短編小説 — THE HORROR IN THE BURYING-GROUND

墓地の恐怖

ラットランドへの州道が閉まると、旅人はスワンプ・ホロウを過ぎるスティルウォーター街道を通ることになる。廃れかけた村のペックの雑貨店で、店にたむろする老人たちが囁き声で語るのは1886年6月17日の話。乱暴者トム・スプレイグと、彼を憎んだ葬儀屋ヘンリー・ソーンダイクが同じ日に葬られた。ソーンダイクは自分で調合した防腐液を自慢し、死体が跳ね起きて注射器が自分の腕に刺さった。「死んだように見えても死んだと思うな」と彼は言い残す。それ以来、妹ソフィーは鎧戸を閉ざし、白髭の白痴ジョニーは二つの墓に話しかける。ヘイゼル・ヒールドのための代作。1933〜35年執筆、1937年5月『ウィアード・テイルズ』発表。約5,800語。

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誤りの指摘・訂正依頼と編集方針は運営者情報へ。

墓地の恐怖

「ラットランドへ向かう州道が閉鎖されると、旅人たちはスワンプ・ホロウを過ぎる旧スティルウォーター街道を通らざるを得なくなる。景色は場所によっては見事なものだが、それでもこの道は長年、なぜか人に好まれてこなかった。」

— H・P・ラヴクラフト(ヘイゼル・ヒールド名義の代作)「墓地の恐怖」(1937年発表)冒頭部
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概要

公式アーカイブの本文には「H・P・ラヴクラフト、ヘイゼル・ヒールドのために」と署名があります[1]。年譜は「ヒールドと、1933/35年」と幅を持たせて記し[2]、初出は1937年5月の『ウィアード・テイルズ』でした[3]。約5,800語。神格も魔導書も出てこない、ニューイングランドの寂れた村の話です。

語り手は一人ではありません。旅人がスティルウォーターのペックの雑貨店で尋ねると、店にたむろする老人たちが順に話を継ぎます。エズラ・ダヴェンポート、ルーサー・フライ、老カルヴィン・ウィーラー、フレッド・ペック。本文はその「囁き」を、ときに地の文で、ときに方言まじりの直接話法で伝えます。「とても平凡な出来事を語る調子に、脅すような、不吉な質がある」と本文は言い、「孤立したピューリタンとその奇妙な抑圧の背後に潜む、本質的な恐怖」を旅人は感じ取ります[1]。

話の中身は1886年6月の一週間です。酒と暴力で妹を縛っていたトム・スプレイグが、酒浸りの旅から戻った朝に死に、彼を憎んでいた葬儀屋ヘンリー・ソーンダイクが「自分の新しい処方」の防腐液で遺体を処置する。処置の最中に死体が跳ね起き、注射器はソーンダイク自身の腕に刺さる。二日後の葬儀で、二人は同じ日に葬られます。「死んだように見えても死んだと思うな、待て」──それがソーンダイクの最後の言葉でした[1]。

作品情報

  • 原題: The Horror in the Burying-Ground
  • 署名: 公式アーカイブ本文は「By H. P. Lovecraft for Hazel Heald」[1]
  • 執筆: 1933年から35年のあいだ(年譜の表記は「1933/35」)[2]
  • 初出: 『ウィアード・テイルズ』第29巻第5号、1937年5月、596–606ページ[3]
  • 分量: 約5,800語(公式アーカイブ本文を機械集計)
  • 語り: 三人称の枠の中で、雑貨店の老人たちが交代で語る。終盤は老カルヴィンの方言の直接話法
  • 時: 語りの現在は不定。事件は1886年6月9日から17日と、その夜
  • 舞台: ヴァーモント州ラットランド近郊の村スティルウォーター。スプレイグ家、スワンプ・ホロウの墓地、ペックの雑貨店兼給油所

登場神格・用語

神格も魔導書も出てきません。以下は作中の人物です。

  • トム(トマス)・スプレイグ: 「最悪の場合には凶暴な獣」。身長6フィート1インチ。妹を脅しで押さえつけ、財産を分けたくないので嫁がせない。ラットランドへ酒盛りに出かけては荒れて帰る。1886年6月15日(火)の朝に死亡、17日(木)に埋葬
  • ソフィー・スプレイグ: 妹。事件のあと「二度と同じではなく」、やがて家に籠もり、裏口のマットの下に書き置きを残してペックの店の子に買い物を頼む。「スティルウォーターには呪いがある」と言うようになった
  • ヘンリー・ソーンダイク: 村で唯一の葬儀屋。ラットランドから来た「大学出で本の知識に満ちた」男。「新式の防腐液や馬鹿げた薬」を発明しようとし、動物で実験した。トムにフリーメイソンのロッジから締め出され、ソフィーに近づいて追い払われた
  • プラット医師: 老医師。「耳が遠く、半ば盲目」。トムに心臓と振戦譫妄の危険を警告していた
  • 「気違い」ジョニー・ダウ: 白髭の白痴。ソーンダイクの雑用をし、彼から注射で「気持ちよくなるもの」をもらっていた。いまは墓地で二つの墓に話しかけ、ソフィーの窓に向かって叫ぶ
  • スティーヴ・バーバー: 隣の農場の男。葬儀の異常に一人だけ気づいた人物。「10年前に肺炎で」死去
  • 語り手たち: エズラ・ダヴェンポート、ルーサー・フライ、老カルヴィン・ウィーラー(妻マチルダは「30年前に死んだ」)、フレッド・ペック(事件当時は「とても小さな子ども」)
  • その他: リーヴィット執事(その仔牛が実験の対象になった)、アトウッド牧師、ルエラ・モース(聖歌隊の神経質な老嬢)、エミリー・バーバー、巡査ジョサム・ブレイク、リージ・ホプキンズの犬

あらすじ

スティルウォーター

州道が閉まると旅人が通ることになる街道。「景色は場所によっては見事」なのに、長年好まれない。村の北の丘の上の「固く鎧戸を閉ざした農家」と、南の古い墓地に「墓の住人のいくらかと話しているらしい」白髭の白痴とが、運転者を落ち着かなくさせます。村はもう「大して残っていない」。土地は痩せ、人は川向こうの町や丘の向こうの市へ流れ、白い教会の尖塔は落ち、二十軒ほどの家の半分は空き家。普通の暮らしはペックの雑貨店兼給油所のまわりにしかありません[1]。

そこで尋ねる旅人は、「嫌悪と不安を少し」持って帰ります。たむろする老人たちは「ごく普通の出来事」を、「不当なほど内緒めいた、暗示的な、打ち明け話のような」調子で語り、ある箇所で「畏れの囁き」に落ちる。「老いたヤンキーはよくそういう話し方をする」と本文は書きます。「しかしこの場合、半ば朽ちかけた村の陰鬱な様子と、繰り広げられる話の陰惨な性質とが、この暗く秘密めいた癖に、余計な意味を与える」[1]。

1886年6月、鎧戸の家の由来

鎧戸の家は老ミス・スプレイグ──ソフィーの家です。兄トムが「86年の6月17日」に葬られ、「その葬儀と、同じ日に起きたもう一つのこと」の後、彼女は同じではなくなった。ジョニー・ダウが墓地で「トムと、もう一人と」話し、ソフィーの家の前を行進して叫ぶので、彼女は鎧戸を閉め始めた。「何かがどこからか、いつか彼女を捕まえに来る」とジョニーは言う[1]。

ジョニーが話しかける二つの墓は、トム・スプレイグのものと、墓地の反対の端のヘンリー・ソーンダイクのもの。ソーンダイクは「何マイル四方で唯一の」葬儀屋で、スティルウォーターでは好かれなかった。ラットランドから来た都会者、大学出、「誰も聞いたことのない奇妙なものを読み」、「新式の防腐液か馬鹿げた薬」を作ろうと薬品を混ぜていた。医者になろうとして落第し、「次善の職業」に就いたとも言われる。「意地悪く病的な気質」で、ゴミの山の空き瓶から見るに隠れ酒飲み。トムが彼を憎み、ロッジから締め出し、ソフィーに近づくと追い払ったのも無理はない。動物実験は「自然と聖書に反して」いた。コリー犬の見つかった状態、エイクリー老夫人の猫。リーヴィット執事の仔牛の件では、トムが村の若者を率いて説明を求めた。「奇妙なのは、その仔牛が結局生き返ったことだ。トムは火掻き棒のように硬くなったのを見つけていたのに」。誤りが分かる前に、ソーンダイクはトムの拳で倒されていました[1]。

トムは「最悪の場合には凶暴な獣」で、妹を脅しで半ば押さえつけていた。二人きりで、財産を分けたくないから嫁がせない。ソーンダイクは「人の背後で物事を進める術を心得た狡い奴」で、「見栄えはしなかったが、ソフィーは彼をまったく拒まなかった」。兄から解放してくれるなら誰でもよかった。「トムから解放してくれた男から、その後どう逃れるかまでは、考えなかったかもしれない」[1]。

6月15日

トムはラットランドへ定期的に酒盛りに行き、その留守がソーンダイクの機会でした。プラット医師は心臓と振戦譫妄の危険を警告していた。6月9日(水)、トムは「最後の、最長の」酒盛りに出て、翌週の火曜の朝、「ウイスキーに掴まれたときの癖で」栗毛の種馬を鞭打ちながら戻ります。スプレイグ家から叫びと悲鳴と罵りが聞こえ、ソフィーがプラット医師の家へ全速力で走った。医師が着くと、ソーンダイクがすでにスプレイグ家にいて、トムは寝台の上で目を見開き、口のまわりに泡を吹いていた。老プラットは手探りでいつもの検査をし、厳かに首を振り、ソフィーに「最も近く愛しい人が真珠の門を通って、よりよい地へ」と告げます。ソフィーは「少し鼻をすすったが、あまり取り乱さなかった」。ソーンダイクは「微笑んだだけ」。彼は医師の「半ば利く耳」に叫びます。トムの状態からして葬儀は早くする必要がある、と。酒飲みの体は「常に疑わしい」、田舎の設備では遅れるほど「視覚その他の結果」が受け入れがたくなる、と。医師が、トムの酒歴なら前もって防腐されていたはずだと呟くと、ソーンダイクは反対して、自分の腕と、実験で編み出した「優れた方法」を自慢しました[1]。

処置の夜

ここで語りは老カルヴィン・ウィーラーに移ります。「彼の声には、隠れた恐怖を示唆する忌々しく狡猾なやり方がある」。彼は旅人の上着の襟を掴んで囁きます。ソーンダイクは家から道具を運ばせ──「気違いジョニーがほとんど運んだ。いつもヘンリーの雑用をしていたから」──プラット医師とジョニーに遺体の支度を手伝わせた。医師はヘンリーが「喋りすぎる」と思っていた。自分がどんなに腕のよい職人か、スティルウォーターに「ホイットビーのようにそのまま埋める」のでなく本物の葬儀屋がいるのがどんなに幸運か。「『仮に』と彼は言う、『誰かが、本で読むような麻痺の痙攣に襲われたとしよう。下ろされて土を戻され始めたら、どんな気がする?新しい墓石の下で窒息しながら、力が戻ったら引っ掻き、掻きむしり、しかし無駄だと知っていたら?』」。「ヘンリーはそんなふうに、まるで哀れなトムの遺体に話しかけるように喋った」[1]。

ジョニーは死体を見つめ、「冷たくないよ、先生」「瞼が動くのが見えた」「ヘンリーが気持ちよくなる注射をくれるときに僕にできるのと同じ穴が腕にある」と涎を垂らしながら言い、ソーンダイクは黙らせました。「皆知っていたが、彼はジョニーに薬をやっていた」[1]。

「しかし医者によれば最悪だったのは、ヘンリーが防腐液を打ち始めたときに体が跳ね上がったことだ」。猫と犬で練習した「素晴らしい新しい処方」を自慢していた矢先、トムの死体が「生きていて取っ組み合いの支度をするように」二つ折りになった。医師は硬直の始まりの動きを知っていながら「恐怖で硬直した」。「要するに、死体は起き上がってソーンダイクの注射器を掴み、それがヘンリー自身に刺さって、彼に自分の防腐液を一服、きれいに与えた」。ヘンリーは針を抜き、体を寝かせて液を打ち込み、「十分にあるか確かめるように」量を計り続け、「大して入らなかった」と自分に言い聞かせた。ジョニーが歌い出します。「それはリージ・ホプキンズの犬が死んで硬くなってまた目覚めたときにやったやつだ! お前もトム・スプレイグみたいに死んで硬くなるぞ! 少ししか入らなきゃ、効き始めるまで長くかかるんだった!」[1]

階下ではソフィーが近所の女たち──カルヴィンの妻マチルダも──といた。女たちは、トムが帰ったときソーンダイクがいたのか、それが「哀れなトムを爆発させた」のかを探ろうとしていた。「ヘンリーがあの妙な調合液と注射器でトムを片づけたとか、ソフィーがそう思っても黙っているとか、誰かがほのめかしたわけではないが」、エミリー・バーバーはマチルダに、ヘンリーは「誰にも疑いを残さない死亡証明書」を書く老プラットがその場にいて幸運だった、と言った[1]。

6月17日、葬儀

語りはフレッド・ペックへ。葬儀は死の二日後、6月17日(木)。遠方の村では「ほとんど不作法な」早さでしたが、ソーンダイクが「故人の特異な状態」を理由に押し切った。彼は処置以来神経質で、しきりに脈を取っていた。プラット医師は「誤って入った防腐液」を気にしているのだろうと思う。「処置」の話は広まり、「好奇心と病的な関心を満たす」ために弔問客が集まった。遺体の「まったくの生き生きとした様子」に皆驚き、ソーンダイクは「決まった間隔で注射を繰り返して」仕事を確かにした。そして相変わらず、「一流の葬儀屋がいる幸運」を語り続ける。「もしトムが、客を生きたまま埋めるような無頓着な連中にかかっていたら?」。「早すぎる埋葬の恐怖を繰り返す様は、まことに野蛮で胸の悪くなるものだった」[1]。

式は「スプレイグ夫人が死んで以来初めて開けられた」むっとする客間で。調子外れの小型オルガン、花で覆われた棺。「記録破りの群衆」が集まり、ソフィーは「彼らのために」悲しみの顔を作ろうと努めます。無防備な瞬間には「戸惑いと不安」を見せ、熱っぽい葬儀屋と生きているような兄の遺体とを交互に見た。近所の者は、トムが片づいた今、ソフィーはじきにヘンリーも追い払うだろう、と囁きます。「もしできれば、だが。ああいう抜け目ない客はときに手強い」[1]。

オルガンが「どこかの美しい島」を軋ませ、聖歌隊が加わる。皆がリーヴィット執事を敬虔に見る中、ジョニー・ダウだけが棺のガラスの下の形に目を貼りつけ、呟いていた。隣の農場のスティーヴ・バーバーだけがそれに気づき、白痴が「死体に直接話しかけ、指で愚かな合図をして、ガラスの下の眠り手を嘲っているように」見えて身震いする。「この出来事全体の何かがスティーヴの神経に障った」。空気には「抑えられた緊張と、陰鬱な異常」がある。ソーンダイクが「遺体を見まいと努めている」のも奇妙だった。アトウッド牧師が「愛する兄妹の地上の絆を断つ死の剣」を単調に語り、近所の者は目を伏せて互いを盗み見、ソフィーは神経質にすすり泣き、ソーンダイクが慰めに寄ると「奇妙に身を引いた」[1]。

ルエラの悲鳴

最後の対面。ソーンダイクはジョニーを棺から乱暴に引き離す。「トムは安らかに休んでいるように見えた。あの悪魔も昔は美男だった」。スティーヴ・バーバーは長く顔を見つめて首を振り、妻エミリーは「ヘンリーは腕を自慢しないほうがいい、トムの目が開いている」と囁きます。式の始まりには閉じていた。「だが確かに自然に見えた──二日後に期待するような様子ではなく」[1]。

聖歌隊の神経質な老嬢ルエラ・モースが棺を覗き込み、「前触れなく甲高い悲鳴を上げて、気絶して倒れた」。部屋は混乱に。ジョニーが唱え始めます。「あいつは知ってる、知ってるんだ、俺たちの言うことが全部聞こえて、やることが全部見えてて、それであいつをそのまま埋めるんだ」。聞き取ったのはスティーヴだけ。ルエラは「あの顔つき──あの顔つき」としか言えません。ほかの目には遺体は同じに見えた。「開いた目と高い血色で、陰惨な光景ではあったが」[1]。

そこで群衆はソーンダイクに気づきます。混乱で倒され、床から起き上がろうとしている。「顔の表情は極度に恐ろしく、目は硝子質の、魚のような表情を帯び始めていた」。喉の嗄れた音は「言いようのない絶望」を伝える。「家に連れて帰ってくれ、早く、そっとしておいてくれ。間違って腕に入ったあの液……心臓……この興奮……多すぎた……待て……待て……死んだように見えても死んだと思うな……液のせいだ……家に連れて帰って待て……あとで気がつく、いつかは分からない……そのあいだずっと意識はあって、何が起きているか分かっている……騙されるな……」。プラット医師が脈を取り、長く見て、首を振ります。「もう手はない──逝った。心臓が悪かった、腕に入った液は悪いものだったに違いない。何か知らないが」[1]。

「死の部屋に新たな死!」。スティーヴ・バーバーだけがソーンダイクの最期の言葉を持ち出します。本人が「偽って死んだように見えるかもしれない」と言ったのに、本当に死んだのか。少し待って見るべきではないか。ついでにプラット医師はトムをもう一度診るべきではないか。ジョニーはソーンダイクの体に「忠実な犬のように」身を投げて呻きます。「埋めないで、埋めないで!リージ・ホプキンズの犬やリーヴィット執事の仔牛が注射されたときと同じで、死んでない!死んだように見えて全部分かってて、次の日にはよくなるやつを打ったんだ! 埋めないで──土の下で気がついて、掻き出せない! この人はいい人だ、トム・スプレイグとは違う。トムが何時間も何時間も掻いて窒息するように、神様に祈る……」。しかしバーバー以外、誰もジョニーに注意を払わず、スティーヴの言葉も「聞く耳のない者に落ちた」[1]。

二重の埋葬

プラット医師は最後の検査をして死亡証明書を呟き、アトウッド長老は二重の埋葬を提案します。ソーンダイクが死んだ以上、ラットランドのこちら側に葬儀屋はおらず、呼べば大変な費用で、6月の暑さの中でソーンダイクを防腐しなければ──「まあ、分からない」。批判する親族も友人もいない。ソフィーは部屋の向こうで「黙って、じっと、ほとんど病的に」兄の棺を見つめていた。ソーンダイクの家から棺が運ばれ、鍵は「ヘンリーのズボンのポケットに」あった。彼の宗派を調べてラットランドの親族が(皆故人)バプテストだったと分かり、リーヴィット執事が短い祈りをすることになる。「スティルウォーターとその近辺の葬儀好きにとって、祝祭の日だった」。ジョニーは家から叩き出され、遠い遠吠えが時折漂ってくる[1]。

ソーンダイクの遺体が棺に納められ、トマス・スプレイグの隣に並べられると、ソフィーは兄を見つめたのと同じように、じっとそれを見つめた。「危険なほど長いあいだ一言も発しておらず、顔の混ざり合った表情は描写も解釈も超えていた」。一人にされると「機械的な言葉」を見つけたようで、誰にも聞き取れなかったが、「まず一方の遺体に、次いでもう一方に話しかけているようだった」。そして「外部の者には陰惨で無意識の喜劇の極みに見えるであろう」ことに、午後の葬儀の茶番がそっくり繰り返されます。オルガン、聖歌隊、単調な祈り、そして今度は「二重に並んだ死の安息」の前を通る野次馬の列。スティーヴ・バーバーは再び「不気味な恐怖と悪魔的な異常の底流」を感じます。「神よ、あの二つの死体はなんと生きているように見えることか……哀れなソーンダイクは死んだと判定されたくないと、なんと真剣だったか……そして彼はなんとトム・スプレイグを憎んでいたか……だが常識を前に何ができる──死人は死人で、年季の入った老プラット医師がいる……ほかの誰も気にしないなら、なぜ自分が気にする?……トムが何を受けたにせよ、たぶん当然の報いで……ヘンリーが彼に何かしたなら、これで貸し借りなし……まあ、ソフィーはついに自由だ……」[1]。

窓の顔

列が玄関へ向かい、ソフィーが再び遺体と二人きりになったとき、客間から「狂乱の悲鳴」が上がります。ソフィーが飛び出してくる。「窓のあの顔!……窓のあの顔!」。同時に家の角から「目を血走らせた姿」が現れ、謎は消えます。顔の主はジョニーで、跳ね回りながらソフィーを指さして叫びます。「あいつは知ってる! 知ってる! あの二人を見て話しかけたときの顔で分かった! 知ってて、二人を土の下へ、空気を求めて掻きむしるところへ行かせるんだ……でも二人はあいつに聞こえるように話しかける……話しかけて、姿を見せる……そしていつか戻ってきて、あいつを捕まえる!」。ジョニーは薪小屋に閉じ込められ、叫びと殴打の音は遠くまで聞こえましたが、誰も気に留めません[1]。

葬列はスワンプ・ホロウの墓地へ。アトウッド長老がトマス・スプレイグを葬り、そのあいだにエドとイーサンが墓地の反対側にソーンダイクの墓を掘り終え、群衆はそちらへ移る。リーヴィット執事が「装飾的に」語り、下ろす作業が繰り返される。土が棺の蓋に音を立てて落ち始めたとき──ソーンダイクのが先──スティーヴ・バーバーはソフィーの顔に「奇妙な表情が次々によぎる」のを見ます。「そのすべての背後に、歪んだ、倒錯した、半ば抑えられた、漠然とした勝利の表情のようなものが潜んでいた」[1]。

ジョニーは薪小屋から出され、墓地へ駆けつけます。「彼がトム・スプレイグの半ば埋まった墓に何を叫び、墓地の向こうのソーンダイクの新しい盛り土をどう引っ掻いたか、生き残った目撃者はいまも思い出して身震いする」。巡査ジョサム・ブレイクが力ずくで彼を町営農場へ連れ戻し、「その叫びは恐ろしい反響を呼び覚ました」[1]。

午前2時

フレッド・ペックはたいていここで話をやめる。「陰鬱な悲劇で、ソフィーがその後おかしくなったのも無理はない」。しかし老カルヴィンがまだいると、彼は「忌々しく暗示的で狡猾な囁き」で割り込みます。「あんた、なぜソフィーが鎧戸を閉めてるか、なぜ気違いジョニーがまだ死人と話してソフィーの窓に叫ぶか知りたいんだろう? 全部知ってるとは言わんが、聞いたことは聞いた」[1]。

「同じ夜だ、いいか──朝方近く、埋葬から8時間後──ソフィーの家から最初の悲鳴が聞こえた」。スティーヴとエミリーのバーバー夫妻、カルヴィンとマチルダが寝間着のまま駆けつけると、ソフィーは服を着たまま居間の床で気絶していた。正気づくと「木の葉のように震え」、何があったか一言も言わない。一時間ほどして帰ろうかというとき、ソフィーは「何かを聞いているように」首を傾げ、突然また悲鳴を上げて気絶した[1]。

「かすかに聞こえたのは、もちろん哀れな気違いジョニーだった」とカルヴィンは言い張る。墓地まで1マイルもない。町営農場の窓から抜け出したに違いない──「ブレイク巡査はあの夜は出ていないと言うが」。それ以来ジョニーは墓地でトムの盛り土を罵って蹴り、ヘンリーのには花を置き、ソフィーの窓に「じきに捕まえに来るもの」を吠える。ソフィーは墓地に近づかず、いまは家からまったく出ず、誰にも会わない。「スティルウォーターには呪いがあると言い出した──このところの廃れ方を見ると、半分は正しいかもしれん」。「毎年6月17日の物音とか、毎晩真っ暗な2時ごろにソフィーの扉と窓を試す、かすかに光る人影とかいう連中の話は、わしは真に受けん」[1]。

「いいか、ソフィーが物音を聞いて二度倒れたのは、埋葬のあとの最初の夜の、午前2時ごろだった。二度目の音はスティーヴとわし、マチルダとエミリーが聞いた、話したとおりかすかにな。もう一度言うが、あれは墓地の気違いジョニーに違いない、ジョサム・ブレイクが何と言おうと。あんな遠くの人の声は聞き分けられんし、頭が馬鹿げた考えでいっぱいなら、声が二つあると思ったのも、喋るはずのない声だと思ったのも、無理はない」。スティーヴは自分より多く聞いたと言った──「奴は幽霊を信じていたと思う」。マチルダとエミリーは怖くて覚えていない。町のほかの誰も、何も聞いたと言わなかった[1]。

「何だったにせよ、言葉がなかったら風だったかもしれんほどかすかだった。わしはいくつか聞き取ったが、スティーヴが聞いたと言うのを全部裏づける気はない」。カルヴィンが挙げる語は、『女悪魔』『ずっと』『ヘンリー』、はっきり聞こえた『生きて』と『お前は知っていた』、『味方すると言った』『あいつを片づけろ』『私を埋めた』──「何か変わった声で」。そして「死人のような嗄れ声」の『いつかまた来る』。「だがジョニーにあの音が出せなかったとは、わしに言えんぞ」。「おい、あんた! そんなに急いでどこへ行く? その気になればもっと話せることがあるかもしれんのに……」。本文はここで終わります[1]。

読みどころと注目テーマ

語り手が四人いる

この作品には、雑貨店の老人たちという集団の語り手がいます。誰が話すかは本文が指定します。前半はエズラかルーサー、処置の夜は老カルヴィン、葬儀はフレッド・ペック、最後の夜は再びカルヴィン。「ジョニー・ダウが通りかかると必ず間が空く。スティルウォーターはジョニーがよそ者と話しすぎるのを好まない」。カルヴィンだけが方言の直接話法で語り、その部分にだけ、本文が「否定しながら伝える」形の情報──二つの声、聞き取った単語──が入っています。何が起きたかは、いちばん信用できない語り手の、いちばん否認の多い部分にだけ書かれています。

「死んだと思うな」

ソーンダイクは処置の夜、仮死と生き埋めの恐怖をトムの遺体に向かって延々と語り、葬儀では「客を生きたまま埋める無頓着な連中」を嘲ります。それが自分の最期の言葉になる。「死んだように見えても死んだと思うな……そのあいだずっと意識はあって、何が起きているか分かっている」。ジョニーは「次の日にはよくなるやつ」だと叫び、スティーヴは「少し待つべきではないか」と言いますが、村は待ちません。本文は、リーヴィット執事の仔牛が「結局生き返った」こと、リージ・ホプキンズの犬が「死んで硬くなってまた目覚めた」ことを、前もって二度置いています。

ソフィーの顔

ソフィーは終始、ほとんど言葉を持ちません。「少し鼻をすすった」、二つの棺を「じっと見つめた」、一人になると「まずこちらに、次にあちらに話しかけているようだった」、土が落ちるときの「半ば抑えられた勝利の表情」。ジョニーは「あいつは知ってる」と叫び、老人たちは「彼女なら黙っているだろう」と匂わせます。最後の夜に聞こえたという断片──「女悪魔」「お前は知っていた」「味方すると言った」「あいつを片づけろ」「私を埋めた」──が、彼女が何を知り、何を黙っていたかの唯一の手がかりです。本文はそれを、「風だったかもしれん」という留保つきで置きます。

手抜きの葬儀屋と、腕のよすぎる葬儀屋

墓地にて(1925年)の葬儀屋は粗末な棺を作って報いを受けました。本作の葬儀屋は逆に、「一流の職人」であることを誇り、自分の防腐液で「死体が生きているように見える」ことを自慢し、それが彼自身に返ってきます。どちらも村の一人きりの葬儀屋で、どちらの話も「墓に何が起きたか」を語らずに終わり、どちらも医師が最後の言葉を持ちます。本作では、その医師が「耳が遠く、半ば盲目」であることが、初めから書かれています。

執筆背景と影響

公式アーカイブの年譜は本作を「ヘイゼル・ヒールドと、1933/35年」と記しています[2]。本文の署名は「H・P・ラヴクラフト、ヘイゼル・ヒールドのために」[1]。初出は1937年5月の『ウィアード・テイルズ』第29巻第5号、596ページから606ページでした[3]。ヒールドとの分担や執筆の経緯について、公式アーカイブの本文と作品情報ページに記載はなく、当サイトでは確認していません。ヒールド名義の代作としては、博物館の恐怖(1932年10月)が先行します。

廃れた村、雑貨店にたむろする老人、ピューリタンの抑圧、生き埋めの恐怖という材料は、墓地にてと、家のなかの絵(1920年)の「ニューイングランドの奥地」の系列に連なります。本作は神話固有の名を一つも使わず、雑貨店の囁きだけで恐怖を組み立てている点で、その系列の中でもっとも土地に密着した一本です。

出典

[1] H. P. Lovecraft [for Hazel Heald], “The Horror in the Burying-Ground” (本文).The H. P. Lovecraft Archive. https://www.hplovecraft.com/writings/texts/fiction/hb.aspx本記事の引用・要約はすべてこの本文に基づきます。訳文は当サイトによる試訳です。

[2] “Lovecraft’s Fiction” (作品年譜). The H. P. Lovecraft Archive.https://www.hplovecraft.com/writings/fiction/執筆時期(ヒールドと、1933/35年)、および「墓地にて」1925年9月18日・「博物館の恐怖」1932年10月・「家のなかの絵」1920年12月12日の出典。

[3] “Data Page for ‘The Horror in the Burying-Ground'” (作品情報・出版履歴).The H. P. Lovecraft Archive. https://www.hplovecraft.com/writings/fiction/hb.aspx初出『ウィアード・テイルズ』第29巻第5号(1937年5月)596–606ページの出典。

関連作品ガイド ── どれから楽しむか

  • 墓地にて — 同じ「村の葬儀屋」の話。あちらは手抜きの、こちらは腕のよすぎる葬儀屋。二本を続けて読むと、報いの形がどう変わるかが分かります。
  • 博物館の恐怖 — 同じくヒールド名義の代作。こちらは神話の神格が前面に出る作品で、本作とは対照的です。
  • 家のなかの絵 — ニューイングランドの奥地の、もう一つの「囁かれる家」。本作の鎧戸の家の先例として読めます。
  • ヘイゼル・ヒールド — 本作の名義人の項。
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