概要
『クトゥルフと夢の階段 DreamStairs』は、東京の合同会社SCARLET BOXが2020年4月頃に配信を開始したスマートフォン向けのテキストベースRPGです(iOS版は『クトゥルフと夢の階段TRPG』のタイトルで配信)。プレイヤーは深い闇の夢の中で目の前に現れた階段をひたすら降りていき、ダイスの出目とカードの引きに運命を委ねながら、悪夢のような事件やモンスターに立ち向かいます。資金を集めて武器を買い、スキルを編み出し、HPと正気度の両方を管理しながらどこまで深く潜れるかに挑む構成で、基本プレイ無料(アプリ内課金あり)です。開発者は怪作として知られる『群馬ファンタジーTRPG』と同じ作者で、本作もその作風を色濃く受け継いでいます。
クトゥルフ神話との関係
本作の骨格は「クトゥルフ神話TRPGをひとりで遊ぶ」体験の再現です。キャラクターの能力値をダイスで決め、行為判定に一喜一憂し、正気度(SAN値)を削られながら物語が分岐していく流れは、クトゥルフ神話TRPGのセッション感覚をスマホ向けに凝縮したものと言えます。また「夢の中の階段を降りて異界の深部を目指す」という舞台設定は、ラヴクラフトのドリームサイクル作品群で描かれる、眠りの階段を降りて幻夢境へ至る道行きを連想させる意匠です。
独自の要素・原典との違い
原典やTRPGの重厚な恐怖と異なり、本作はパロディとネタを大量に投入したコメディ寄りの味付けが最大の特徴です。テキストには時事ネタやオマージュが飛び交い、真面目な恐怖体験を期待すると面食らうほどの脱力感があります。一方でゲームシステムはカードの数値と基礎ステータスを参照して攻防を判定する堅実なローグライク設計で、倒れてもポイントで基礎能力を強化し、カードを1枚だけ持ち越して再挑戦する周回構造が中毒性を生んでいます。恐怖よりも「神話ネタで笑いながら死んで強くなる」を楽しむ、変化球のクトゥルフゲームです。


