歳で死去)は、ラヴクラフトの死後、既存の出版社がその作品群に関心を示さなかったことを受け、1939年に盟友ドナルド・ワンドレイと共にアーカムハウス社を設立し、ラヴクラフトの短編をほぼ網羅した第一弾書籍『アウトサイダーとその他の物語』を刊行した人物である。年間75万〜100万語という驚異的な執筆量を誇り、生涯で短編150作以上・単行本100冊以上を幻想・怪奇・ミステリ・SF・郷土文学・伝記など多岐にわたるジャンルで発表した。「クトゥルフ神話(Cthulhu Mythos)」という呼称自体もダーレスの造語であり、彼はラヴクラフトの断片を基にした本作のような「死後合作」を数多く手掛けると同時に、旧支配者たちを元素の力として体系化し、ラヴクラフト本来の宇宙的虚無主義とは異なる、より楽観的な善悪二元論の世界観を神話体系に持ち込んだ人物として知られる(この改変の是非についてはS・T・ジョシイら研究者から批判もある)[4]

出典

本作は同時代・同著者の他作品に著作権更新登録の実例が確認されており、パブリックドメインであるとは断定できないため、原文からの引用は行っていません。以下は書誌的事実についての出典です。

  • [1] S・T・ジョシイは本作を「滑り出しは良いが、単純な善悪二元論の闘争へと急速に堕落する」と批判し、ラヴクラフトの寄与を「作品として数えるべきでない」水準とみなす。E・F・ブライラーはダーレスのラヴクラフト風パスティーシュ中最良の出来と評価。批評家ベアード・サールズは雰囲気を高く評価しつつ現代的言及との齟齬を指摘した。— 出典: Wikipedia「The Lurker at the Threshold」, 該当ページ
  • [2] 約5万語のうちラヴクラフト自身の執筆分は約1,200語。ダーレスはラヴクラフトが遺した3つの未完断片「新イングランドにて人にあらざる姿を取りし悪魔により行われし邪術について」「円塔」「バラ窓」を素材に、物語の時代設定を1684年から1788年へ移し替えて長篇化した。— 出典: Wikipedia「The Lurker at the Threshold」, 該当ページ
  • [3] 1945年、アーカムハウスより3,041部のハードカバー(「アーカムハウス・ノヴェルズ・オブ・ファンタジー・アンド・テラー」叢書第2弾・最終巻)として初版刊行。1948年に英国ミュージアム・プレス社版、1971年にビーグル・ブックス版、その後バランタイン版・キャロル・アンド・グラフ版が刊行された(ISFDB Title Record #8993)。— 出典: ISFDB「The Lurker at the Threshold」title record, 該当ページ
  • [4] オーガスト・ダーレス(1909年2月24日-1971年7月4日)は、1939年に盟友ドナルド・ワンドレイとアーカムハウス社を共同設立し、ラヴクラフトの死後散逸しかけていた作品群を保存・刊行した。「クトゥルフ神話」という呼称の考案者でもあり、年間75万〜100万語という執筆量で150作以上の短編・100冊以上の単行本を残した。旧支配者たちを元素の力として体系化し、ラヴクラフト本来の宇宙的虚無主義とは異なる善悪二元論を神話に持ち込んだことは、S・T・ジョシイらから批判も受けている。— 出典: Wikipedia「August Derleth」, 該当ページ
原典そのものを読むなら
定番の全集での紹介書籍 表紙
定番の全集で

ラヴクラフト作品を日本語の定訳でまとめて読みたいなら、創元推理文庫の全集(第1巻)から。全巻を通して主要作をほぼ網羅しています。

『ラヴクラフト全集1』をAmazonで見る ↗

※上記は広告リンク(アフィリエイト)です。

続きを辿る

記事URLをコピーしました