ゲーム

サナトリウム

「クトゥルフ神話のほのぼのRPG」という異色作『サナトリウム』を解説。

公開作成AI支援で作成

誤りの指摘・訂正依頼と編集方針は運営者情報へ。

入手する

※上記は広告リンク(アフィリエイト)です。価格・在庫・版の詳細は必ずリンク先でご確認ください。

概要

『サナトリウム』は、同人サークル「ぶんちょ本舗」が2017年11月に発売したRPGで、公式の説明文に「クトゥルフ神話なRPGゲームです。ホラーではないです」と明記されている異色の作品です。その言葉通り、本作で描かれるのはサナトリウム(療養所)とその周辺で登場人物たちがのんびり過ごす日々であり、恐怖演出や残酷描写を軸にしない「ほのぼの系クトゥルフ」として作られています。エンディングは4種類、プレイ時間は2〜3時間程度とコンパクトにまとまっており、WindowsとMacの両方に対応している点も同人ゲームとしては親切な仕様です。DLsiteの女性向けフロアで配信されている点も特徴的で、評価は★4.5前後(2026年7月時点)と、規模は小さいながら遊んだ人からは安定して好意的に受け止められています。

クトゥルフ神話との関係

クトゥルフ神話といえば宇宙的恐怖、すなわち人間には理解も対抗もできない存在を前にした絶望の文学として知られていますが、その神話の道具立て——異形の存在たち、日常のすぐ隣にある異界——を、恐怖以外の感情で描き直す二次創作の潮流が古くからあります。本作はその系譜に属する作品で、神話的存在が登場する世界を「共に過ごす場所」として描きます。療養所という舞台選びも示唆的です。ラヴクラフト作品において療養所や病院は、真実を見てしまった者が収容される場所(アーカム・サナトリウムなど)として繰り返し登場してきました。本作はその「神話における療養所」の意味を反転させ、狂気の収容先ではなく癒やしと交流の場として再定義しているところに、題材への批評的な面白さがあります。

独自の要素・原典との違い

原典との最大の違いは、いうまでもなく恐怖の不在です。SAN値の減少や発狂の恐怖に駆動される通常のクトゥルフ題材ゲームとは対照的に、本作は複数エンディングの分岐を穏やかな日常の積み重ねの中に置いており、「クトゥルフ神話を知っているほどニヤリとできる、しかし知らなくても優しい話として遊べる」という間口の広さを持っています。こうした「ほのぼの神話もの」は、神話体系が共有知識として十分に浸透したからこそ成立するジャンルであり、クトゥルフ神話の日本における受容の成熟を示す好例といえます。同サークルは同時期にクトゥルフ神話モチーフの脱出ゲーム『LOAD』も発表しており、いずれも「怖くないクトゥルフ」という一貫した作風で、ホラーが苦手な人がこの神話体系に触れる入口として機能する組み合わせになっています。

続きを辿る

記事URLをコピーしました