概要
ニューイングランドのある通りが辿る興亡を、清教徒の入植時代から現代までの年代記形式で描く一編。歴史的・思想的な問題性の観点から論じられることが多い作品。
作品情報
- 原題: The Street
- 執筆・発表年: 1919年執筆/1920年発表(「Wolverine」誌12月号)
- 主題タグ: 年代記形式の物語、通りの擬人化された興亡、当時の社会不安を反映した題材
あらすじ
ニューイングランドのある通りが、清教徒の入植時代から独立戦争、産業革命による荒廃、そして第一次大戦後の移民流入までを辿る年代記形式の物語。かつて並木と薔薇の庭を持つ美しい通りだったが、次第に工業化で荒廃した貧民街となる。戦後にはロシア系移民の急進主義者たちが住み着き、独立記念日にテロを計画するが、決行前夜に家々がひとりでに崩れ落ち、陰謀者たちは全員圧死する。目撃者たちはその瞬間、通りがかつての美しい姿に戻る幻を見たと語る。
読みどころと注目テーマ
一本の通りを主人公にした年代記形式、当時の社会不安(ボストン警察ストライキ等)を反映した題材、通りが自ら崩れ落ちるという結末
執筆背景と影響
ボストン警察ストライキ(1919年)や当時の爆弾テロ事件に触発された作品だが、移民排斥的な内容から研究者S.T.ヨシに「ラヴクラフトが書いた中で恐らく最悪の一作」と酷評され、『An H.P. Lovecraft Encyclopedia』でも「明白な人種差別」と評されるなど、文学的価値より歴史的・思想的問題性の観点から論じられることが多い作品。


