概要
ハンセン病を患い世間から隔離された語り手が、外科医の友人マーシャル・アンドルーズの手で「仮死」を装って埋葬され、後に蘇生させられるまでの顛末を語る一篇。目覚めた先に待っていた恐るべき真実が結末で明かされる。
作品情報
- 執筆・発表年: 1937年1月号「ウィアード・テイルズ」誌発表
- 主題タグ: 疾病と隔離、仮死と蘇生、身体の改変、友情を装った裏切り
登場神格・用語
(なし)
あらすじ
東洋滞在中にハンセン病に感染した語り手は、外科医の友人マーシャル・アンドルーズの屋敷に匿われ、世間から隔絶された生活を送っていた。ある時アンドルーズは西インド諸島から持ち帰った秘薬の話を切り出す——それはハイチの「医者」から得た薬で、脈も呼吸も完全に止まったかのような深い仮死状態を引き起こし、どんな医師の検死も欺けるという。病状の悪化で追い詰められていた語り手はこの提案を受け入れ、薬を服用して仮死状態となり、正式に死亡が宣告されて埋葬される。その後アンドルーズの手で墓から掘り起こされ蘇生させられた語り手は、古い屋敷の一室で目を覚ますが、自分の体に生じた異変——見慣れぬ長い毛深い腕と奇妙に短い脚に気づき愕然とする。アンドルーズは語り手を「傑作」の実験台として利用しており、ハイチから持ち帰った未知の生物の胴体に語り手の頭部を移植していたのだった。絶望した語り手は、埋葬されていた墓を自ら暴き、そこに残されていた自分自身の——朽ち果て、首のない——本来の亡骸を目にして物語は終わる。
読みどころと注目テーマ
友情を装いながら被害者を「作品」として扱う狂気の外科医という構図が、ラヴクラフトの他の身体改造モチーフ(「冷気」等)と響き合う。結末の一文で明かされる真相が全ての前提を反転させる構成は、この時期のラヴクラフト代作群に共通する語りの技巧を示している。
執筆背景と影響
デュエイン・W・ライメルが持ち込んだプロットを、ラヴクラフトが大幅に加筆・改稿して仕上げた作品とされる。身体の主体性が他者の手で奪われるという恐怖は、同時期のヒールド代作群とも通じる、この時期のラヴクラフトが好んで扱ったテーマの一つである。


