編集部注(著作権について): 本記事が扱う『異次元の影』(原題: The Shadow Out of Space、1957年発表)は、パブリックドメインであるとは断定できません(同時代・同著者の他作品に著作権更新登録の実例が確認されているため)。本記事は原文からの引用を行わず、あらすじ・論評のみで構成しています。
概要
ラヴクラフト『時間からの影』の翻案的性格が強い一編。人類学者がイスの偉大なる種族の肉体に宿る幻視に苦しめられ、消息を絶つ。
作品情報
- 原題: The Shadow Out of Space
- 執筆・発表年: 1957年発表(アーカムハウス『The Survivor and Others』が初出とみられる)
- 主題タグ: 『時間からの影』の翻案、精神の入れ替わり、消息を絶つ結末
登場神格・用語
あらすじ
1933年のアーカムを舞台に、精神科医ネイサニエル・コリーが、かつて人格喪失と長期の記憶喪失に陥ったミスカトニック大学の人類学者エイモス・パイパーを診察する。回復後のパイパーは、コーン状の姿をしたイスの偉大なる種族の肉体に宿って別世界で生きる詳細な幻視に悩まされるようになる。コリーは当初これを心因性の疾患とみなすが、同様の症例が過去にも存在したことを知り調査を進める。パイパーがアラビア砂漠への調査旅行に赴くと消息を絶ち、コリー自身も監視され原稿を焼かれかける。物語はコリーと身元不明の男が発話も意思疎通もできない状態で発見される不穏な結末を迎える。
読みどころと注目テーマ
『時間からの影』を彷彿とさせる精神の入れ替わり、消息不明という不穏な結末、原典の翻案としての位置づけを巡る評価の分かれ目
執筆背景と影響
ラヴクラフトの中編『時間からの影』の翻案的性格が強く、批評家の一人は「趣旨のない焼き直し」と酷評している。S・T・ジョシイらの研究では、プロット・人物造形・文体などすべてダーレスの創作であり、ラヴクラフトの遺した草稿や構想に基づくものではないと結論づけられている。






