編集部注(裏づけの範囲): 本記事は、版元Pelgrane Press・Atlas Gamesの公式サイトと、ICv2・Bleeding Coolなど編集体制のある業界メディアの記事のみで裏づけた[1][2][3][4][5][6][7]。存命の人物であるため、本名の詳しい生年月日・出身地・私生活には立ち入らず、公表された活動の事実(デザイン・執筆・受賞・所属)に絞って記載している。本人が運営するブログ(robindlaws.com は robin-d-laws.blogspot.com へ転送される)は出典として採用していない。
概要
ロビン・D・ロウズ(Robin D. Laws)は、カナダ出身のTRPGデザイナー・作家である。Pelgrane Press社の公式プロフィールによれば、『The Yellow King RPG』『Hillfolk』『The Esoterrorists』などのロールプレイングゲームを手がけ、ゴールド8回・シルバー7回のENnie Award、およびダイアナ・ジョーンズ賞を受賞しているという[1]。もっともよく知られる功績は、手がかりの取得そのものを判定の対象から外し、物語の停滞(デッドエンド)を防ぐ設計思想を持つ捜査系TRPGシステム「GUMSHOE(ガムシュー)」の考案である[1][2]。このシステムは、当サイトで扱う『トレイル・オブ・クトゥルー』や『Cthulhu Confidential』など、クトゥルフ神話を題材にした複数のTRPGの基盤になっている。2025年3月29日、Pelgrane PressはロウズをCreative Directorに迎えたと発表した[3]。
基本プロフィール
- 氏名: ロビン・D・ロウズ(Robin D. Laws)[1]
- 主な肩書き: TRPGデザイナー、作家。2025年3月29日以降はPelgrane Press社のCreative Director[1][3]
- 活動開始: 本人の回想によれば、1979年に初版(青箱)の『ダンジョンズ&ドラゴンズ』でTRPGを始め、1992年に『GURPS Fantasy II』と『Over the Edge』の執筆・デザインで業界へ本格的に参入したという[2]。
- 代表的なゲームデザイン: GUMSHOEシステム、『The Esoterrorists』『Trail of Cthulhu(トレイル・オブ・クトゥルー)』『Hillfolk』『The Yellow King RPG』『Feng Shui』『Feng Shui 2』『Over the Edge』(Jonathan Tweetと共同)、『13 True Ways』(Rob Heinsoo・Jonathan Tweetと共著)ほか[1][3][4][8]
- 著作: 小説9作のほか、ゲームデザイン・ナラティブ論の著書『Hamlet’s Hit Points』『Beating the Story』がある。作品は11の言語に翻訳されているという[1]。
- メディア活動: Kenneth Hiteとの共同ポッドキャスト「Ken and Robin Talk About Stuff」のホストを務める[1]。
- 本名の生年月日・出身地など: 当サイトでは調べていない(下記「よくある誤解」を参照)。
別名・呼称
本記事で確認できた公式資料・業界メディアの範囲では、「Robin D. Laws」「Robin Laws」の表記のみが確認でき、ペンネームや別名にあたる情報は見当たらなかった。X(旧Twitter)やSNSアカウント名を紹介する記事はあるが、当サイトはSNS・個人ブログを出典として採用しない方針のため、ここには記載していない。
人物像・性格
Pelgrane Press公式サイトに掲載された2010年のインタビューで、ロウズは自身の創作動機について語っている。ロールプレイングゲームという表現形式を「40年に満たない、まだ若い(creative infancy)段階にある」と位置づけ、演劇・映画・文学など他の物語の伝統から学べることがまだ十分に汲み尽くされていないという見立てを示した[2]。制作の動機は版元からの依頼という実務的な側面と、「クラシック期のジャズ・ミュージシャンや映画監督のような立場でこの業界に貢献したい」という理想の両方があると述べている[2]。
GUMSHOEシステムの設計思想についても、同インタビューで明快な言葉を残している。「手がかりを得られないことは、ほとんどの場合面白くない(failing to get information is almost never interesting)」という原則のもと、プレイヤーが情報獲得の成否に運任せで振り回されることのないよう、判定の焦点を「手がかりが手に入るかどうか」から「手に入れた手がかりをどう活かすか」へ移す設計を採用したという[2]。この設計思想は、『トレイル・オブ・クトゥルー』をはじめとするGUMSHOE系ゲームに一貫して流れている。
2025年のCreative Director就任にあたり、Pelgrane Press側からは「長年ロビンと密接に仕事をしてきた。もはや家族も同然だ(“We’ve worked closely with Robin for so long, he’s basically family”)」という、Managing DirectorのCat Tobin名義のコメントが公式発表に添えられている[3]。ロウズ自身も、次世代のPelgrane Pressの書き手を発掘・育成する機会に関心があったと発表内で述べられている[3]。
生涯・経歴
1979年 – TRPGとの出会い本人の回想によれば、初版(青箱)の『ダンジョンズ&ドラゴンズ』で卓上ロールプレイングゲームを始めたという[2]。
1990年代前半 – ファンジン(APA)を通じた業界との接点ロウズは、ゲーム愛好家が寄稿し合う頒布物(APA)「Alarums & Excursions」への参加を通じて業界内の人脈を築いたと語っている[2]。
1992年 – 商業デビュー『GURPS Fantasy II』、およびJonathan Tweetと共同制作した『Over the Edge』の執筆・デザインで、商業作品への参加を本格的に始めたという[2]。『Over the Edge』はAtlas Games刊のシュールな陰謀サスペンスRPGで、のちにAtlas Games公式サイトでロウズによる拡張セット「The Cut-Ups Project」の制作も紹介されている[4]。
1996年 – 『Feng Shui』香港アクション映画を題材にしたRPG『Feng Shui』を、当時のDaedalus Entertainment社から発表した。Atlas Games公式サイトは、この作品を「受賞歴のあるデザイナー、ロビン・D・ロウズによる(Brought to you by award-winning designer Robin D. Laws)」ものと紹介しており、同作は1999年からAtlas Gamesの下で初版ラインとして再刊されている[5][6]。
2003年前後 – GUMSHOEシステムの考案とPelgrane Pressとの協業 Pelgrane PressのSimon Rogersから、行き詰まり(デッドエンド)の生じにくい捜査系RPGのルール一式を新たに考えてほしいという依頼を受けたのが、GUMSHOEシステム誕生のきっかけになったという[2]。このシステムを土台に、ロウズは『The Esoterrorists』『トレイル・オブ・クトゥルー』『Mutant City Blues』『Ashen Stars』など複数のスタンドアローンRPGを手がけた[2]。
2012年前後 – 『13th Age』関連書籍への参加 Rob Heinsoo・Jonathan Tweetが手がけるd20ファンタジーRPG『13th Age』の拡張書籍『13 True Ways』に、著者の一人としてクレジットされている。Pelgrane Press公式の製品ページには「Authors: Rob Heinsoo, Jonathan Tweet, Robin D. Laws」と表記されている[8]。
2014年 – 『Hillfolk』とダイアナ・ジョーンズ賞 Kickstarterで目標の3,000ドルに対し93,000ドル以上を集めて制作された、対人ドラマに焦点を当てるRPG『Hillfolk』が、2014年のダイアナ・ジョーンズ賞(Diana Jones Award)を受賞した。業界ニュースサイトBleeding Coolは、Gen Con会場でのダイアナ・ジョーンズ賞発表が「多くの人にとってショーの開幕を意味する」催しだと伝えている[7]。
2018年 – 『RuneQuest』関連書籍の執筆業界紙ICv2によれば、Chaosium社がロウズを起用し、『RuneQuest』のサプリメント『Pavis & Big Rubble』の改訂版を2巻構成で執筆させることが2018年8月15日付で発表された。ICv2はロウズを「高名なロールプレイングゲーム作家(renowned role playing author)」と紹介し、Chaosium側のコメントとして「業界屈指のゲームライターの一人(one of the best game writers in the business)」という評価も伝えている[9]。
Six Ages/King of Dragon Passでの仕事 Glorantha世界を舞台にしたビデオゲーム『King of Dragon Pass』『Six Ages』の開発チーム公式ブログによれば、ロウズは1997年のGloranthaコンベンションの場で、開発者David Dunhamから「構想中のGloranthaを舞台にしたコンピュータゲーム」の話を聞いたことがきっかけとなり、『King of Dragon Pass』のヘッドライター(head writer)として参加した。執筆作業を進めるうちに、それが実質的にゲームデザインの仕事でもあったことが判明し、ライターとデザイナーの「二重クレジット」になったと本人は振り返っている[10]。同ブログはロウズについて「1992年以降、フルタイムのライター・ゲームデザイナーとして活動している」とも紹介している[10]。
2025年3月29日 – Pelgrane Press Creative Director就任 Pelgrane Pressは公式発表で、20年以上にわたる緊密な協業を経て、ロウズが同社のCreative Directorに就任したことを明らかにした。発表によれば、ロウズはこれまでにPelgrane Press初のゲームとなった『The Dying Earth RPG』のデザイン、GUMSHOEシステムの考案、『Hillfolk』のためのDramaSystemの開発、一人用ゲーム向けの「GUMSHOE One-2-One」システムの考案、『The Yellow King RPG』のQuickShock形式の開発などを手がけてきたという。新たな役職の内容は「すべてのプロジェクトにわたって創作の舵を取り、新しいアイデアをもたらし、物語表現を高め、新しい書き手を育て、世に出すものすべてが紛れもなく『Pelgraneらしさ』を持つようにすること」と説明されている[3]。
他の人物・存在との関係
Jonathan Tweet: 1992年の『Over the Edge』で共同デザイナーを務めたほか、『13th Age』の拡張書籍『13 True Ways』でも共著者としてクレジットされている[4][8]。
Kenneth Hite: ポッドキャスト「Ken and Robin Talk About Stuff」を共同でホストしている[1]。
Rob Heinsoo: 『13 True Ways』の共著者。『13th Age』本体のデザイナーである[8]。
Cat Tobin(Pelgrane Press Managing Director): 2025年のCreative Director就任発表で、ロウズについて「長年密接に仕事をしてきた、もはや家族も同然の存在」とコメントしている[3]。
Pelgrane Press社: GUMSHOEシステムを土台にした『トレイル・オブ・クトゥルー』『Cthulhu Confidential』などの版元であり[1]、2025年からはロウズがCreative Directorを務める[3]。同社の沿革は当サイトのPelgrane Pressの記事も参照。
主要登場作と読みどころ
GUMSHOEシステム「手がかりを得られないことはほとんどの場合面白くない」という原則に基づき、情報獲得の成否を判定の主眼から外した捜査系RPGシステム[2]。当サイトのGUMSHOEシステム解説記事で仕組みを詳しく扱っている。
『Trail of Cthulhu(トレイル・オブ・クトゥルー)』 GUMSHOEシステムでクトゥルフ神話を扱う代表作。当サイトのレビュー記事はこちら。
『Cthulhu Confidential』 GUMSHOE One-2-One形式を用いた、1人のプレイヤーと1人のゲームマスターで進める作品。当サイトのレビューと入門記事も参照(レビュー/入門)。
『Hillfolk』 Kickstarterで目標額の30倍以上を集め、2014年のダイアナ・ジョーンズ賞を受賞した対人ドラマ特化型RPG[7]。
『Feng Shui』/『Feng Shui 2』香港アクション映画を題材にした格闘・銃撃戦RPG。1996年にDaedalus Entertainmentから発表され、1999年からAtlas Gamesの下で再刊された[5][6]。
よくある誤解
Q. ロビン・D・ロウズの公式サイトはどこですか?本人の名を冠したドメイン robindlaws.com は、robin-d-laws.blogspot.com へ転送(301リダイレクト)される。つまり本人の主要なウェブ上の窓口はブログサービス上にある。当サイトは個人ブログ(blogspot含む)を出典として採用しない方針のため、本記事はPelgrane Press・Atlas Gamesなどの公式ページと、ICv2・Bleeding Coolといった編集体制のある業界メディアの記事のみで裏づけている。
Q. ロウズは『クトゥルフ神話TRPG(Call of Cthulhu RPG)』のデザイナーですか?いいえ。『Call of Cthulhu RPG』(1981年、Chaosium)のデザイナーはSandy Petersenである。ロウズが手がけたのは、別ルールであるGUMSHOEシステムを用いた『トレイル・オブ・クトゥルー』『Cthulhu Confidential』など、Pelgrane Press刊行のクトゥルフ神話TRPGである[1][2]。
Q. ENnie Award・ダイアナ・ジョーンズ賞の受賞数は何回ですか? Pelgrane Press公式サイト(2026年9月時点)は「ゴールド8回・シルバー7回のENnie Award、およびダイアナ・ジョーンズ賞」と記載している[1]。ただし2018年時点のSix Ages開発ブログでは「ゴールド5回・シルバー5回」という、より少ない回数が紹介されており[10]、受賞数は経歴の更新とともに増えてきたとみられる。本記事は最新の公式情報を優先し、Pelgrane Press公式サイトの数値を採用している(CLAUDE.md §0-4「版元・開発元の公式資料が最上位」の方針による)。
Q. 本名や生年月日、詳しい出身地はわからないのですか?当サイトでは調べていない。存命の個人を扱う際の方針として、公表された活動の事実(デザイン・執筆・受賞・所属)のみを、公式資料か編集体制のあるメディアの記事で確認できた範囲に限って記載している。本名の詳しい生年月日・出身地・家族・健康・交友関係については調査の対象にしていない。
出典
- [1] “designed such roleplaying games as The Yellow King RPG, Hillfolk, and The Esoterrorists” / “winner of eight Gold and seven Silver ENnie Awards and the coveted Diana Jones Award” / “His works have been translated into eleven languages” — Pelgrane Press公式サイト「About Us」, Pelgrane Press(取得日 2026-09-19) ↩
- [2] “I started playing with blue box Dungeons and Dragons in 1979.” / “failing to get information is almost never interesting” — Pelgrane Press公式サイト「An Interview with Robin D Laws」(2010年7月20日), Pelgrane Press(取得日 2026-09-19) ↩
- [3] “We’ve worked closely with Robin for so long, he’s basically family” / “steering the creative ship across all our projects—bringing fresh ideas, elevating our storytelling, developing new writers, and ensuring everything we put out into the world feels unmistakably us” — Pelgrane Press公式サイト「Pelgrane Press Welcomes Robin D. Laws as New Creative Director」(2025年3月29日), Pelgrane Press(取得日 2026-09-19) ↩
- [4] Atlas Games公式サイト「Over the Edge」関連ページ(The Cut-Ups Project の記載), Atlas Games(取得日 2026-09-19) ↩
- [5] “Brought to you by award-winning designer Robin D. Laws” — Atlas Games公式サイト「Feng Shui 1st Edition」, Atlas Games(取得日 2026-09-19) ↩
- [6] “Feng Shui was originally published by Daedalus Entertainment in 1996” / “Atlas Games released a first edition line starting in 1999” — Atlas Games公式サイト「Feng Shui 1st Edition」, Atlas Games(取得日 2026-09-19) ↩
- [7] “the announcement of the winner of the fourteenth Diana Jones Award is the start of the show for many” — Bleeding Cool「Bleeding Gen Con Starts – The Hillfolk RPG Wins The Diana Jones Award」(2014年8月13日), Bleeding Cool(取得日 2026-09-19) ↩
- [8] “Authors: Rob Heinsoo, Jonathan Tweet, Robin D. Laws” — Pelgrane Press公式サイト「13 True Ways」製品ページ, Pelgrane Press(取得日 2026-09-19) ↩
- [9] “renowned role playing author Robin Laws (Feng Shui, Hillfolk)” / “one of the best game writers in the business” — ICv2「Robin Laws to Pen Two ‘RuneQuest’ Books」(2018年8月15日), ICv2(取得日 2026-09-19) ↩
- [10] “I was signed on as head writer for KoDP” / “writing was also game design work, hence the double credit” — Six Ages開発チーム公式ブログ「The Six Ages Team: Robin Laws」(2018年7月9日), Six Ages Development Blog(取得日 2026-09-19) ↩

