オンラインイベント(2026年9月18日)

Book Launch Odyssey 第1回

2026年9月18日(金)20時から、オンライン書籍紹介イベント「Book Launch Odyssey」の第1回が開かれます。取り上げられるのは小泉勇人『英語力が憑く 怪談・ゴシック文学の世界』(ベレ出版)。ラヴクラフト「クトゥルーの呼び声」が独立した1章を占める英語学習書で、原典を英語で読む入口として使えます。

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いつ、何が、どうすれば参加できるか

オンライン書籍紹介イベント「Book Launch Odyssey」の第1回が、2026年9月18日(金)20:00から22:00まで(日本時間)、Zoomで開かれます[1]。取り上げるのは、小泉勇人『英語力が憑く 怪談・ゴシック文学の世界』(ベレ出版、2026年)です[1]。

参加の窓口は、主催者が公開している登録用フォーム1つだけです。フォームの表題は「【登録用フォーム】Book Launch Odyssey オンライン書籍紹介イベント」で、案内文にはこうあります。「こちらは「Book Launch Odyssey」参加申込フォームです。一度登録するだけで、今後の読書会に同じZoomのURLで参加できます。」[1]。名前(ペンネームやハンドルネームでも可)とメールアドレスを入力して送信すると、ZoomのURLを含む自動返信が登録したメールアドレスに届くという案内も添えられています。自動返信が届かない場合は、再度登録の手続きをするよう求められています[1]。

ここで押さえておきたいのは、この登録が第1回限りの申し込みではないという点です。フォームの文言通り、一度登録すれば、以後の回にも同じZoomのURLで参加できる運用になっています[1]。つまり今回の登録は「9月18日だけのチケット」ではなく、「Book Launch Odysseyという読書会シリーズへの入口」に近い性格を持っています。フォームには参加希望者向けの入力欄として、名前・メールアドレスに加えて、コメントや質問、希望を書ける任意欄も用意されています[1]。登録は主催者の公開フォームから各自で行ってください。

取り上げられる本——小泉勇人『英語力が憑く 怪談・ゴシック文学の世界』

第1回で扱われる『英語力が憑く 怪談・ゴシック文学の世界 [音声DL付]』は、著者・小泉勇人、ベレ出版から2026年7月27日に発売された学習書です[2]。ISBNは978-4-86064-831-2、A5判並製で352ページ、定価は2,200円(本体2,000円+税10%)。ジャンルは「リーディング」「英語読み物」に分類されています[2]。音声ファイルのダウンロードが付属するほか、公式サイトでは立ち読み用と目次のPDFが公開されています[2]。

内容紹介には、次のようにあります。「ホラーで学習すれば「英語力が身に憑く!」――怪談・ゴシック文学・ホラー小説の名作を通して英語を学ぶ、新感覚の学習書。小泉八雲、シェイクスピア、ラヴクラフト、メアリー・シェリー、ブラム・ストーカーなど時代を超えて読み継がれる名作の恐怖と美に触れつつ、語彙・文法・読解力が自然と深まります。」[2]。怪談やゴシック小説という「怖い」感情を学習のフックに使う本だと謳われており、原文の読解を軸にした構成であることがうかがえます。

著者の小泉勇人氏は、東京科学大学リベラルアーツ研究教育院・外国語セクション准教授です。大阪府枚方市出身で、関西学院大学文学部英文科を卒業後、早稲田大学大学院文学研究科英文学コースへ進学。博士論文ではシェイクスピア映画と現代社会の関係、特にイラク戦争の表象を論じたとされています[3]。現在はイギリス文学・映画の研究に加え、英語コミュニケーションおよびアカデミックライティングの指導にも携わっており、単著に『現代映画のセリフで鍛えるリスニングスキル』(音羽書房鶴見書店、2020)があります[3]。

当サイトが公式サイトの目次PDFで確認できた範囲では、本書は6章構成です。第1章がシェリダン・レ・ファニュ『カーミラ』、第2章が小泉八雲『怪談』(「ろくろ首」など3篇)、第3章がメアリー・シェリー『フランケンシュタイン』、第4章がブラム・ストーカー『ドラキュラ』、そして第5章がラヴクラフト『クトゥルーの呼び声』、第6章がシェイクスピア『マクベス』という並びです[4]。各章は原則として、取り上げる作品を3分割し、各分割ごとに「作品解説」「原文テクスト」「怪談単語トレーニング」「読解トレーニング」「英文読解ガイド」という同じ5要素を繰り返す構成になっています[4]。

ラヴクラフトの扱い方——第5章はまるごと『クトゥルーの呼び声』

当サイトの読者にとって注目したいのは、この本でのラヴクラフトの扱いが「名前が挙がっている」程度ではない点です。版元が公開している目次PDFによれば、本書は6人の書き手を1章ずつ立てる構成で、ラヴクラフトはその1章を単独で占めています[4]。

章作品構成
シェリダン・レ・ファニュ『カーミラ』Carmilla (1872)Vol.1〜3
小泉八雲『怪談』ROKURO-KUBI / THE STORY OF MIMI-NASHI-HŌÏCHI / JIKININKI3編
メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』Frankenstein (1818, 1831)Vol.1〜3
ブラム・ストーカー『ドラキュラ』Dracula (1897)Vol.1〜3
ハワード・フィリップス・ラヴクラフト『クトゥルーの呼び声』The Call of CthulhuVol.1〜3
ウィリアム・シェイクスピア『マクベス』Macbeth (1606年頃)Vol.1〜3

各 Vol. には「作品解説、原文テクスト、怪談単語トレーニング、読解トレーニング、英文読解ガイド」が付き、章の区切りにコラムが挟まります[4]。長編である『フランケンシュタイン』『ドラキュラ』と同じ3分割の枠が、中編1作である「クトゥルーの呼び声」にも与えられている、という配分です。短編をいくつか並べるのではなく、1作を3回に分けて最後まで読ませる作りになっています。

ひとつ、書誌として気になる表記があります。目次PDFは作品名を「The Call of Cthulhu (1932)」と記しています[4]。この中編が初めて世に出たのは『ウィアード・テイルズ』1928年2月号で、執筆は1926年夏です[5]。1932年という年がどこから来たものかは、目次の表記だけでは読み取れません。当サイトの原典記事では初出を1928年として記録しています。

著者が何をしようとした本なのか

版元は「はじめに」もPDFで公開しています。そこで著者は、この本を書いた動機をこう説明しています[6]。

筆者が学部、大学院生時代に四苦八苦しながら作品を原文で読んでいた頃、こんな指南書があったらきっと嬉しかったろうな、というイメージで本書を書きました。

取り上げる作家は年代順に、シェイクスピア(1564-1616 英)、メアリー・シェリー(1797-1851 英)、シェリダン・レ・ファニュ(1814-1873 英)、ラフカディオ・ハーン/小泉八雲(1850-1904 英)、ブラム・ストーカー(1847-1912 英)、そしてハワード・フィリップス・ラヴクラフト(1890-1937 米)の6人です[6]。生没年と国名は「はじめに」の表記に従いました。

作りかたも明かされています。各作品から「3箇所を選び(3章分、3部分、3場面分、あるいは3編分)、特定の作品世界の深みに徐々に踏み込んでいくように構成」したとあり[6]、目次で見た Vol.1〜3 の枠はこの方針から来ています。そして各箇所に、〔1〕作家&作品紹介、〔2〕本文(原文テクスト)、〔3〕語彙(怪談単語トレーニング)、〔4〕スラッシュ・リーディング(読解トレーニング)、〔5〕精読の指南(英文の読解ガイド)、〔6〕作品を巡る補足解説(コラム)という6つの学習項目が置かれます[6]。

著者は最後にこう書いています[6]。

願わくは本書をきっかけに、取り上げた作家、作品の翻訳書、あるいは原文を手に取り作品全体を読んでいただければ嬉しいです。

抜粋を読ませて終わりにせず、そこから全文へ送り出すことを目的に据えた本だという宣言です。当サイトが原典記事で作品本文への導線を置いているのと、狙いは重なります。

深淵書架の読者にとっての意味——原典を英語で読むという入口

当サイトはこれまで、「クトゥルフの呼び声」の原典記事や「どこから始めるか」という読書ルート記事で、ラヴクラフトの原文にどう向き合うかを繰り返し扱ってきました。日本語訳で読むか、原文に挑むかという選択は、「宇宙的恐怖」の記事で触れてきた、ラヴクラフト特有の持って回った古風な文体、そして読者の理解が及ばない事象を前にした人間の無力感という主題とも切り離せません。

今回の本と読書会が当サイトの読者にとって意味を持つのは、この2つが重なって現れたからです。1つは、ラヴクラフトの英語を「原文テクスト」「怪談単語トレーニング」「読解トレーニング」「英文読解ガイド」という段階を踏んで読み進められる本が、シェイクスピアやメアリー・シェリー、小泉八雲といった他の怪奇文学の古典と並ぶ形で出版されたこと。もう1つは、その本の著者自身から、書籍紹介イベントという場で直接話を聞ける機会が同時に用意されたことです。翻訳で読んだ物語を、今度は原文の語順と単語で読み直してみたいと思ったとき、独学でいきなり1928年の英語に挑むよりも、章立てと単語解説が付いた教材から始めるほうが挫折しにくいという読者は少なくないはずです。

原文に触れることには、翻訳では削がれてしまう情報が残るという利点もあります。「クトゥルフの呼び声」第1部でレリーフの図像を描く一節にある「impressionistic execution」(印象派的な描き方)や「diseased fancy」(病んだ空想力)といった言い回しは、語り手が目にしたものをどう理解しようとしてどう失敗しているか、その揺れそのものを英語の語順で伝えています。ラヴクラフトが繰り返し書いた「言葉にできない」「筆舌に尽くしがたい」という感覚は、原文の統語構造にも表れており、これは翻訳だけでは掴みきれない領域です。

もちろん、原文だけで読み切るのは簡単ではありません。ラヴクラフトの英語は、語彙も構文も平易とは言いがたいものです。今回の本のように、単語・構文・段落構造を段階的に解きほぐす教材と、著者自身の解説を直接聞ける場が組み合わさることは、原文へ踏み出す敷居を下げてくれます。深淵書架が案内してきた「怪談・ゴシック文学の名作で英語を学ぶ」というこの本の枠組みは、インスマスを覆う影のような他のラヴクラフト作品や、ラヴクラフトらしい映画とは何かで扱ってきた翻案・映像化の議論とも、いずれ地続きになっていくはずです。

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出典

  • [1] 主催者公開の登録用フォーム「【登録用フォーム】Book Launch Odyssey オンライン書籍紹介イベント」(2026-09-16取得) — https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScr3sCt5vQQGbGpeLXeFvgvwOkbyEYMWbRSdtJE9aAWNXoGfg/viewform ↩
  • [2] ベレ出版公式サイト 商品ページ「英語力が憑く 怪談・ゴシック文学の世界 [音声DL付]」書誌情報・内容紹介(2026-09-16取得) — https://www.beret.co.jp/book/48312 ↩
  • [3] 同上 著者プロフィール欄(2026-09-16取得) — https://www.beret.co.jp/book/48312 ↩
  • [4] ベレ出版公式サイト 同書 目次PDF(2026-09-16取得) — https://www.beret.co.jp/uploads/2026/04/目次-3.pdf ↩
  • [5] The H. P. Lovecraft Archive「The Call of Cthulhu」本文(執筆1926年夏、『ウィアード・テイルズ』1928年2月号初出)(取得日 2026-09-16) — https://www.hplovecraft.com/writings/texts/fiction/cc.aspx ↩
  • [6] ベレ出版公式サイト 同書「はじめに」PDF(2026-09-16取得。当サイトがPDFのテキスト層から本文を取り出して確認) — https://www.beret.co.jp/uploads/2026/04/はじめに-2.pdf ↩

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