破壊の精霊(独自の宇宙的存在) — QUACHIL UTTAUS

クァチル・ウタウス

ダーレス以降

クラーク・アシュトン・スミスが創造した、触れたものすべてを瞬時に塵と化す破壊の精霊。異名は「塵埃を踏み歩くもの」。

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クァチル・ウタウス

「それは幼い子供ほどの大きさしかない姿でありながら、幾千年を経たミイラのように干からび、萎びていた。毛のない頭部と、造作を失った顔は、骸骨のように細い首の上に載り、無数の網目状の皺が刻まれていた。その体は、一度も息をしたことのない、怪物じみた萎びた死産児のようだった」

— クラーク・アシュトン・スミス「塵を踏む者」("The Treader of the Dust", Weird Tales 1935年8月号)。ラヴクラフト自身の創造ではなく、この存在を創造したスミス自身の原典(パブリックドメイン)からの引用
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編集部注(拡張神話): クァチル・ウタウスはクラーク・アシュトン・スミスが自作の短編のために独自に創造した破壊の精霊で、H・P・ラヴクラフト存命期のパブリックドメイン原典(ラヴクラフト自身の作品)には登場しません。本記事は原作短編「The Treader of the Dust」(Weird Tales 1935年8月号)の掲載誌本文で確認できる範囲の描写・引用のみで構成しています。

概要

触れたものすべてを瞬時に塵と化す、クラーク・アシュトン・スミス創造の破壊の精霊。禁書『カルナマゴスの遺言書』にその名と性質が記される。

基本プロフィール

  • 分類: 破壊の精霊(独自の宇宙的存在)
  • 欧文表記: QUACHIL UTTAUS
  • 創造者: クラーク・アシュトン・スミス
  • 異称: 塵埃を踏み歩くもの(The Treader of the Dust)

原典での描写

題辞での呼び名と性質

本作冒頭には『カルナマゴスの遺言書』からの引用という体裁の題辞が置かれ、そこで初めてこの存在の名が示される。古の魔道士たちは彼を知り、クァチル・ウタウスと名付けたという。「彼が現れることは稀である。球儀の外、時空の秩序を離れた暗黒の辺域に住まうゆえに」と記され、続けて「クァチル・ウタウスは究極の腐敗である。彼の到来はあたかも幾星霜の経過に等しく、肉も石もその歩みには耐えられず、あらゆるものが原子から原子へと崩れ落ちる」と説明される[1]。この一節が「塵埃を踏み歩くもの」という異名の由来になっている。

セバスチャンが読む書物の記述

ジョン・セバスチャンの書見台には、『カルナマゴスの遺言書』が該当の頁を開いたまま置かれている。そこには「クァチル・ウタウスの到来は稀だが、唱えられた呪文や描かれた五芒星への応答とは限らないと確かめられている」とあり、独り部屋でこの一節を読み上げる者が、心のうちに死と消滅への望みをわずかでも抱いていれば重大な危険を招くと警告される。「クァチル・ウタウスが訪れれば、肉体は永遠の塵と化し、魂は蒸気のように永久に消え去るだろう」と続き、到来の予兆として、呼び出した本人や周囲の者に突然の老化の兆しが表れ、家や触れた持ち物には不時の朽廃と古色が生じるとも記されている[1]。

家の中の塵と時間の異常

三日ぶりに帰宅したセバスチャンは、買ったばかりの帳面が黄ばんで縁から崩れ、インクの文字が数百年を経た筆跡のように薄れているのに気づく。玄関は「死せる大昔の夜」がわだかまっているかのように暗く、乾いた塵の匂いに満ちていた[1]。書斎に立つと、見覚えのない灰色の塵が机や椅子、絨毯にまで薄く積もっている。老僕ティマーズが日課で使う羽根箒は、彼が手を触れた瞬間に粉となって崩れ落ち、腰を下ろそうとした椅子もまた同様に崩落した。ティマーズの姿はどこにも見当たらず、寝室のベッドは前夜のまま手つかずのままだった。

終盤に姿を現す場面

書斎の壁の高い一角に不規則な裂け目が生じ、そこから伸びた青白い光の筋がセバスチャンめがけて放たれる。光を伝って室内に入ってきたのは、「幼子ほどの背丈しかないが、幾千年を経たミイラのように干からび、萎びていた」姿だったという[1]。毛のない頭部と造作を失った顔は骸骨のように細い首の上にあり、無数の網目状の皺が刻まれている。管のように細い両腕は骨の爪で終わり、永遠に何かを探るような姿勢で強張ったまま突き出されていた。それがセバスチャンに触れた瞬間、彼の存在は塵の中へ溶け込み、あとには小さな足跡らしき窪みを残す一山の灰色の塵だけが残された。

性質と権能

触れる、あるいは近づくものすべてを瞬時に古びさせ、塵へと帰す力を持つとされる。時空を超えて対象に迫るとされ、一度その接近を許した者が逃れる術はないという。

由来と歴史

禁書『カルナマゴスの遺言書』にその記述があるとされる。好古家ジョン・セバスチャンがこの書物を読んだことでクァチル・ウタウス自身を呼び寄せてしまい、時空を超えて迫り来る同存在によってやがて塵へと帰していく――という筋立てで描かれる(詳細は「塵埃を踏み歩くもの」を参照)。

執筆背景と影響

スミス独自の破壊神クァチル・ウタウスを描いた作品で、Sandy Petersenの『Cthulhu Mythos』資料集をはじめとするTRPG・百科事典的ミソス編纂物に取り込まれ、以後広義のクトゥルフ神話大系の一柱として定着した。

出典

[1] Clark Ashton Smith, “The Treader of the Dust”, Weird Tales vol. 26, no. 2 (August 1935), pp. 242-246(誌面のノンブルで確認できた範囲。作品冒頭は241ページ前後と推定されるが、当該ページのノンブルは未確認)。掲載誌スキャン(archive.org、識別子 Weird_Tales_v26n02_1935-08): https://archive.org/details/Weird_Tales_v26n02_1935-08

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