小説 — The Lair of the Star-Spawn

羅睺星魔洞

ビルマの伝説都市を探す探検隊が恐るべき小人族チョー・チョー人に襲われ、彼らが崇める双子の神ロイガー・ザーを巡る攻防に巻き込まれる。

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羅睺星魔洞

編集部注(著作権について): 本記事が扱う『羅睺星魔洞』は、1932年発表の「ウィアード・テイルズ」誌掲載作で、著作権が更新登録されているため(登録番号R255762)、2028年まで米国で著作権が継続しています(パブリックドメインではありません)。本記事は原文からの引用を行わず、あらすじ・論評のみで構成しています。

概要

ビルマの高原に伝わる伝説の都市アラオザルを探す探検隊が、恐るべき小人族「チョー・チョー人」に襲われる冒険譚。チョー・チョー人と、彼らが崇める神格ロイガー・ザーを神話に導入し、初期の版では「旧神(Elder Gods)」という語も登場する、体系形成期の重要な一作。オーガスト・ダーレスと、当時20代前半だった幼馴染マーク・ショーラーとの共作で、ISFDB(Internet Speculative Fiction Database)のタイトルレコード#59569に書誌が登録されている[1]

作品情報

  • 執筆・発表年: 1932年発表(「ウィアード・テイルズ」誌8月号、マーク・ショーラーとの共作)
  • 主題タグ: 秘境探検、忌まわしき先住民、双子の忌まわしき神

登場神格・用語

あらすじ

1902年、探検家ジェフリー・ホークス率いる学術調査隊が、ビルマの「スンの高原」にある「恐怖の湖」畔の伝説都市アラオザルを求めて踏査する。現地の民は、高原に住むという恐るべき小人族「チョー・チョー人」を恐れ、道案内を拒む。隊員エリック・マーシュが忘れ物を取りに引き返した隙に、一行は身の丈4フィートに満たぬ、小さな目を持つ丸い禿頭のチョー・チョー人の群れに惨殺される。マーシュは単身アラオザルへ辿り着き捕らえられるが、そこで長年チョー・チョー人に奴隷として使役されていた中国人科学者フォー・ラン博士と出会う。フォー・ランは、彼らがある「恐るべき厄災」を世界に解き放とうとしていると明かす。フォー・ランは高僧イー・ポーを欺き、「星の戦士たちが救援に来る」と偽って、双子の忌まわしき神ロイガーザーへの門を開かせる。マーシュとフォー・ランが護衛のチョー・チョー人4名を殺して高原に乗り込むと、空から巨大な炎の人型が武器を手に降臨し、アラオザルの都市を残らず打ち砕く。ロイガーザーは解放されるどころか滅ぼされ、フォー・ランとマーシュだけが生き延びて文明社会へと帰還する。

読みどころと注目テーマ

本作の恐怖は怪物そのものよりも、味方のふりをして相手を欺く知略にある。中国人科学者フォー・ランは、チョー・チョー人を出し抜くために高僧イー・ポーへ偽りの希望(「星の戦士たちが救援に来る」)を吹き込み、まんまと封印の門を開かせる。しかし門の先から現れるのは救済者ではなく、ロイガーとザーもろとも都市を焼き尽くす圧倒的な破壊者であり、「解放」を目指した企みが「絶滅」で終わるという皮肉な結末が本作最大の読みどころである。忌まわしき先住民・秘境探検・双子の邪神という要素を組み合わせた構成は、後続のパルプ怪奇小説における「失われた都市」ものの定型の一つとなった。

執筆背景と影響

ラヴクラフトの生前、彼自身が編纂した神話固有名詞集(「ミスカトニック大学に関する覚書」等)を参照しつつ書かれたとされる共作で、チョー・チョー人・ロイガー・ザーという後の神話作品に頻出する要素を導入した。「旧神」という語がこの初期の版に見られる点は、後にダーレスが確立する善悪二元論的な「元素理論」(サイト内四大元素説参照)の先駆けとして注目される。共作者のマーク・ショーラーはダーレスの幼馴染で、当時二人はウィスコンシン州ソーク・シティで缶詰工場に勤めながら山小屋を借り、怪奇小説を書いてはウィアード・テイルズ誌へ売り込むという生活を送っていた[2]。ショーラーは後に文筆から学究の道へ転じ、ウィスコンシン大学で博士号を取得後、ハーバード大学等を経てカリフォルニア大学バークレー校の英文学科長を務め、シンクレア・ルイスの評伝『Sinclair Lewis: An American Life』(1961年)で高い評価を得た文芸批評家として名を残した[3]。ロイガーとザーは、双子の「忌まわしき者たち」として後年の神話作品にもたびたび再登場する神格となった[4]

出典

  • [1] “The Lair of the Star-Spawn”(August Derleth・Mark Schorer共作)、Title Record #59569。初出は「ウィアード・テイルズ」1932年8月号(編集ファーンズワース・ライト)、1966年にArkham House刊行の短編集『Colonel Markesan and Less Pleasant People』に再録。— 出典: ISFDB(Internet Speculative Fiction Database), 該当ページ
  • [2] 1932年当時23歳前後だったダーレスは、ウィスコンシン大学卒業後にソーク・シティへ戻り、缶詰工場に勤めながら幼馴染マーク・ショーラーと山小屋を借りて怪奇小説を共作し、ウィアード・テイルズ誌に売り込んでいた。ダーレスは10代の頃からラヴクラフトと文通していた。— 出典: Wikipedia「August Derleth」, 該当ページ
  • [3] マーク・ショーラー(1908-1977)。ソーク・シティ生まれでダーレスとは幼馴染。ウィスコンシン大学で博士号取得後、ダートマス・ハーバード大学等を経てカリフォルニア大学バークレー校英文学科長(1960-1965年)。代表作は評伝『Sinclair Lewis: An American Life』(1961年)。— 出典: Wikipedia「Mark Schorer」, 該当ページ
  • [4] ロイガーとザーは本作でダーレスとショーラーにより創造された触手状の怪物で、後年の神話作品では「双子の忌まわしき者たち(Twin Obscenities)」として言及される、旧支配者に分類される神格。— 出典: Wikipedia「Lloigor」, 該当ページ
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