概要
「事実」と題しながら、報告書のような乾いた文体で語られる血統の悲劇。曾祖父サー・ウェイドのコンゴ探検にまつわる奇怪な言い伝えと、末裔アーサーを待つ破滅的な真実を描く。
作品情報
- 執筆・発表年: 1920年執筆/1921年3月発表(アマチュア雑誌「The Wolverine」)。「白い猿(The White Ape)」の題でWeird Tales誌1924年4月号にも再掲
- 主題タグ: 血統の秘密、コンゴ探検、剥製の女神
登場神格・用語
(なし)
あらすじ
ジャーミン家の末裔アーサーは、詩人にして学者、そして醜悪な容貌の持ち主として知られていた。彼の曾祖父サー・ウェイドは若き日にコンゴ地方を探検し、奇怪な巨石の廃墟や、白い肌を持つ類人猿に統べられた文明について、酒に酔うたびに語っては周囲から狂人扱いされていた人物である。数世代を経てアーサーは、この一族の秘密を解き明かすべく、コンゴに残る「剥製の女神」なる遺物の入手に執念を燃やす。ベルギー人の調査員から届いたその梱包を、使用人たちを全員部屋の外に出した上で独り開封したアーサーは、程なくして恐怖の絶叫を上げて部屋を飛び出し、地下室へと駆け下りる。その夜、彼は全身に石油の匂いを漂わせながら中庭へ現れ、自らに火を放って生涯を終えた。
読みどころと注目テーマ
乾いた報告書調の文体と内容の落差、血統に潜む秘密、正体を明かさぬまま示唆する恐怖
執筆背景と影響
「事実」という題名そのものが皮肉として機能する構成を持つ初期作品。アフリカ探検という当時流行のモチーフと、血統の秘密という後年繰り返されるテーマが早くも組み合わされている。


