編集部注(著作権について): 本記事が扱う『魔女の谷』(原題: Witches’ Hollow、1962年発表)は、パブリックドメインであるとは断定できません(同時代・同著者の他作品に著作権更新登録の実例が確認されているため)。本記事は原文からの引用を行わず、あらすじ・論評のみで構成しています。
概要
アーカム近郊の学校教師が、進級を拒む生徒の家系に伝わる妖術と、『ネクロノミコン』由来の護符の限界に直面する一編。
作品情報
- 原題: Witches’ Hollow
- 執筆・発表年: 1962年発表(アーカムハウス『Dark Mind, Dark Heart』収録。ラヴクラフトのコモンプレイス・ブックの着想を基にする)
- 主題タグ: 護符の効力の限界、非定形の怪物へ変貌する母親、封印と焼却による決着
登場神格・用語
あらすじ
アーカム近郊の田舎学校に勤める、名の明かされない女性教師が語り手。利発でありながら進級を拒む生徒アンドルー・ポッターを気にかけた彼女は、一家が住む不穏な農場を訪ね、そこにかつて魔道士のポッター一族が住んでおり、現在の一家はミシガンから移住してきたことを知る。ミスカトニック大学の教授に相談した彼女は、『ネクロノミコン』に基づく「ル リエの印章」の護符でアンドルーを守ろうとするが、その加護はポッター家の母親には通用せず、彼女は触手をもつ非定形の怪物へと変貌する。最終的にポッター家の農場は封じられ、焼き払われる。
読みどころと注目テーマ
護符の加護が及ばない相手という限界の提示、母親が非定形の怪物へ変貌する恐怖、封印と焼却による伝統的な決着
執筆背景と影響
他の死後合作と同様、ラヴクラフトの遺したアイデア・ノートの短い断片を基にダーレスがほぼ単独で執筆した作品とされる。評者からは、独自に案出した魔術的護符を多用する展開が原作の宇宙的恐怖を「家庭化」していると批判されている。



