ボードゲーム(3〜6人・2021年9月発売) — Unfathomable

アンファゾマブル ~深淵より来たるもの~(Unfathomable)

日本語版は「アンファゾマブル ~深淵より来たるもの~」としてアークライトゲームズから発売されている。Fantasy Flight Games(現・Asmodee傘下)が2021年に発売した、蒸気船アトランティカを舞台にした正体隠匿ボードゲーム。深きものども・母なるヒュドラ・父なるダゴンを敵役に据えながら、システムの土台は同社の旧作『バトルスター・ギャラクティカ』ボードゲームの再設計にある。

公開作成AI支援で作成

誤りの指摘・訂正依頼と編集方針は運営者情報へ。

記事内に商品プロモーションを含む場合があります
入手する
アンファゾマブル ~深淵より来たるもの~(Unfathomable) 商品画像

完全日本語版(アークライトゲームズ)です。

※上記は広告リンク(アフィリエイト)です。価格・在庫・版の詳細は必ずリンク先でご確認ください。

概要

日本語版は、アークライトゲームズより「アンファゾマブル ~深淵より来たるもの~ 完全日本語版」として2022年3月30日に発売されている[8]。Asmodee(米国)公式ストアページによれば、『Unfathomable』は3〜6人用、対象年齢14歳以上、平均プレイ時間3時間、価格89.99ドル、パブリッシャーはFantasy Flight Gamesと記載されているボードゲームである[1]。舞台は蒸気船「SS アトランティカ」。乗客たちが海の底からの奇妙な視線に怯えながらボストンへの航路を進むなか、船内で一人の乗客が殺害される事件が起き、誰が仲間で誰が裏切り者かを疑い合う展開になるという内容が、同ページの商品説明として掲載されている[1]。

Fantasy Flight Games自身の公式発表によれば、本作は2021年6月10日に「Arkham Horror Files」シリーズの新作として発表された[2]。発表記事は舞台設定を「時は1913年。蒸気船SSアトランティカはボストンへ向かう大西洋航路のさなか、出航から二日が過ぎていた」と説明し、乗員たちが見る奇妙な悪夢、船の下に潜む影の目撃談、礼拝堂で発見された儀式めいた痕跡のある遺体という導入を記している[2]。続報として同年7月14日に公開された記事では、船長ケイラニ・タトゥプアをはじめとする登場キャラクターの経歴が紹介された[3]。

編集体制を持つ業界専門メディアICv2は、2021年6月11日付の記事で、本作を「Arkham Horror Filesユニバースからの新作ボードゲーム」として9月発売予定と報じ、3〜6人用・14歳以上・プレイ時間2〜4時間・想定小売価格79.95ドルという発表当時の仕様を伝えている[4]。現在のAsmodee公式ストアの価格(89.99ドル)と比べると10ドルの開きがあり、これは発売から数年を経た価格改定によるものと見られるが、値上げの経緯そのものを説明する公式資料は本稿では確認できていない。

どんな作品か

本作の中心的な仕組みは「人間側」と「裏切り者」の正体隠匿にある。Fantasy Flight Games公式発表では、プレイヤーの大半は船と乗客の生存のために戦う人間だが、一部のプレイヤーは深きものどもに送り込まれた工作員であり、船を沈めることを目指す「人間と深きものの混血」だと説明されている[2]。英国の専門誌Tabletop Gamingに寄稿したCharlie Pettitのレビューによれば、ゲームの核心は「忠誠カードがランダムに配られる以上、裏切り者は自分自身かもしれない」という疑心暗鬼にあり、実際のプレイでは「最初のターンから引き込まれる」パラノイアが生まれるという[6]。

具体的な手番の流れとして、Tabletop Gamingは1ターンにつき2アクションを行い、その中でスキルカードを使ったスキルチェックが発生すると説明している。スキルチェックでは各プレイヤーが伏せた状態でカードを場に出し合い、正しい種類のスキルが揃えば集団は試練を乗り越えられるが、間違った種類のカードが混ざっていると失敗に終わる――この「見えない貢献」の仕組みこそが、裏切り者に妨害の余地を与えていると同記事は分析している[6]。

英国大手ゲームメディアGamesRadar+のBenjamin Abbottによるレビューは、船の資源管理(強さ・観察力・意志・知識・影響力の5種のスキルで表現される)がゲームの緊張感を支えていると説明する。いずれかの資源が尽きると即座にゲームが終了するため、人間側プレイヤーは資源を守ろうとする一方、裏切り者は気づかれないよう静かに資源を消耗させようとする、という綱引きが常に生じるという[7]。同レビューはまた、船内の特別な役職(船長・書物の守人など)が持つ「二択のうち一方だけを選び、選ばなかった方を他プレイヤーに明かせない」という仕組みが、疑心暗鬼をさらに助長する仕掛けになっていると評している[7]。

敵役については、Fantasy Flight Games自身の発表が「大西洋の深海に潜む、母なるヒュドラと父なるダゴンに率いられた、獰猛で名状しがたい怪物の群れ――深きものども」と明記しており[2]、GamesRadar+のレビューも同じく「母なるヒュドラと父なるダゴンは常に深淵のどこかに潜み、手下を送り出す準備をしている」と述べている[7]。

なお、本作はFFGの「Arkham Horror Files」ラインの一作として継続的な展開を受けており、ICv2は2024年3月8日付の記事で、新拡張「From the Abyss」が同年6月7日に発売されると報じている。同拡張は本体と合わせて2〜4人・2〜3時間で遊べ、価格59.99ドル、ショゴス・溺れし霊・掴みかかる触手といった新たな深海の怪物を追加するという[5]。少なくとも2024年時点まで版元によるサポートが続いていたことが確認できる。

版元の系譜——Battlestar Galacticaという土台

本作の設計上の出自について、Tabletop GamingのCharlie Pettitは明確に書いている。「バトルスター・ギャラクティカ:ザ・ボードゲームを、ミトス(クトゥルフ神話)の中に放り込んだら何が起きるか?――その答えがUnfathomableだ」とし、本作を「絶版になって久しい名作ボードゲームの、装いを変えた再生」と評したうえで、末尾のデータ欄に「デザイナー: Tony Fanchi & Corey Konieczka」と明記している[6]。GamesRadar+のレビューも「本作は、今は絶版となった名作『バトルスター・ギャラクティカ』の翻案であるがゆえに、最初から『良作』であることが約束されていたようなものだ」と述べ、さらに「スターバックという名の犬のキャラクターが登場するなど、バトルスター・ギャラクティカへの茶目っ気あるオマージュも随所にある」と指摘している[7]。

『バトルスター・ギャラクティカ:ザ・ボードゲーム』はFantasy Flight Games自身が2008年に発売した協力・正体隠匿ゲームで、コリー・コニエツカがデザインを手がけた。当サイトには現時点で同作の記事が無く、本稿の内部リンクからは参照できない(記事化候補として後述する)。

版元の体制についても触れておく。業界専門メディアICv2は2014年11月17日付の記事で、「Asmodeeは本日、Fantasy Flight Gamesとの合併を発表した」と報じ、これがAsmodeeグループによる半年間で二件目の米国企業買収であったこと、この合併によってAsmodeeの北米ラインにFFGの『スター・ウォーズ』『ゲーム・オブ・スローンズ』『指輪物語』『シヴィライゼーション』などのライセンス資産と自社開発ラインが加わったことを伝えている[9]。2021年の本作発売時点で、Fantasy Flight GamesはすでにAsmodeeグループの傘下にあったことになる。現在の公式販売窓口が米国Asmodeeの直営ストア(store.asmodee.com)であること自体が、この体制を裏づけている[1]。

原典との距離(神話の三層のどこに立つか)

本作の敵役である深きものども、そして彼らが奉じる父なるダゴンと母なるヒュドラは、いずれもラヴクラフトの中編小説「インスマスの影」(1931年執筆/1936年発表)で確立された、当サイトの区分でいう第1層(原典)の存在である。原典では、太平洋の島で得た契約によって人間と交わり血を混ぜていく異種族として描かれ、彼らが住む港町「インスマス」もまた同じ小説で確立された地名である。

しかし本作は、この原典の設定をそのままTRPG的に体系化したものではない。当サイトの「原典/ダーレス系拡張/TRPG設定——三層で読み解くクトゥルフ神話」で整理した第3層は、『クトゥルフの呼び声』のようなTRPGがプレイ可能にするために独自に積み上げてきた設定の蓄積を指す。対して本作は、Fantasy Flight Games自身が構築してきた「Arkham Horror Files」という独立した商業ボードゲーム群(『アーカム・ホラー』『マンションズ・オブ・マッドネス』などを含む)の一作として、原典の深きものども・ダゴン・ヒュドラを直接参照している[2][7]。TRPGの体系を経由せず原典から直接引いてきた点、かつその舞台装置自体がクトゥルフ神話専用に作られたのではなく『バトルスター・ギャラクティカ』という無関係な作品の再設計から生まれた点で、本作は「TRPGとボードゲームの違い」で扱ったような、TRPGを土台にしたボードゲーム化とは異なる系譜に立っている。

関連して読むなら

記事化候補(当サイトに未収録の固有名詞)

  • 『バトルスター・ギャラクティカ:ザ・ボードゲーム』(Fantasy Flight Games、2008年、デザイナー:コリー・コニエツカ)。本作の設計上の直接の土台。
  • Tony Fanchi(本作の共同デザイナー)。
  • 『Unfathomable: From the Abyss』(2024年拡張)。

出典

  • [1] Asmodee公式ストアページ「Unfathomable」(取得日 2026-09-13)。パブリッシャーがFantasy Flight Gamesであること、プレイ人数3〜6人・対象年齢14歳以上・平均プレイ時間3時間・価格89.99ドルであること、蒸気船アトランティカを舞台にした商品説明文の記載を確認。https://store.asmodee.com/products/unfathomable ↩
  • [2] Fantasy Flight Games公式ニュース「Traitors and Terror」(2021年6月10日、取得日 2026-09-13)。”The year is 1913. The steamship SS Atlantica is two days out from port on its voyage across the Atlantic Ocean.”(訳: 時は1913年。蒸気船SSアトランティカは、大西洋を渡る航海において、出航から二日が過ぎていた)、”Lurking within the depths of the Atlantic Ocean are a swarm of vicious, unspeakable horrors: the Deep Ones, led by Mother Hydra and Father Dagon.”(訳: 大西洋の深海に潜むのは、母なるヒュドラと父なるダゴンに率いられた、獰猛で名状しがたい怪物の群れ――深きものどもである)との記載を確認。本作が「Arkham Horror Files」ユニバースの新作であること、3〜6人用であることの記載も確認。https://www.fantasyflightgames.com/en/news/2021/6/10/traitors-and-terror/ ↩
  • [3] Fantasy Flight Games公式ニュース「All Aboard」(2021年7月14日、取得日 2026-09-13)。船長ケイラニ・タトゥプアをはじめとする登場キャラクターの経歴紹介記事であることを確認。https://www.fantasyflightgames.com/en/news/2021/7/14/all-aboard-unfathomable/ ↩
  • [4] ICv2「Fantasy Flight Games Announces New Board Game ‘Unfathomable’」(Jeffrey Dohm-Sanchez、2021年6月11日、取得日 2026-09-13)。”This game is for three to six players, ages 14 and up, and plays in two to four hours. It will retail for $79.95.”(訳: 本作は3〜6人用、対象年齢14歳以上、プレイ時間2〜4時間で、小売価格は79.95ドルとなる)との記載、および9月発売予定であることの記載を確認。https://icv2.com/articles/news/view/48568/take-terrifying-voyage-atlantic-unfathomable ↩
  • [5] ICv2「Fantasy Flight Games Announces New ‘Unfathomable’ Expansion」(Jeffrey Dohm-Sanchez、2024年3月8日、取得日 2026-09-13)。拡張「From the Abyss」が2024年6月7日発売予定であること、本体と合わせて2〜4人・2〜3時間、価格59.99ドルであることの記載を確認。https://icv2.com/articles/news/view/56434/fantasy-flight-games-announces-new-unfathomable-expansion ↩
  • [6] Tabletop Gaming「Unfathomable Board Game Review」(Charlie Pettit、初出2022年1月2日、取得日 2026-09-13)。”What happens when you throw Battlestar Galactica: The Board game into the Mythos?”(訳: バトルスター・ギャラクティカ:ザ・ボードゲームを、ミトスの中に放り込んだら何が起きるか)との記載、「Designer: Tony Fanchi & Corey Konieczka」というデータ欄の記載、「Players: 2-4」「Time: 3-6 hours」という仕様表記を確認。https://www.tabletopgaming.co.uk/reviews/unfathomable-review/ ↩
  • [7] GamesRadar+「Unfathomable review」(Benjamin Abbott、2022年5月13日、取得日 2026-09-13)。”Because it’s an update to the excellent but now out-of-print Battlestar Galactica adaptation”(訳: 今は絶版となった名作『バトルスター・ギャラクティカ』の翻案であるがゆえに)、”cheeky nods to Battlestar Galactica (namely a dog companion called ‘Starbuck’)”(訳: スターバックという名の犬のキャラクターなど、バトルスター・ギャラクティカへの茶目っ気あるオマージュ)、「Mother Hydra and Father Dagon are always lurking somewhere in the Deep」との記載、プレイ人数3〜6人であることの記載を確認。https://www.gamesradar.com/unfathomable-review/ ↩
  • [8] ArclightGames公式商品ページ「アンファゾマブル ~深淵より来たるもの~ 完全日本語版」(取得日 2026-09-13)。原題Unfathomable、オリジナル版メーカーFantasy Flight Games、ゲームデザイナーTony Fanchi・ベースゲームデザイナーCorey Konieczka、2022年3月30日発売、価格13,200円(税込)、プレイ人数3〜6人・プレイ時間120〜240分・対象年齢14歳以上であることの記載を確認。https://arclightgames.jp/product/3150unfatho/ ↩
  • [9] ICv2「Fantasy Flight Games Merges with Asmodee」(2014年11月17日、取得日 2026-09-13)。”Asmodee today announced a merger with Fantasy Flight Games, the second American acquisition by the European Asmodee Group in six months.”(訳: Asmodeeは本日、Fantasy Flight Gamesとの合併を発表した。これは欧州Asmodeeグループにとって半年間で二件目となる米国企業の買収である)との記載を確認。https://icv2.com/articles/games/view/30231/fantasy-flight-games-merges-asmodee ↩

続きを辿る

隣の棚

記事URLをコピーしました