概要
『異世界の色彩 ラヴクラフト傑作集』は田辺剛による漫画で、2015年9月25日にKADOKAWA(エンターブレイン)よりビームコミックスとして刊行された。原作は1927年発表の「宇宙からの色」で、ラヴクラフト自身が「自分の作品の中で最も満足のいく出来」と評したとされる短編である。英語版はDark Horse Comicsより刊行されている。
クトゥルフ神話との関係
ニューイングランドの農場に落下した隕石とともに現れた、既存の色彩体系では表現できない「異世界の色」が、井戸水・作物・家畜、そして一家の心身を徐々に蝕んでいく過程を描く。神格の名を一切出さないまま「理解不能な宇宙的存在に触れることそのものが破滅である」という宇宙的恐怖の本質を体現した作品として、クトゥルフ神話の中でも屈指の代表作に数えられる。
独自の要素・原典との違い
文章でしか表現しようがないはずの「名状しがたい色」を、モノクロ漫画という制約の中でどう視覚化するかが本作最大の挑戦であり、田辺剛は色そのものを描かず、周囲の生物・植物が変質していく様の描き込みでその異常性を伝える手法を取っている。原作の語り手による回想形式の構成もほぼそのまま踏襲されている。