概要
目星(Spot Hidden)は、クトゥルフ神話TRPGにおいて隠された物・隠された危険・見落としがちな手がかりを見つけ出すための技能である。物理的に隠された扉や小部屋のような明確な「隠し物」だけでなく、コートの膨らみから武器の存在を見抜く、怪しい人物の不審な挙動に気づく、といった危険を未然に察知する用途でも用いられる[1]。〈聞き耳〉が聴覚による探知であるのに対し、目星は主に視覚による探知を担う、探索者の生存に直結する重要技能とされる[1]。
判定の基本 ― 初期値と使用場面
目星の初期値は25%。「探索者の職業によっては目星が職業にないことも多く、初期値25%で行う探索者もいます」[2]とされ、特定の職業技能ポイントを割り振らなかった探索者でも、この初期値で判定できる。
使用場面は大きく二つに分けられる。
- 能動的な使用――「隠し部屋に続く扉を見つけたり、コートの膨らみから銃を持っていることを見破ったり、目立たない手がかりを見つけたりする」[3]、探索者自身が意図して周囲を調べる場面。
- 受動的な使用――「人の怪しい動きを見破ることができればその後に続く行動を阻止できるかもしれません」[3]というように、キーパー側の判断で不意に判定を求められ、危険の察知に直結する場面。
対抗ロールで振られやすい技能
目星がもっとも頻繁に対抗ロールの相手となるのは、身を隠す側の技能である。7版では、隠れる・忍び歩きの二技能が統合された〈隠密〉技能が、探索者側の目星や聞き耳による察知と対抗する[4]。「隠密技能に対しての実質的な対抗ロールとして用いられる」とされ、隠れている側の隠密技能レベルが、見つけ出す側にとっての実質的な難易度を決定する[3]。
第6版と第7版での違い
目星という技能そのものの定義・初期値は、6版と7版で大きくは変わっていない。違いが表れるのは、主に判定の周辺ルールである。
- 対抗する技能の統合――6版では身を隠す側が〈隠れる〉〈忍び歩き〉という2つの独立した技能を使い分けていたが、7版ではこの2技能が統合され、単一の〈隠密〉技能で処理されるようになった[4]。目星を振る側からすると、相手が参照する技能値がシンプルになった形である。
- 成功度判定の精緻化――7版では「通常の成功」「困難な成功」「極限の成功」の3段階が導入され、対抗ロールでは双方の成功度そのものを比較する方式になった(同着の場合のみ1d100の出目で決着)[5]。6版よりも「際どく見つかった/際どく隠れ通せた」という結果の解像度が上がっている。
- プッシュロールの扱い――7版で追加された「プッシュロール(失敗時にリスクを負って振り直す)」の仕組みは対抗ロールには適用されないため、目星と隠密が対抗する場面ではどちらの側もプッシュでの振り直しはできない[6]。
よくある勘違い
Q. 怪しい場所では毎回とりあえず目星を振っておけば安全?
A. 推奨されない。「一歩進むごとに目星を使うことはプレイの進行を遅くすることにもつながるためにお勧めできません」[3]とされ、目星は回数制限のあるリソースではなく何度でも振り直せる分、乱用すると探索のテンポそのものを損なう。怪しい場所・状況が明示されたときに絞って使うのが実際の卓での運用に近い。
Q. 手がかりを探す判定はすべて目星でよい?
A. いいえ。目星はあくまで「視覚的に隠れた物・人・動きを見つける」技能であり、手がかりの性質によっては別の技能のほうが適切な場合がある。資料や記録を調べるなら〈図書館〉、音や会話から気づくなら〈聞き耳〉、神話的な知識に基づく違和感なら〈オカルト〉〈クトゥルフ神話〉が本来の判定対象になる。目星だけを伸ばしておけばシナリオの手がかりをすべて拾えるという考え方は誤りで、探索系技能を横断的に使い分けることが前提になっている。
実例・用例
- 隠し部屋に続く扉を見つける[3]。
- 会話の相手が、コートの下に武器を隠し持っていることに気づく[3]。
- 隠密で身を潜めている人物の気配に、視線を巡らせて気づく(隠密との対抗ロール)[3][4]。
- 手品のような、相手の素早い手さばきの種を見破る[7]。
- 奇襲を受ける瞬間、攻撃者のわずかな動きに気づき、攻撃を予期する[7]。
出典
- [1] 「目星とは探索者が生存するために重要とされる技能の一つです。……聞き耳技能のように忍び寄る危機に対しての発見や安全な道標を見出すときに使うことができ、危険を前もって回避することにもつながります」 ― 「目星とは|クトゥルフ神話TRPGで必要な洞察力を表す技能」TRPG JAPAN ↩
- [2] 「探索者の職業によっては目星が職業にないことも多く、初期値25%で行う探索者もいます」 ― 同上、TRPG JAPAN ↩
- [3] 「隠し部屋に続く扉を見つけたり、コートの膨らみから銃を持っていることを見破ったり……」「一歩進むごとに目星を使うことはプレイの進行を遅くすることにもつながる」「隠密技能に対しての実質的な対抗ロールとして用いられます」 ― 同上、TRPG JAPAN ↩
- [4] 「7版では《忍び歩き》や《隠れる》などが、隠密技能に統合されました……6版では気づかれずそっと移動したい時は隠れる技能と忍び歩き技能の組み合わせでしたが、7版では隠密技能のみで処理することができます」 ― 「隠密とは|隠れる・忍び歩きを統合したクトゥルフ神話TRPGの技能」TRPG JAPAN ↩
- [5] “Success levels are then compared, with critical success beating extreme success, extreme beating hard, hard beating regular…If both parties tie…roll 1D100, lower roll wins.”(訳: 「双方の成功度を比較し、決定的成功は極限成功に勝り……両者が同点の場合は1D100を振り、出目の低い方が勝利する」) ― Call of Cthulhu 7th Edition Rules, trpgline.com(第7版ルール要約) ↩
- [6] “Opposed skill rolls cannot be pushed.”(訳: 「対抗技能ロールはプッシュ(再挑戦)できない」) ― 同上、trpgline.com ↩
- [7] 「奇襲されるときに攻撃者の僅かな動きに気づき、攻撃を予期することができます」「マジックのような素早い手の動きを見破る際にも使用されます」 ― 「目星とは|クトゥルフ神話TRPGで必要な洞察力を表す技能」TRPG JAPAN ↩
次に読むなら
- 対抗ロールの仕組みそのものを知る → 対抗ロール
- 成功度とプッシュロールを知る → プッシュロールと成功度
- 探索者を実際に作ってみる → 探索者シート作成ツール
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