概要
『The Horror at Highrook』は、英国のインディースタジオNullpointer Gamesが開発し、Outerslothが発売元として手がけたカード錬成型のナラティブRPGです。2025年5月1日にSteamで発売されました。日本語には対応しておらず、インターフェース・字幕とも英語のみです。Steamレビューは「非常に好評」で89%(448件、2026年7月時点)と高い評価を得ています。物語の舞台はハイルック邸。オカルトに傾倒する貴族一家アッカロン家が、闇の契約と怪しい儀式の噂とともに失踪したことを受け、調査員のチームが屋敷に派遣されます。ゲームでは調査員や道具、抽象的な概念に至るまであらゆる要素が「カード」として表現され、これらを組み合わせて儀式を執り行ったり、護符を錬成したりしながら、時間制限の中で一家の運命を解き明かしていきます。
クトゥルフ神話との関係
開発元はH・P・ラヴクラフトに加え、エドガー・アラン・ポーやブラム・ストーカーからの影響を公言しており、複数のゴシックホラー系譜を意図的に織り交ぜた作品です。調査を進めるにつれ、顔を持たず余分な牙を備えた名状しがたい怪物が儀式の果てに現れ、地震のような不自然な現象や異常な侵食が屋敷を蝕んでいく描写は、理解を超えた存在との接触が人間の秩序を崩していくコズミックホラーの骨法に忠実です。物語は日記や書き置き、キャラクター同士の対話の断片を通じて語られ、ボイスではなく文字資料の積み重ねで恐怖を醸成する手法は、探索型クトゥルフ神話ゲームの伝統を受け継いでいます。
独自の要素・原典との違い
本作最大の特色は、調査員や部屋、道具から幻想的な概念までをすべて「カード」として扱い、それらを掛け合わせて新たなカード(道具・儀式・護符)を生み出していく非線形のクラフトシステムです。全8章にわたりチームの体力を管理しながら進める構成は、探索型アドベンチャーが主流のクトゥルフ神話ゲームの中では珍しく、ボードゲーム的な抽象度の高いUIを通じて恐怖を体験させる点が独自です。同じく抽象的なシステムで神話的恐怖を描く先行作としては『Stygian』のようなCRPGもありますが、本作はより軽量なカード錬成に振り切っており、猫が同行するなど不穏さの中にユーモアを差し込む演出も見られます。

