概要
『ネメシス』は、H・P・ラヴクラフトが1917年に執筆し、1918年にアマチュア雑誌『The Vagrant』第7号に発表した詩です。ラヴクラフトの創作活動の中でも比較的初期にあたる作品で、後の小説作品に通底する宇宙的恐怖の萌芽を、韻文の形式で先取りしています。
登場神格・用語
本作は詩篇であり、深淵書架収録の固有の神格・用語は登場しません。
内容と特徴
語り手は、悠久の時を超えて存在し続ける超越的な視点から、星々の運行や忘れ去られた文明、そして人知を超えた恐怖について語ります。物語性よりも、畳みかけるような詩的リズムと陰鬱なイメージの連続によって、読み手に宇宙的な無力感を与えることに主眼が置かれています。
作品としての位置づけ
ラヴクラフトは若年期にエドガー・アラン・ポーの詩作から強い影響を受けており、本作にもその影響が色濃く表れています。短い作品ながら、後年『クトゥルフの呼び声』などで結実する「人類は宇宙の中心ではない」という思想の原型がすでに読み取れる点で、研究者からもしばしば注目される一篇です。1918年の初出であり、米国・日本双方でパブリックドメイン作品として扱われます。





