概要
『Sucker for Love: Date to Die For』は、個人開発者Joseph “Akabaka” Hunter氏が手がけ、DreadXPが発売元となったホラー恋愛ビジュアルノベルです。2024年4月23日にWindows向けにSteamで発売されました。日本語には対応していません。Steamレビューは「圧倒的に好評」で、94%(1,167件、2026年7月時点)の高評価を獲得しています。物語は、主人公スターダストが故郷の町で相次ぐ失踪事件を調査するところから始まりますが、彼女自身も何者かに誘拐され、「黒き森」に囚われてしまいます。脱出の糸口として彼女が見つけるのは、邪教団が遺したスペルブック。そこに記された儀式を用いて、召喚可能な「デート相手」となる存在、Rhok’zanを呼び出すことになります。90年代アニメ風の手描きビジュアルと複数エンディングを備えた、全4章構成のコメディホラーADVです。
クトゥルフ神話との関係
本作の核心にあるRhok’zanは、「万物の母にして森の黒山羊(The All-Mother and Black Goat of the Woods)」という異名を持つ、擬人化された山羊の姿の豊穣と欲望の神です。この二つ名は、シュブ=ニグラスの代表的な異名「千匹の仔を孕みし森の黒山羊」を明確に踏まえたパロディであり、Rhok’zanはシュブ=ニグラスの戯画化された姿だと位置づけられます。舞台となる「黒き森」に潜む邪教団や失踪事件の連鎖も、コズミックホラー作品でおなじみの意匠です。開発元自身、本作を『インスマウスを覆う影』の緩やかな翻案と位置づけており、閉鎖的な町に潜む信仰と血脈の秘密という主題が引き継がれています。
独自の要素・原典との違い
原典でシュブ=ニグラスは名状しがたく直視すら許されない存在として描かれますが、本作のRhok’zanは擬人化された姿でプレイヤーに語りかけ、恋愛対象として口説く相手になるという大胆な転倒が最大の特徴です。「邪神と付き合う」という一見突飛な設定でありながら、レビューでは「ラヴクラフト風の雰囲気を保ちながら、そのテーマで誰かを疎外することがない」と評されており、コメディと不穏さのバランス感覚が支持されています。本作は前作『Sucker for Love: First Date』の続編であり、三部作として計画されているシリーズの2作目にあたります。前作に比べて操作性が洗練され、初めて触れる人にも遊びやすくなった点も特徴です。


