概要
Netflix「ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋」の1話として2022年に配信。監督はキャサリン・ハードウィック、脚本はマイカ・ワトキンス。ルパート・グリントが主人公ウォルター・ギルマンを演じる。H・P・ラヴクラフトの短編「魔女の家の夢」(1933年発表)を原作に、双子の妹を幼くして亡くしたギルマンが、妹の魂を取り戻すため生涯をかけて異界との接触を試みるという新たな軸を追加した翻案。
デル・トロが製作総指揮を務める。日本ではNetflixで字幕・吹替つき配信。
クトゥルフ神話との関係
原作「魔女の家の夢」は、アーカムの下宿屋に住む数学専攻の学生ウォルター・ギルマンが、非ユークリッド幾何学を介して異次元へ迷い込み、17世紀の魔女キジア・メイスンとその使い魔ブラウン・ジェンキンに絡め取られていく作品で、異次元移動という神話体系の重要なモチーフを含む。
本エピソードもこの下宿屋・幾何学的異空間・魔女と使い魔という核となる設定を維持しており、数学と魔術が地続きであるという原作特有のアイデアを、映像的な幾何学模様の演出として再構築している点が特徴である。
独自の要素・原典との違い
最大の追加要素は、原作にはない「幼くして亡くなった双子の妹を取り戻したい」という個人的な動機をギルマンに与えたことで、原作の持つ純粋な知的探求・偶発的な恐怖の物語を、喪失と執着をめぐる感情的なドラマへと大きく作り替えている点である。
原作ではギルマンは大学の研究者コミュニティの中で徐々に理性を失っていくが、本エピソードでは降霊術師の一団と交流する独自のオカルト探偵的展開が追加されており、原作の静かな心理的崩壊劇から、より能動的にオカルトの真相を追う構成へと変化している。この改変については公開当時のレビューでも賛否が分かれた点として言及されている。
