概要
ロード・ダンセイニ(1878-1957)は、アイルランドの貴族(ダンセイニ男爵第18代)にして小説家・劇作家。生前に90冊を超える著作を刊行し、20世紀初頭には英語圏を代表する作家の一人と目された。クトゥルフ神話そのものの書き手ではないが、その独自の神話的世界観はH・P・ラヴクラフトの「幻夢境(ドリームランズ)」ものに決定的な影響を与えた作家として位置づけられる。
基本情報
- 生年月日:1878年7月24日(ロンドン生まれ)
- 没年月日:1957年10月25日(ダブリンで死去、79歳)
- 国:アイルランド(英国貴族)
- 主な活動分野:小説家、劇作家、詩人
生涯と主な仕事
正式名エドワード・ジョン・モアトン・ドラックス・プランケット。アイルランド貴族位の中でも歴史あるダンセイニ男爵位を1899年に継承し、タラ近郊の古城ダンセイニ・キャッスルで生涯の多くを過ごした。第二次ボーア戦争ではコールドストリーム近衛連隊少尉として、第一次世界大戦では王立イニスキリング燧発銃兵連隊大尉として従軍し、1916年のイースター蜂起の際には負傷している。W・B・イェイツやレディ・グレゴリーらと交流しつつ文筆活動を行い、1905年の処女作『ペガーナの神々』で独自の神話的宇宙を創造して以降、1924年発表の代表作『エルフランドの王女』などにより、20世紀ファンタジー文学の礎を築いた作家の一人と評価されている。1957年、ダブリンで虫垂炎により79歳で死去した。
クトゥルフ神話への貢献
ダンセイニは神話作品そのものを書いた作家ではなく、あくまでラヴクラフトに強い影響を与えた先行世代の作家として位置づけられる。ラヴクラフトは1919年、ダンセイニの講演旅行で本人の朗読を聞いて以来深く傾倒し、自ら「私にはポー風の作品とダンセイニ風の作品がある——ああ、私自身の作品はどこに?」と書き記すほど強くその文体を模倣した。『ペガーナの神々』に代表される、架空の神々からなる壮大かつ夢幻的な神話体系という手法は、ラヴクラフトが「未知なるカダスを夢に求めて」や「セレファイス」をはじめとする「幻夢境」連作、さらには神話の神々の造形そのものを生み出す上での直接的な出発点となった。ラヴクラフト自身、「人工の万神殿と神話的背景」という着想はダンセイニから得たと明言している。
主要作品
- 『ペガーナの神々』(The Gods of Pegāna, 1905年)
- 『エルフランドの王女』(The King of Elfland’s Daughter, 1924年)
- 『ドン・ロドリゲス:影の谷年代記』(Don Rodriguez: Chronicles of Shadow Valley, 1922年、長編第一作)
参考資料
- Wikipedia “Lord Dunsany” https://en.wikipedia.org/wiki/Lord_Dunsany
- H.P. Lovecraft Wiki “Lord Dunsany” https://lovecraft.fandom.com/wiki/Lord_Dunsany
- Kadath: H.P. Lovecraft’s Dreamlands Wiki “Dream Cycle” https://kadath.fandom.com/wiki/Dream_Cycle





