概要
『The Lost Child』(ザ・ロストチャイルド)は角川ゲームスが開発・発売した「神話構想RPG」で、2017年8月24日にPlayStation 4/PlayStation Vita向けに発売されました(後にNintendo Switch版も展開。Steam版はありません)。現代日本を舞台に、オカルト雑誌記者の伊吹隼人が天使・悪魔・堕天使の抗争に巻き込まれ、魔銃「ガンゴール」で敵を撃破して仲間(アストラル)として引き入れながらダンジョンを攻略していくRPGです。制作は『El Shaddai ~セカイの終わりで~』を手がけた竹安佐和記氏が関わり、同作と世界観が繋がる「神話構想」シリーズの一作と位置付けられています。
クトゥルフ神話との関係
本作はゲーム中盤以降に登場するダンジョン名「ルルイエロード」に象徴されるように、クトゥルフ神話の要素を「邪神」勢力として直接取り込んでいます。クトゥルフ自身がボスキャラクターとして登場し、天使や悪魔と並ぶ第三勢力のように扱われる構成は、ユダヤ・キリスト教系の天使悪魔とクトゥルフ神話を同一の枠組みで再編する日本のゲーム的な神話混淆の好例です。当時のレビュー記事では、TRPGでは馴染み深いクトゥルフ神話が「ビデオゲームで大々的に扱われることはあまりない」珍しい試みと評されました。
独自の要素・原典との違い
原典のクトゥルフ神話では旧支配者は基本的に人智を超えた不可知の恐怖として描かれますが、本作では日本の歴史上の人物をモチーフにした個性的なアストラルたちと並ぶ「捕獲・仲間化できる敵キャラクター」の一体として再解釈されている点が大きな違いです。ターン制バトルに「敵視」(狙われやすさ)の可視化システムを組み込むなど、原典の恐怖演出よりもRPGとしての育成・収集要素を優先した翻案がなされています。国産コンソールRPGにおけるクトゥルフ神話受容の一例として、資料的にも興味深い作品です。

