概要
『Quake』は、id Softwareが開発し1996年6月22日に発売されたファーストパーソンシューター(FPS)です。2021年にはNightdive StudiosとMachineGamesの手による「Quake Enhanced」がビジュアル強化・クロスプレイ対応版として無料アップデートで提供されました。日本語のインターフェース・字幕・音声はいずれも非対応です。プレイヤーは戦士「Ranger」を操作し、4つの異次元世界を巡って魔法のルーンを集め、侵攻を食い止める任務に挑みます。2026年7月時点でSteamレビューは13,262件中96%が好評の「圧倒的に好評」で、FPS史に残る金字塔として評価が定着しています。
クトゥルフ神話との関係
本作のストーリー自体はダークファンタジー色の強い独自の異次元設定であり、クトゥルフ神話の物語を直接なぞるものではありません。しかし最終ボスの名は「Shub-Niggurath」であり、これはH・P・ラヴクラフトのクトゥルフ神話に登場する「森の黒山羊」ことシュブ=ニグラスそのものの名を借用したものとして広く知られています。このボスは通常の攻撃が効かず、周囲を巡回するテレポーターを利用した「テレフラグ」でのみ撃破できるという特異な戦闘構造を持ちます。
独自の要素・原典との違い
Quakeにおけるクトゥルフ神話の扱いは、物語やテーマの深い部分での継承ではなく、あくまで「シュブ=ニグラス」という固有名詞レベルの意匠的な借用にとどまる点が特徴的です。原典の神話体系における設定や外見、崇拝儀礼といった背景説明はゲーム内でほとんど語られず、多くのプレイヤーはボスを撃破した後に初めてその名の由来がラヴクラフトにあると気づく、という独特の受容のされ方をしてきました。コズミックホラーとしての恐怖演出よりも、高速な戦闘とレベルデザインを主体としたFPSとしての完成度が本作の核ですが、90年代FPS文化に神話の固有名を刻み込んだ歴史的意義は小さくありません。

