概要
Netflixのホラーアンソロジーシリーズ「ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋」の1話として2022年10月に配信。監督はキース・トーマス、脚本はリー・パターソン。ギレルモ・デル・トロが製作総指揮を務める。ベン・バーンズが美大生ウィリアム・サーバー、クリスピン・グローヴァーが謎めいた画家リチャード・ピックマンを演じる。
H・P・ラヴクラフトの短編「ピックマンのモデル」を原作としつつ、脚本・監督チームが独自の解釈を大きく加えた翻案として制作された。日本ではNetflixで日本語字幕・吹替つきで配信されている。
クトゥルフ神話との関係
原作「ピックマンのモデル」は、ボストンの地下に潜む食屍鬼(グール)を写実的に描く画家ピックマンの正体を、友人の視点から徐々に明かしていく作品で、ラヴクラフト神話における「地下世界に潜む異形の存在」というモチーフの原点の一つとされる。本エピソードもこの「芸術家が現実の怪物を写生している」という核心設定を維持しており、ピックマンの絵画が単なる幻想ではなく実在する脅威の記録であるという恐怖の構造をそのまま継承している。
神話特有の固有名詞は控えめだが、人智を超えた地下的存在との接触が人間の正気を蝕んでいくという展開は、ラヴクラフト作品全体に通底するコズミックホラーの精神を色濃く反映している。
独自の要素・原典との違い
原作は短く簡潔な一人称の告白形式で、語り手が友人ピックマンとの関係と彼の絵の異様さを回想する構成だが、本エピソードは大幅に尺を拡張し、主人公ウィルの学生時代から長期間にわたる人間関係の変化、嫉妬や芸術的野心といった人間ドラマの要素を新たに構築している。
監督キース・トーマス自身が「原作は着想源であって、直接の翻案ではない」と述べている通り、プロットの大部分はオリジナル要素であり、原作にある地下探検の描写よりも、ピックマンとウィルの人間関係の変遷に焦点を当てている点が最大の相違点である。

