概要
アイルランドの沼地に眠る古代からの守護者たちの怒りを描いた、ダンセイニ卿の影響が色濃い怪奇譚。ボストンのアマチュア文筆家クラブでの晩餐後の余興として即興的に書かれた一作。
作品情報
- 執筆・発表年: 1921年執筆/1926年発表(「Weird Tales」誌)
- 主題タグ: 古代の呪い、開発への冒涜、変容する友人
あらすじ
語り手は、アイルランドの祖先の地に戻り城を修復したアメリカ人の友人デニス・バリーのもとを訪れる。バリーは、古の呪いと超自然的な番人にまつわる土地の農民たちの警告を無視し、実利目的で近くの沼を干拓しようとしていた。語り手は次第に不穏な出来事に見舞われる——古代ギリシャの都市を思わせる鮮明な夢、夜な夜な響く笛の音、そして最後には、労働者たちが超自然的な行列に導かれて沼の水中へと消えていく恐ろしい幻視。語り手は、使用人も労働者も全員が、島に立つ廃墟の神殿から放たれる異界の光に伴われながら沼に引き込まれていくのを目撃する。城から逃げ出した語り手はバリーロウ付近で錯乱状態のまま発見される。彼の脳裏には二つの光景が焼き付いている——「甲高く笛のような声で鳴く巨大な蛙」と、廃墟から月へと伸びる光の柱の中に浮かぶ、バリーの影に「怪物じみて酷似した」何かの姿である。
読みどころと注目テーマ
古の禁忌を破る開発者、沼に潜む番人たち、友人の異形への変容
執筆背景と影響
1921年3月10日、ボストンのHub Club(アマチュア文筆家の集い)における聖パトリックの祝日にちなんだ晩餐会で、即興の「余興」として口頭で披露するために急遽書き下ろされた。アイルランドを舞台にすることが会の趣向として求められていたための設定である。後年「Weird Tales」1926年6月号に掲載された。


