小説 — The Horror from the Hills

恐怖の山

古代ローマ時代の暗黒神チョーグナー・ファウグンの挿話と、現代マンハッタンで生気を吸い尽くす像の事件を描く。同神格の初出作品。

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恐怖の山

編集部注(著作権について): 本記事が扱う『恐怖の山』(1931年「ウィアード・テイルズ」誌1月号・2-3月合併号掲載)は、後編掲載号がウィアード・テイルズ誌の著作権更新台帳に更新済み号として記載されているため、パブリックドメインであるとは断定できません。本記事は原文からの引用を行わず、あらすじ・論評のみで構成しています。

概要

古代ローマ時代、暗黒神チョーグナー・ファウグンを崇める部族がローマ軍を壊滅させた挿話と、現代マンハッタンで博物館に運び込まれた像が人間の生気を吸い尽くしていく事件を描く一編。ラヴクラフトが見た悪夢を直接取り込んだ、実証済みの共作エピソード。

作品情報

  • 原題: The Horror from the Hills
  • 執筆・発表年: 1931年発表(「ウィアード・テイルズ」誌1月号・2-3月合併号、前後編)
  • 主題タグ: ラヴクラフトの悪夢を取り込んだローマ時代の挿話、博物館に運び込まれた生気を吸う像、時間装置による神の放逐

登場神格・用語

あらすじ

古代ローマ時代、ヒスパニアの丘陵地帯でミリ・ニグリ族が崇める暗黒神チョーグナー・ファウグンが、鎮圧に赴いたローマ軍を壊滅させる――というローマ時代の挿話は、ラヴクラフトが1927年11月に見た悪夢を、友人宛の書簡でそのまま書き記した文章がほぼそのままの形でロング自身によって物語の一部として書き起こされたものである[1]。時代が下ったマンハッタンでは、博物館学芸員が中央アジアの高原から運び込んだ像が、実は四次元の彼方から具現化する吸血性の古き神チョーグナー・ファウグンの依り代であったと判明する。この像は象を思わせる巨躯に長い鼻と大きな耳を備えた姿で表され、次々と人間の生気(血)を吸い尽くしていく[2]。最終的に登場人物たちは、時間の流れを逆転させ対象を退化させる特殊な「時間装置」を用いて神に照射し、チョーグナー・ファウグンは光る粘液の外套と化して次元の彼方へ消え去る[2]

読みどころと注目テーマ

ラヴクラフトの実際の悪夢を直接取り込んだローマ時代の挿話、博物館の像が生気を吸い尽くす恐怖、時間装置による神の放逐という科学的解決

執筆背景と影響

本サイト既存記事『チョーグナー・ファウグン』の初出典拠となる作品。ラヴクラフトが見た悪夢の記述をロングに託し、ロングがそれを物語中のローマ時代の場面として直接執筆に取り込んだ、実証済みの数少ない共作エピソードの一つ。本作は「ウィアード・テイルズ」誌1931年1月号と2-3月合併号の前後編として発表された後、1963年にアーカム・ハウスから約1,997部の限定ハードカバー(110ページ)として単行本化されている[3]。ローマ時代のポンペロ壊滅の場面は、ラヴクラフトが1927年11月付でバーナード・オースティン・ドワイヤーに宛てた書簡に綴った悪夢の描写を、ロング自身の許可を得た上でほぼ逐語的に取り込んだものであることが確認されている[1]。著者フランク・ベルナップ・ロング(1901年4月27日、マンハッタン生-1994年1月3日、92歳で死去)は、1921年にアマチュア雑誌へ発表した短編「暖炉の上の目」がラヴクラフトの目に留まったことがきっかけで交流が始まり、1922年4月にラヴクラフトがニューヨークを訪れた際に初めて対面、ラヴクラフトがブルックリンに住んでいた1924年から1926年にかけて特に親密な関係を築いた。二人は生涯で千通を超える書簡を交わし、中には80ページを超える手書きの長文もあったという[4]。ロングは本作のほか、「ティンダロスの猟犬」(非ユークリッド的な角度から出現する怪物を描いた代表作)や「宇宙食屍鬼」なども手掛け、1977年にファースト・ファンダム殿堂賞、1978年に世界幻想文学大賞・生涯功労賞、1987年にはブラム・ストーカー賞・生涯功労賞を受賞するなど、70年に及ぶ作家人生で長編約29作・短編約150作を残した[4]。ロングが本作でチョーグナー・ファウグンという独自の神格を創造したことは、ラヴクラフト以外のサークルの作家たちが自ら考案した神格をクトゥルフ神話に持ち込むという、後の拡張神話の作法を先取りする実例の一つとしても位置づけられる。

出典

本作は後編掲載号がウィアード・テイルズ誌の著作権更新台帳に記載されており、パブリックドメインであるとは断定できないため、原文からの引用は行っていません。以下は書誌的事実についての出典です。

  • [1] ローマ時代のポンペロ壊滅の場面は、ラヴクラフトが1927年11月付でバーナード・オースティン・ドワイヤーに宛てた書簡に記した悪夢の描写を、ロングがほぼ逐語的に、かつラヴクラフト本人の許可を得た上で取り込んだものである。— 出典: Wikipedia「The Horror from the Hills」, 該当ページ
  • [2] チョーグナー・ファウグンは「象のような大いなる古きもの」と評され、像は象を思わせる姿で長い鼻と大きな耳を備え、血を糧とし現実を捻じ曲げる力を持つ。物語終盤、時間の流れを逆行させるエントロピー逆転光線を浴びたことで「光る粘液の外套」へと退化する。— 出典: Wikipedia「The Horror from the Hills」, 該当ページ
  • [3] 初出は「ウィアード・テイルズ」誌1931年1月号・2-3月合併号の前後編(ISFDB Title Record #93445)。1963年、アーカム・ハウスより約1,997部限定・110ページのハードカバーとして単行本化された(著作権表示の有無で異なる2つの刷りが存在する)。— 出典: ISFDB「The Horror from the Hills」title record, 該当ページ
  • [4] フランク・ベルナップ・ロング(1901年4月27日-1994年1月3日)は、1921年のアマチュア雑誌掲載短編がきっかけでラヴクラフトと知り合い、1922年4月に初めて対面、生涯で千通を超える書簡を交わした。「ティンダロスの猟犬」「宇宙食屍鬼」等のクトゥルフ神話作品でも知られ、1977年ファースト・ファンダム殿堂賞、1978年世界幻想文学大賞・生涯功労賞、1987年ブラム・ストーカー賞・生涯功労賞を受賞している。— 出典: Wikipedia「Frank Belknap Long」, 該当ページ
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