編集部注(著作権について): 本記事が扱う『インスマスの彫像』(原題: Innsmouth Clay、1971年発表)は、パブリックドメインであるとは断定できません(同時代・同著者の他作品に著作権更新登録の実例が確認されているため)。本記事は原文からの引用を行わず、あらすじ・論評のみで構成しています。
概要
インスマス近郊で拾った奇妙な青い粘土から「海の女神」像を彫り続ける彫刻家が、次第に深きものどもへの妄執に囚われてゆく一編。『インスマスの影』の直接的な続編として書かれた。
作品情報
- 原題: Innsmouth Clay
- 執筆・発表年: 1971年発表(アーカムハウス『Dark Things』収録)
- 主題タグ: デヴィル・リーフの青い粘土、彫刻に取り憑かれる妄執、『インスマスの影』の続編的性格
登場神格・用語
あらすじ
彫刻家ジェフリー・コーリーは、パリ滞在から戻った1927年秋、遠縁にあたるマーシュ一族の暮らすインスマス近郊の海辺のコテージを借りる。折しも海軍がデヴィル・リーフ沖で爆雷を投下し、嵐の後、浜に奇妙な青い粘土が打ち上げられていた。コーリーはこの「インスマス粘土」を集めて「海の女神」像を制作し始めるが、日記には次第に妄執的な記述が増え、深きものたちとの夢や首の痛みを訴えるようになる。語り手はインスマスで、ザドク・アレンの伝承をなぞるような話を住民から聞かされる。やがてコーリーは姿を消し、語り手はデヴィル・リーフ沖で、粘土から生まれたような女の姿とコーリー自身の顔を持つ「深きもの」の群れを目撃する。
読みどころと注目テーマ
『インスマスの影』の直接的な続編としての性格、粘土像制作という妄執の視覚化、姿を消した彫刻家をめぐる不穏な結末
執筆背景と影響
書評サイトCthuleryは本作を「ほぼ忘れられて当然の凡作」「中心となる場面がラヴクラフトからそのまま借用されている」と評し、『インスマスの影』の直接的な焼き直し・続編として位置付けられることが多い。なお、本作が「大部分がラヴクラフト自身の遺した断片で、ダーレスは結末部分のみを執筆した」とする説もあるが、複数の書評はむしろ逆に「ダーレスが実際に書いた分量の方が多い」と指摘しており、この点は資料により見解が分かれる。




