ゲーム

忌譚~第一幕:絶望の境 深淵の空~

日本神話×クトゥルフ神話の現代伝奇ノベル『忌譚』第一幕を解説。

公開作成AI支援で作成

誤りの指摘・訂正依頼と編集方針は運営者情報へ。

入手する

※上記は広告リンク(アフィリエイト)です。価格・在庫・版の詳細は必ずリンク先でご確認ください。

概要

『忌譚~第一幕:絶望の境 深淵の空~』は、同人サークル「20th Heart」が2010年11月に発売した現代伝奇ホラーノベルで、日本神話とクトゥルフ神話を融合させた三部作の第一幕にあたります。物語は、主人公・淡島朔也の叔父の怪死から始まります。それを発端として、朔也の身の回りには妖しい影が跳梁しはじめ、彼の日常をひとつ、またひとつと破壊し、その生活を奪っていきます。巫女やメイドといったキャラクターを配しつつも作風はシリアスな伝奇路線で、全年齢向けのノベル作品として完結まで『第二幕』『終幕』の2作が続けて発表されています。DLsiteでの評価は★4.3前後(2026年7月時点)。2010年という時期の同人ノベルらしい、じっくり読ませるタイプの伝奇ホラーです。

クトゥルフ神話との関係

本作の看板である「日本神話×クトゥルフ神話の融合」は、国産伝奇ホラーが長年培ってきた手法です。記紀神話や土着の信仰が語る神々の世界と、ラヴクラフトの語る外なる神々・旧支配者の体系を同一世界の別側面として重ね合わせることで、「日本の古い神々の正体は、実は神話的存在だったのではないか」という戦慄を生み出します。身近な人物の怪死をきっかけに、主人公の日常が少しずつ怪異に侵食されていくという本作の導入は、遺品や遺稿の調査から底知れぬ真実へ引き込まれていく『クトゥルフの呼び声』型の語りの現代日本版であり、「知ってしまった者から順に日常を失っていく」という神話ホラーの基本文法に忠実です。タイトルの「忌譚」——忌まわしき物語——という言葉選びにも、語ること自体が禁忌に触れるというラヴクラフト的な感覚が滲んでいます。

独自の要素・原典との違い

三部作の第一幕という構成が示す通り、本作は一話完結の恐怖譚ではなく、大きな物語の開幕として「日常の崩壊」を丁寧に描くことに紙幅を割いています。原典の短編群が数十ページで破滅まで駆け抜けるのに対し、本作は喪失の過程を段階的に積み重ねることで、読者が主人公とともに引き返せない地点を越えていく感覚を作り出しています。巫女という日本神話側の存在が物語に関与することで、怪異に対して完全に無力な原典の人間たちとは異なり、「和の神秘」が対抗軸となりうるのかという緊張感が生まれている点も、融合ものならではの見どころです。2010年前後の同人シーンでは、クトゥルフ神話TRPGブーム以前からこうした伝奇ノベルがクトゥルフ受容の一角を担っており、本作はその時代の空気を伝える作品でもあります。物語の全貌は三部作を通して明かされるため、手に取るなら終幕までの通読を前提にするのがよいでしょう。

続きを辿る

記事URLをコピーしました