概要
通俗メロドラマを徹底的にパロディ化した滑稽譚。ラヴクラフトには珍しい純然たるユーモア・パロディ作品で、生前未発表のまま死後に短編集で初めて世に出た。
作品情報
- 原題: Sweet Ermengarde; or, The Recluse of the Uncanny Glen
- 執筆・発表年: 1919〜1921年頃執筆(推定、正確な時期は特定不能)/1943年発表(アーカムハウス版短編集『Beyond the Wall of Sleep』に遺稿として初収録)
- 主題タグ: 通俗メロドラマのパロディ、紋切り型の恋愛騒動、生前未発表の遺稿
あらすじ
ヒロインのエセル・アーメンガード・スタッブズは、悪辣な抵当権者スクワイア・ハードマン、彼女を救おうとするジャック・マンリー、そして婚約者アルジャーノン・レジナルド・ジョーンズという三人の男の間で、紋切り型で偶然だらけの恋愛騒動に巻き込まれる。当時人気だった通俗作家フレッド・ジャクソン風の安易な筋立てと感傷性を意図的に誇張して笑いのめした作品。
読みどころと注目テーマ
通俗メロドラマの紋切り型を意図的に誇張したパロディ、偶然だらけの恋愛騒動という構成、ラヴクラフトには珍しい純然たるユーモア作品という異色さ
執筆背景と影響
これは真剣なホラーではなく意図的なパロディ・冗談小説であり、既存の恐怖・神話系記事群とは性質が異なる点に留意が必要。ラヴクラフト作品中「執筆時期を正確に特定できない唯一の作品」とされ、生前未発表のまま死後に短編集で初めて世に出た、数少ない純粋なユーモア作品の一つ。


