概要
特殊な保存液で満たされた円筒形の金属ケース。外部の発声装置、視覚・聴覚インターフェースに接続することで、肉体を失った脳が外部と対話や感覚の共有を行うことができる[1]。
基本プロフィール
- 分類: 概念
- 欧文表記: BRAIN CYLINDER
- 初出・出典: 闇に囁くもの(1930年執筆/1931年発表)
- 形状: 高さ約30センチ、それよりやや小さい直径の金属製で、前面の凸面に二等辺三角形状に3つのソケットを備える[2]
由来と歴史 / 詳細設定
ミ=ゴが地球の鉱物採掘を行う際、知的関心を持った人間の調査者や協力者に対し、宇宙の深淵(ユゴスやその彼方)へ連れて行く手段として提示した高度な外科手術技術である。作中では、失踪したはずのヘンリー・エイクリーが実は自らの脳をこの円筒に移されており、「私の脳はあの円筒の中にあり、この電子振動器を通して見て、聞いて、話しているのだ」と語る場面でこの技術の正体が明かされる[3]。
性質と影響
「身体から切り離された自己意識」の恐怖を科学的に描き、人格や記憶の所在、そして人間の生命維持に対する本質的な不安を揺さぶる。
関連する用語
出典
- [1] “The bare, compact cerebral matter was then immersed in an occasionally replenished fluid within an ether-tight cylinder of a metal mined in Yuggoth, certain electrodes reaching through and connecting at will with elaborate instruments capable of duplicating the three vital faculties of sight, hearing, and speech.”(訳: 「剥き出しの、凝縮された脳組織はその後、ユゴスで採掘された金属製の気密円筒の中で、随時補充される液体に浸される。複数の電極がその中を貫通しており、視覚・聴覚・発声という3つの生命機能を再現しうる精巧な装置と自在に接続できる」) — H. P. Lovecraft, “The Whisperer in Darkness”(1930年執筆/1931年発表), Wikisource ↩
- [2] “There, in a neat row, stood more than a dozen cylinders of a metal I had never seen before—cylinders about a foot high and somewhat less in diameter, with three curious sockets set in an isosceles triangle over the front convex surface of each.”(訳: 「そこには、見たこともない金属でできた十数個の円筒が整然と並んでいた——高さ約1フィート、直径はそれよりやや小さく、それぞれの前面の凸面には奇妙な3つのソケットが二等辺三角形状に配置されていた」) — 同上, Wikisource ↩
- [3] “I am a human being like yourself, though my body is now resting safely under proper vitalising treatment inside Round Hill, about a mile and a half east of here. I myself am here with you—my brain is in that cylinder and I see, hear, and speak through these electronic vibrators.”(訳: 「私はあなたと同じ人間だ。ただし私の肉体は今、ここから東へ1マイル半ほどのラウンド・ヒルの中で、適切な延命処置のもと安全に休んでいる。私自身はここにあなたと共にいる——私の脳はあの円筒の中にあり、この電子振動器を通して見て、聞いて、話しているのだ」) — 同上, Wikisource ↩





