編集部注(著作権について): 本記事が扱う『アルハザードのランプ』(原題: The Lamp of Alhazred、1957年発表)は、パブリックドメインであるとは断定できません(同時代・同著者の他作品に著作権更新登録の実例が確認されているため)。本記事は原文からの引用を行わず、あらすじ・論評のみで構成しています。
概要
ラヴクラフトの分身とされる作家ウォード・フィリップスを主人公に据え、アブドゥル・アルハザード伝来の魔法のランプが見せる幻視を描く、実際のラヴクラフト書簡の一節を取り込んだ異色の一編。
作品情報
- 原題: The Lamp of Alhazred
- 執筆・発表年: 1957年発表(「The Magazine of Fantasy and Science Fiction」10月号。同年アーカムハウス『The Survivor and Others』にも収録)
- 主題タグ: ラヴクラフト最後の書簡の引用、分身キャラクター:ウォード・フィリップス、追悼的オマージュ
登場神格・用語
あらすじ
主人公ウォード・フィリップスは、7年前に失踪した祖父の家(ロードアイランド州エンジェル・ストリート)に暮らす病弱な作家。祖父の遺した手紙とともに、かつてアブドゥル・アルハザードが所有し、伝説の都市イレム(石柱の都)に由来するというアラビア風の魔法のランプを相続する。ランプに火を灯すと壁に異界の光景――太古の文明や禁断の都市、コスモス的恐怖に満ちた幻影――が浮かび上がり、フィリップスはそれらを題材に創作を続ける。晩年、死の床でランプを再び灯すと、今度は故郷シーコンク川沿いの少年時代の思い出が映し出され、フィリップスはその光景に誘われるように壁の中へ歩み去り、二度と姿を現さない。
読みどころと注目テーマ
ラヴクラフト自身の書簡の一節がそのまま取り込まれた点、分身キャラクター:ウォード・フィリップスを巡る追悼的な性格、賛否両論を呼んだ美化的な結末
執筆背景と影響
本作は、ラヴクラフトが1936年11月18日付でダーレスに宛てた未完の最後の書簡――ロードアイランド州ニュータコンカナット・ヒルへのハイキングを綴った一節――の文章がそのまま取り込まれていることで、他の死後合作とは一線を画す。批評家アンソニー・バウチャーは「感動的な追悼」として高く評価した一方、フロイド・C・ゲイルは「ラヴクラフトの人生と死がこうあってほしかったという理想化」に過ぎないと批判した。









