原典としてのアル・アジフ
「アル・アジフ(Al Azif)」は、H・P・ラヴクラフトが創造した禁書ネクロノミコンのアラビア語における原題です。作中設定では、狂気の詩人アブドゥル・アルハザードが730年頃ダマスカスで著した書物の題名がこれにあたり、後にギリシャ語訳の際に『ネクロノミコン(死者の書)』という表題が与えられたとされます。「アジフ(Azif)」という語自体は、夜間に虫が発する不気味な羽音を、アラブ人が悪魔の遠吠えと信じたことに由来する言葉とされ、ラヴクラフトはこの語感を借りて、原題からして不穏な響きを持つ書物として設定を作り込みました。書物そのものの詳しい由来や内容については、ネクロノミコンの記事で解説しています。
派生キャラクターとしてのアル・アジフ
一方、「アル・アジフ」はニトロプラス企画・監修のアニメ『機神咆吼デモンベイン』に登場する、生きた魔導書そのものが少女の姿を取ったキャラクターの名前としても知られています。作品世界ではネクロノミコンのタイアップ存在として設定されており、主人公・大道寺久朗とともに、アーカムシティを舞台に暗躍する秘密結社ブラックロッジの陰謀へ立ち向かいます。原典では「解読した者が精神に異常をきたす禁断の知識の書物」だったアル・アジフを、人格と意思を持ち主人公とともに戦う味方キャラクターへと転換した点が、この作品独自の大胆な翻案です。原題そのものを固有名詞として引き継ぎながら、書物というモチーフを擬人化するという発想は、クトゥルフ神話の魔導書がポップカルチャーの中でたどった変容の一例といえます。
デモンベインの紹介記事は成人向け姉妹サイト『深淵禁書』にあります(R-18): 『斬魔大聖デモンベイン』紹介




