小説 — Ibid

イビド

学生の誤引用「Ibid.」を書名と早合点したという体裁の風刺小品。架空学者の偽伝記。

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イビド

「イビドなる人物が『列伝』の著者であるという誤った考えは、いくらか教養があると自任する者たちの間でさえあまりに頻繁に見受けられるため、訂正しておく価値がある。この著作の作者は実はキャフ(Cf.)であるということは、広く知られてしかるべき事実である。」

— H・P・ラヴクラフト「イビド」(1927-28年頃執筆/1938年発表、同人誌「O-Wash-Ta-Nong」1月号)冒頭部

概要

学生の誤引用「Ibid.(同上)」を書名と早合点したという体裁の風刺小品。ラヴクラフトには珍しい純然たるユーモア・パロディ作品。

作品情報

  • 原題: Ibid
  • 執筆・発表年: 1927-28年頃執筆/1938年発表(同人誌「O-Wash-Ta-Nong」1月号)
  • 主題タグ: 学術的衒学趣味への風刺、架空の学者の偽伝記、頭蓋骨の数奇な放浪譚

あらすじ

学生のレポートによくある誤引用「Ibid.(同上)」を書名と早合点したという体裁の風刺小品。6世紀ローマの架空学者イビドゥスとその主著『Op. Cit.』を巡る滑稽な偽伝記で、彼の頭蓋骨がカール大帝やウィリアム征服王の手を経て、セイラムやプロヴィデンスを渡り歩いた末、ミルウォーキーのプレーリードッグの巣穴に落ち着くまでを追う。

読みどころと注目テーマ

誤引用を書名と誤認するという発想の妙、架空学者の偽伝記という枠組み、頭蓋骨が数奇な運命を辿るユーモラスな結末

執筆背景と影響

ラヴクラフトには珍しい純然たるユーモア・パロディ作品。S.T.ジョシらは、風刺の対象は学生の無知よりも「学術的衒学趣味そのもの」にあると指摘している。

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