ミニチュアウォーゲーム(予約受付中) — Cohors Cthulhu: Tactics

Cohors Cthulhu: Tactics

Modiphiusが手がける新作ミニチュアウォーゲーム『Cohors Cthulhu: Tactics』は、ローマ帝国を舞台に、探索者ではなく軍勢を率いてクトゥルフ神話のカルトと戦うソロ/協力プレイ作品。208ページのルールブックは現在予約受付中で、出荷は2026年8月を予定しているが、確認した時点では正式な発売済みという状態ではない。

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概要

Modiphius Entertainmentが、新作ミニチュアウォーゲーム『Cohors Cthulhu: Tactics』のルールブックを、公式オンラインストアで予約受付中としている[1]。208ページ、価格は30.00ポンド[1]。ページには「Shipping is expected to start August 2026(出荷は2026年8月開始予定)」と記載されており[1]、確認した時点でも販売状態は「Pre-order(予約)」のままだった[1]。したがって、この記事の時点では「発売予定」までが確認できる事実であり、「発売した」と断定することはできない。

既存シリーズ「Cohors Cthulhu」の新展開

『Cohors Cthulhu: Tactics』は、まったく新しい世界観として登場したわけではない。Modiphius Entertainmentは以前から「Cohors Cthulhu」というRPGシリーズを展開しており、コアルールブックにあたる『Cohors Cthulhu RPG Player’s Guide』『Cohors Cthulhu RPG Gamesmaster’s Guide』に加え、『Germania Adventure Book』『Laurium Adventures』といったアドベンチャー集も刊行済みである[2]。今回の『Tactics』は、このRPGシリーズと同じ世界観を、ミニチュアウォーゲームという別のゲームシステムで遊べるようにした新展開にあたる。

世界観:「古代ローマの影で繰り広げられる隠された戦い」

『Player’s Guide』の商品説明によれば、舞台は「古代ローマの影で繰り広げられる隠された戦い」。人類を滅亡から守るため、英雄的な凡人たちがクトゥルフ神話の恐怖に立ち向かうという設定で、プレイヤーキャラクターはローマ軍兵士やゲルマン・ガリア・ケルトの戦士など複数文化圏の英雄から作成できる[2]。ゲームシステムはModiphiusが『Star Trek Adventures』などでも使う2d20方式で、キャラクター作成の選択肢は「6つの文化、10の背景、6つのアーキタイプ、12の専門化」、魔法体系は「Runic(ルーン)、Oracular(神託)、Celtic(ケルト)」の3種類が用意されている[2]。

『クトゥルフの呼び声』の探索者が、多くの場合、大学教授やジャーナリストといった知識人として神話に立ち向かうのとは対照的に、こちらは「英雄的な凡人」を主人公に据えている。舞台も現代ではなく古代ローマであり、同じ神話体系を扱いながら、時代設定・主人公像・遊び方のすべてが異なるTRPGシリーズだと言える。

敵対勢力: 原典の存在と、シリーズ独自の創作が同居する

『Player’s Guide』の説明文には、敵対勢力の固有名詞が具体的に挙げられている。「Cult of Mormo, minions of Nyarlathotep and Yog-Sothoth(モルモ教団——ニャルラトホテプとヨグ=ソトースの手先)」、地下坑道に潜む「Mi-Go(ミ=ゴ)」、波間に潜む「Deep Ones(深きもの)」[3]。ミ=ゴ、深きもの、そしてニャルラトホテプ・ヨグ=ソトースはいずれもラヴクラフト原典に登場する存在であり、この点でシリーズは確かにクトゥルフ神話の原典層に足場を置いている。

一方で、「Sarthothus, a shattered god whose divided mind lurks within the very weapons you require to defeat the cults(サルソサス——分裂した精神が、カルトを倒すために必要な武器そのものに宿る、砕かれた神)」という神格や、対抗組織「Fingers of Dawn and Temperari」は、ラヴクラフト原典にもダーレスの拡張にも見当たらない、このシリーズ独自の創作である[3]。「モルモ」自体も、ラヴクラフトの造語ではなく、古代ギリシャ・ローマの民間伝承に伝わる、子供を怖がらせる魔物の名(Mormo)を、神話の手先として新たに位置づけたものと見られる。

神話の三層で見るとどこに位置するか

当サイトが整理している原典/ダーレス系拡張/TRPG設定という三層に照らすと、「Cohors Cthulhu」シリーズは、原典の神格・怪物を土台としながら、サルソサスのような完全新設定の神格をシリーズ独自に追加した第3層(TRPG設定)の典型例と言える。オーガスト・ダーレスが原典を受け継いで体系化したのとは違い、このシリーズは版元(Modiphius)が新たに創造した神格・組織を、原典の名前と並べて登場させている。「ニャルラトホテプの手先」という説明を与えられることで、サルソサスのような完全な新顔でも、遊ぶ側には既存の神話体系に連なる存在として自然に受け止められる――これもまた、神話が版元をまたいで拡張されていく際の典型的な手口である。

どんなゲームか

公式の説明によれば、舞台はローマ帝国の全盛期。プレイヤーは「Summon heroes from across the Roman Empire to fight alone or with allies against the eldritch forces of the outer gods.(ローマ帝国全域から英雄を召集し、ソロまたは仲間と共に、アウターゴッドの怪異な力と戦う)」という設定でプレイする、ソロ/協力型のアドベンチャーウォーゲームである[1]。キャンペーンは「Three-Act Narrative Campaign that allows you to scale your games from skirmish to full mass battles!(小規模な小競り合いから大規模な集団戦まで、ゲームの規模を調整できる三幕構成の物語キャンペーン)」と説明されている[1]。ミニチュアは「a complete range of Roman and Germanic heroes, and terrifying mythos creatures in 28mm scale resin(ローマ・ゲルマンの英雄と、恐るべき神話生物一式を28mmスケールのレジン製で用意)」しており、手持ちのミニチュアを流用することもできるとされている[1]。

クトゥルフ神話×ウォーゲームという組み合わせ

当サイトが原典・ダーレス以降・TRPGという三層で整理しているクトゥルフ神話は(原典/ダーレス系拡張/TRPG設定——三層で読み解くクトゥルフ神話)、ジャンルをまたぐたびに恐怖の描かれ方が変わってきた。ラヴクラフトの原典は、対抗も理解もほぼ不可能な存在に人間がすくみ上がる恐怖を描いた。TRPGの『クトゥルフの呼び声』は、その恐怖の中で探索者が調査し、時には生還を試みるゲームとして設計されている。

『Cohors Cthulhu: Tactics』はさらに一歩先へ進む。プレイヤーは調査者ではなく指揮官として、部隊を編成し、神話の勢力と正面から戦う立場に立つ。公式説明にある「小規模な小競り合いから大規模な集団戦までスケールする」というキャンペーン構造は、原典が前提としていた「対抗不可能性」そのものを、ゲームメカニクスとして扱える規模の敵として再設計していることを示している。ローマ時代という舞台設定も、ラヴクラフト自身が古代ローマを直接舞台にした作品を残していないという点で、原典そのものの翻案ではなく、神話の枠組みを借りた独自の歴史ファンタジーに近い。

現時点で確認できること・できないこと

確認できること: 発行元Modiphius Entertainment、208ページ、30.00ポンド(予約価格)、ソロ/協力プレイ対応、28mmスケールのレジン製ミニチュア、三幕構成のキャンペーンでスケール可変[1]。

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出典

  • [1] 商品ページに、価格「£30.00」、状態「Pre-order」、ページ数「208」、出荷予定「Shipping is expected to start August 2026」、ゲーム概要「Summon heroes from across the Roman Empire to fight alone or with allies against the eldritch forces of the outer gods.」、キャンペーン構造「Three-Act Narrative Campaign that allows you to scale your games from skirmish to full mass battles!」、コンポーネント「a complete range of Roman and Germanic heroes, and terrifying mythos creatures in 28mm scale resin, or use the miniatures you already have!」の記載がある — Modiphius Entertainment公式サイト, modiphius.net ↩
  • [2] 舞台設定「a hidden war fought in the shadow of Rome」、2d20システムの採用、文化・背景・アーキタイプ・専門化の選択肢数、Runic/Oracular/Celticの3種類の魔法体系についての記載がある。関連製品として『Cohors Cthulhu RPG Gamesmaster’s Guide』『Germania Adventure Book』『Laurium Adventures』も同一コレクションに掲載されている — Modiphius Entertainment公式サイト「Cohors Cthulhu RPG Player’s Guide」, modiphius.net ↩
  • [3] 敵対勢力として「Cult of Mormo, minions of Nyarlathotep and Yog-Sothoth」「Mi-Go」「Deep Ones」、神格として「Sarthothus, a shattered god whose divided mind lurks within the very weapons you require to defeat the cults」、対抗組織として「Fingers of Dawn and Temperari」の記載がある — Modiphius Entertainment公式サイト「Cohors Cthulhu RPG Player’s Guide」, modiphius.net ↩

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