いつ、いくらで、どこで買えるか
インフォレンズ株式会社は、世界的人気を持つゲームタイトルをモチーフにした公式トランプの予約販売を、2026年9月17日10時より開始すると発表しました[1]。ラインナップは全10タイトル、デザイン違いを含めると計20種類にのぼります[1]。発売は2027年1月下旬を予定しており、予約開始から発売まで4か月以上の期間が空く格好です[1]。販売チャネルは、インフォレンズの公式オンラインショップ「INFOLENS GEEK SHOP」と、店頭では東京都豊島区の池袋PARCO本館6階にある「INFOLENS GEEK SHOP 池袋パルコ店」です[1]。
『Bloodborne』のトランプは、INFOLENS GEEK SHOPのオンラインストアで「Room One Cards」というコレクションにまとめられています[2]。実際にページを確認すると、「【予約商品】Bloodborne トランプ(コレクターズエディション)」と「【予約商品】Bloodborne トランプ(ブラッドエディション)」の2商品が並んでおり、価格はいずれも5,500円(税込)です[1][2]。10タイトル20種類という規模のなかで、1タイトルにつき2種類のカラーバリエーションが用意されているのは『Bloodborne』の特徴です。他の9タイトルは、アサシンクリード、バルダーズ・ゲート、サイバーパンク2077、ゴースト・オブ・ツシマ、ゴースト・オブ・ヨウテイ、ゴッド・オブ・ウォー、モンスターハンター、ストリートファイター、ウィッチャーです[1]。公表されたラインナップを数えると、アサシンクリード・バルダーズ・ゲート・モンスターハンターが3種、ブラッドボーン・ゴースト・オブ・ツシマ・ゴースト・オブ・ヨウテイ・ゴッド・オブ・ウォーが2種、サイバーパンク2077・ストリートファイター・ウィッチャーが1種で、合わせて20種類になります[1]。ブラッドボーンの2種は、絵柄を変えた別デザインではなく、同じ意匠に箔の色違いを与えたものだという点で、他タイトルのバリエーションとは性格が違います。
発売元であるインフォレンズ株式会社は、本社を東京都中央区に置く企業で、代表取締役CEOは安川洋氏です[1]。今回のプレスリリースでは、この会社名義で予約販売の開始が発表されています[1]。店頭窓口として名前が挙がっている「INFOLENS GEEK SHOP 池袋パルコ店」の所在地は、東京都豊島区南池袋一丁目28番2号、池袋PARCO本館6階です[1]。オンラインのINFOLENS GEEK SHOPと合わせて、ネット・店頭の両方で予約を受け付ける体制になっています。
なお、インフォレンズ公式ショップの個別商品ページ(コレクターズエディション: /products/bloodborne-collectors-trump、ブラッドエディション: /products/bloodborne-blood-trump)は、商品説明文がJavaScriptで描画される作りになっており、当サイトはページの存在と価格・商品名までは「Room One Cards」コレクション一覧のページで確認できましたが、個別ページに書かれているであろう詳しい商品説明文までは取得できていません[2]。以下の意匠に関する記述は、電ファミニコゲーマーの記事本文にもとづくものです[1]。
コレクターズエディションとブラッドエディション、何が違うのか
発表によれば、『Bloodborne』のトランプは2種類の仕上げで展開されます。ひとつはオレンジとシルバーの箔押し加工が施された通常版で、これが「コレクターズエディション」という商品名で売られています[1]。もうひとつは、血のような赤い箔押し加工を施した「ブラッドエディション」です[1]。名称の由来をたどれば、赤い箔押しは作中で繰り返し語られる「血」というモチーフを踏まえた配色だと読み取れます。価格はどちらも5,500円(税込)で統一されており、箔押しの色以外にどこまで仕様差があるのかは、電ファミニコゲーマーの記事や公式ショップのコレクション一覧ページからは読み取れません[1][2]。
意匠の中身——ヤーナム、狩人・獣・上位者、リノカット様式
電ファミニコゲーマーの記事は、『Bloodborne』トランプの意匠について次のように書いています。
「同作の舞台となる呪われた古都・ヤーナムをテーマに、狩人や獣、さらには上位者がモダンなリノカット様式でイラスト化。カード背面にはカレル文字がデザインされ、力を与えてくれそうな仕上がりに。」[1]
引用中の強調はなく、原文そのままの一続きです。ここから確認できるのは、舞台である古都ヤーナムをテーマに据えていること、狩人・獣・上位者という3つの要素がイラストの題材になっていること、そしてそのイラストが木版画を思わせるリノカット(リノリウム版画)様式で描かれていることです。カードの絵柄がどの登場人物・どの個体を描いているかという個別の対応関係までは、この記述からは分かりません。当サイトが確認できたのは「狩人や獣、上位者がイラスト化されている」という範囲にとどまるため、特定のキャラクター名を挙げた紹介はここでは行いません。
「リノカット」とは、リノリウムの板を彫刻刀で彫って版とする版画技法(リノリウム版画)を指す一般的な美術用語です。木版画に比べて彫りやすく、輪郭の強いシルエットと、削り跡による粗い質感が出やすいことから、ポスターや装飾的なイラストでしばしば用いられてきました。電ファミニコゲーマーの記事が「モダンなリノカット様式」と表現しているのは、この版画特有の、輪郭がくっきりと立ち上がる描き方を指していると読めます[1]。
カード背面については、カレル文字がデザインされている、と説明されています[1]。カレル文字は、作中でヤーナムに実在するとされる特殊な文字体系で、儀式や上位者への信仰と結びつけて描かれてきた要素です。記事はこの意匠を「力を与えてくれそうな仕上がり」と表現しており[1]、単なる背景模様ではなく、作品世界の儀式性を意識したデザインだとうかがえます。
素材面では、同じ記事内でモンスターハンター版について「素材にはプレミアムブラックコア紙が採用」「リネン仕上げ」という説明があり、この素材の採用は他タイトルにも及ぶ形で「こちらも、素材にはプレミアムブラックコア紙が採用」と重ねて書かれています[1]。プレミアムブラックコア紙は、トランプの縁からカードの芯まで黒く仕上げることで、光にかざしても図柄が透けにくい紙材として使われることが多い素材です。リネン仕上げは、紙の表面に布目のような凹凸の質感を持たせる加工で、手触りとシャッフルのしやすさに関わる要素として、トレーディングカードや高級トランプでしばしば採用されます。
20種類20タイトルのなかでの位置づけ
今回発表された公式トランプは、『Bloodborne』のほかに、アサシンクリード、バルダーズ・ゲート、サイバーパンク2077、ゴースト・オブ・ツシマ、ゴースト・オブ・ヨウテイ、ゴッド・オブ・ウォー、モンスターハンター、ストリートファイター、ウィッチャーという、いずれも世界的な知名度を持つタイトルで構成されています[1]。ラインナップを見渡すと、オープンワールドの歴史・剣戟アクション(アサシンクリード、ゴースト・オブ・ツシマ、ゴースト・オブ・ヨウテイ)、SFディストピア(サイバーパンク2077)、ダークファンタジー(バルダーズ・ゲート、ゴッド・オブ・ウォー、ウィッチャー)、対戦格闘(ストリートファイター)、モンスター討伐アクション(モンスターハンター)と、幅広いジャンルが並んでいます。そのなかで『Bloodborne』は、ゴシックホラーからコズミックホラーへと物語が転じていく作品として、当サイトが既にレビュー記事で扱ってきた通り、ラインナップのなかでも異色の位置を占めます。価格帯はすべて5,500円で統一されていますが、電ファミニコゲーマーの記事で個別の商品名まで確認できたのは『Bloodborne』の2種であり、狩人や獣、上位者という作品の核となる要素が意匠の中心に据えられていることも含めて、このシリーズのなかでの扱いの厚さがうかがえます[1]。
発売は2027年1月下旬の予定です[1]。予約開始の9月17日10時から発売までのあいだ、実際にカードへ印刷される個々の絵柄がどのように公開されていくかは、現時点でインフォレンズ公式ショップの各商品ページからは確認できていません[2]。当サイトとしては、公式が新たな画像や説明文を公開した際にあらためて内容を確認し、必要であれば続報を出す形になります。
トランプというグッズ形態そのものにも触れておきます。52枚(通例はジョーカーを含めて54枚)のカード1枚ずつに、作品を象徴する図像を割り振る形式は、キャラクター数の多いタイトルほど「どの要素をどの札に配分するか」という選定作業を伴います。今回のシリーズが同時に展開する他タイトルには、プレイアブルキャラクターや登場人物が多い作品も含まれており、そうしたタイトルとの並びのなかで、『Bloodborne』が狩人・獣・上位者という作品世界の骨格に絞って意匠を組んでいる点は、この作品の見せ方として一貫した選択だと言えます。
なぜ深淵書架がこのトランプを扱うのか
深淵書架は基本的に、原典・ダーレス以降の拡張・TRPGという神話の三層に沿って作品を扱うサイトです。今回のトランプは、その三層のどれにも属さないグッズ企画ですが、それでも取り上げる理由があります。『Bloodborne』というゲーム自体が、ラヴクラフト的な作品として繰り返し語られてきた代表例であり、今回のトランプの意匠が、その側面を前面に出しているためです。
当サイトの『Bloodborne』レビュー記事では、この作品の物語がゴシックホラー的な「獣の呪い」から始まり、進行するにつれて「上位者」と呼ばれる不可知の存在や、人間の認識能力の限界というテーマへと反転していく構造を扱ってきました。この「理解できると思っていた世界が、実はもっと恐ろしい真実の表層に過ぎなかった」という感覚は、当サイトが宇宙的恐怖(コズミックホラー)の記事や「宇宙的恐怖」とは何かという解説記事で繰り返し扱ってきた、ラヴクラフト作品に共通する主題そのものです。狩人や獣だけでなく上位者までもがトランプの意匠として選ばれていることは、上位者という語を中心に据えた世界観の捉え方が、グッズ展開の側にも表れている一例だと言えます。
もっとも、今回のトランプそのものは、あくまで意匠としてヤーナム・狩人・獣・上位者・カレル文字を扱ったグッズであり、物語や設定の新情報を含むものではありません。あくまでこれまで公開されてきた作品世界を、トランプというカード1枚ずつの形式に落とし込んだグッズ企画である、という位置づけです。当サイトが「クトゥルフ」を掲げない作品の扱い方を論じたコラムで触れてきたように、『Bloodborne』は「クトゥルフ」という語を一切使わずにコズミックホラーを成立させている作品です。今回のトランプの意匠が、上位者やカレル文字という、まさにその「クトゥルフを名乗らないコズミックホラー」の核心部分を選んで前面に出している点は、この作品がどのように受容されているかを考えるうえでも興味深い事例です。映像化・翻案の文脈における「ラヴクラフトらしさ」の議論を扱った別のコラムとあわせて、グッズという形での「らしさ」の切り出し方として読むこともできるでしょう。
