企業プロフィール — KADOKAWA - The Publisher of Call of Cthulhu TRPG in Japan

KADOKAWA

日本語版『クトゥルフ神話TRPG』『新クトゥルフ神話TRPG』の現行版元であるKADOKAWA。ホビージャパン・エンターブレインを経て版元がKADOKAWAへ移った経緯、2021年の公式サイト開設、書籍とアプリの現行ラインナップ、そして「アークライトとKADOKAWAが共同で権利を有する」という二次創作ガイドラインの権利表記まで、公式資料で確認できた事実だけを追う。

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概要

KADOKAWAは、2019年以降の日本語版『クトゥルフ神話TRPG』(第7版、通称「新版」)、および2004年に刊行された旧訳『クトゥルフ神話TRPG』(第6版、通称「クラシック版」)を現行版元として出版する企業である。本記事の情報源はすべて、クトゥルフ神話TRPG公式サイト(product.kadokawa.co.jp/cthulhu/)およびKADOKAWAグループの公式沿革ページに限定した。当サイトの「クトゥルフ神話TRPGの刊行史」と「日本におけるクトゥルフ神話の受容史」がすでに述べている「ホビージャパン→エンターブレイン→KADOKAWA」という版元の変遷のうち、本記事は最後の1社――KADOKAWA――に焦点を絞り、その体制と現行ラインナップを掘り下げる。

版元としての系譜――エンターブレインからKADOKAWAへ

日本語版『クトゥルフ神話TRPG』の版元は、一度もKADOKAWAという社名でスタートしたわけではない。公式サイトの「ルールブック・ソースブック」解説ページによれば、『クラシック版』(旧版・6版)にあたる『クトゥルフ神話TRPG』は2004年に刊行され、その後2019年にルールを全面改稿・アップデートした『新版』(『新クトゥルフ神話TRPG ルールブック』)が刊行された、という2段階の刊行史が公式に明記されている[1]。2004年当時の版元は、当サイトの既存記事(「クトゥルフ神話TRPGの刊行史」「日本におけるクトゥルフ神話の受容史」)が確認している通りエンターブレインであり、KADOKAWAという社名はまだ存在しない。

エンターブレインとKADOKAWAの資本関係は、KADOKAWAグループの公式社史ページで裏付けられる。「総合メディア企業へ(2003年〜2012年)」のページには、2004年の出来事として「『アスキー』『エンターブレイン』グループ入り」と明記されており、この年、エンターブレインが角川グループ(当時)の傘下に入ったことが確認できる[2]。つまり『クトゥルフ神話TRPG』(6版)が刊行された2004年は、まさにエンターブレインが角川グループの一員になった年でもある。

その後、エンターブレインという会社そのものが消滅する転機が2013年に訪れる。KADOKAWA公式サイトのトピックス「KADOKAWAオフィシャルサイト内 各ブランドページについてのお知らせ」には、次のように明記されている。「2013年10月1日に子会社9社を吸収合併し、新生KADOKAWAがスタートいたしました。アスキー・メディアワークス、エンターブレイン、角川学芸出版、角川書店、角川マガジンズ、中経出版、富士見書房、メディアファクトリーの商品・提供サービスにつきましては、これまでKADOKAWAオフィシャルサイトとともに、各ブランドページでもご覧いただいておりましたが、今後KADOKAWAオフィシャルサイトにて商品・提供サービスをご覧いただけますようお願い申し上げます」[3]。つまりエンターブレインは、2013年10月1日をもって独立した法人としては解散し、KADOKAWA本体に吸収合併された8社(告知文中に列挙された社数)のうちの1社である。KADOKAWAグループの社史ページ自体は、この合併を「子会社9社を吸収合併し新生KADOKAWAがスタート」という一文で総括しているが、9社すべての個別名称までは同ページに列挙されていない[4]。

この結果、2019年に刊行された第7版『新クトゥルフ神話TRPG ルールブック』は、もはや独立会社としてのエンターブレインではなく、単一法人となったKADOKAWAから発売されている。「クラシック版から新版へ」という版の切り替わりと、「エンターブレインからKADOKAWAへ」という法人としての切り替わりは、厳密には別々の出来事(前者は2019年、後者は2013年)だが、両者が積み重なった結果として、現在の読者が書店で目にする『新クトゥルフ神話TRPG』の奥付には「KADOKAWA」の名だけが残っている。

公式サイトの開設(2021年)

KADOKAWAが展開する『クトゥルフ神話TRPG』『新クトゥルフ神話TRPG』専用の公式サイトは、2021年10月29日に公開された。編集体制のあるゲームメディア4Gamer.netの記事「『クトゥルフ神話TRPG』の公式サイトが本日オープン。今後の展開を占うユーザーアンケートも」は、この開設を同日付で報じており、「現時点では製品の概要が確認できるほか、『クイックスタートルール』のダウンロードができるなどシンプルな内容だが、サイトの公開に合わせてユーザーアンケートが開始されている」と伝えている[5]。記事はさらに、このアンケートが「オンラインでのプレイ環境や電子版のルールブックについて」の質問を含んでいたと紹介しており、この時点でKADOKAWAがオンラインセッション対応や電子版展開への関心をユーザーから汲み取ろうとしていたことがうかがえる。

なお、公式サイトのフッターに記載された著作権表記は「Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc.; all rights reserved.」「PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION」であり、原作の著作権をケイオシアム(Chaosium Inc.)が保持したまま、日本語版の出版元としてKADOKAWAの名がクレジットされる構成になっている[6]。原作元ケイオシアムそのものの沿革は、当サイトの別記事で扱う範囲とし、本記事では日本語版の版元としてのKADOKAWAに絞る。

現行ラインナップ――書籍版とアプリ版

公式サイトの「ルールブック・ソースブック」ページによれば、現在のルールブックには「書籍版」と「アプリ版」の2形態が存在する。書籍版は1冊ずつ購入する形式だが、アプリ版『クトゥルフ神話TRPG ルールブックPLUS』は、新版(7版)とクラシック版(6版)の基本ルールブックに加え、各種ソースブックを1つのアプリでまとめて閲覧できる。アプリの検索・メモ・ブックマーク機能は無料でも利用できるが、閲覧できるコンテンツは加入プランによって異なる、と説明されている[1]。

ソースブック(サプリメント)についても、同ページは「現代の武器や職業などのデータがあるクトゥルフ2010、2015、2020は探索者作成に活用することができるため人気が高い」と紹介したうえで、新版対応の『クトゥルフ2020』『マレウス・モンストロルム Vol.1 クリーチャー編』『Vol.2 神格編』、クラシック版対応の『クトゥルフ2010』『クトゥルフ2015』『マレウス・モンストロルム』『クトゥルフカルト・ナウ』『アーカムのすべて 完全版』『クトゥルフと帝国』『ラヴクラフトの幻夢境』『キーパーコンパニオン 改訂新版』『クトゥルフ・フラグメント』『クトゥルフ・ホラーショウ』『クトゥルフ・バイ・ガスライト』を一覧に挙げている[1]。当サイトの「新クトゥルフ神話TRPG カルト・オブ・クトゥルフ」や「マレウス・モンストロルム」は、これらソースブックの個別レビューにあたる。

公式サイトの「書籍情報」一覧ページは、発売年月でのソート機能を備えており、2020年以降に発売された新版関連書籍の刊行ペースを次の通り確認できる。2020年2月28日『新クトゥルフ神話TRPG スタートセット』、同年6月30日『新クトゥルフ神話TRPG クトゥルフ2020』、2021年5月12日『インスマスの影』1・2巻(田辺剛によるコミカライズ)、同年7月30日『マレウス・モンストロルム Vol.1 クリーチャー編』、同年10月29日『Vol.2 神格編』(公式サイト開設と同日)、2022年7月29日シナリオ集『ビブリオテーク13』、2023年7月28日サンディ・ピーターセンによるシナリオ集『ピーターセンの忌まわしき物語』、2024年4月30日『クトゥルフ神話TRPG プレイングガイド』、同年11月29日『パルプクトゥルフ』、2025年6月30日『グランド・グリモア』、同年11月29日シナリオ集『カタリスト9』――という順で、ほぼ年2冊前後のペースで刊行が続いている[6]。当サイトの「クトゥルフ神話TRPG 2026年」で扱った2026年5月29日発売の『クトゥルフ2026』も、この系列の最新作にあたる。

これらの書籍の多くには、編集・翻訳クレジットとして「坂本雅之ほか/アーカム・メンバーズ」という名が一貫して記載されている。著者陣には内山靖二郎、寺田幸弘、皐月野鷽、瀬戸エイジ、七峰きざしらの名が繰り返し登場しており、2020年前後から現在まで、継続したチームによって日本語版の刊行が担われていることが公式の書誌情報から確認できる[1][6]。

権利関係――KADOKAWAとアークライトの共同体制

公式サイトの「クトゥルフ神話TRPG二次創作ガイドライン(個人向け)」ページは、二次創作を公開する際の権利表記の指定文言を掲載している。そこには次のように記されている。「本作は、『株式会社アークライト』及び『株式会社KADOKAWA』が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』シリーズの二次創作物です。Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc.;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc. Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc. PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION」[7]。

この一文からは、日本語版『クトゥルフ神話TRPG』シリーズの権利関係が、KADOKAWA単独ではなく、株式会社アークライトとの共同体制になっていることが読み取れる。「Arranged by Arclight Inc.」という表記からは、原作元ケイオシアムとのライセンス契約の仲介・調整をアークライトが担っている可能性がうかがえるが、アークライトとKADOKAWAの間に資本関係があるのか、それとも独立した提携関係なのかは、このガイドラインページの文面だけでは判断できない。

なお同ページは、二次創作についてSPLL(スモールパブリッシャーリミテッドライセンス)に基づくシナリオ頒布の申請制度、プレイ動画の公開・配信の許諾、収益化を伴わない創作物の公開を認める一方、公式コンテンツの改変・再配布や、公式を騙る表記は禁じる、という運用方針も併記している[7]。

最近の動き(2026年9月時点で確認できるもの)

公式サイトのトップページに掲載されたお知らせ欄には、2026年9月時点で次の2件が最新情報として並んでいる。2026年9月9日付で公式アプリ内コンテンツ「『神話存在 逆引き辞典』この世ならざるもの編」が公開されたこと、2026年9月1日付で「9月の追加シナリオ:シナリオ・ライブラリー for プレミアム」が配信開始されたこと、の2件である[8]。いずれもアプリ版『クトゥルフ神話TRPG ルールブックPLUS』内の有料プラン向けコンテンツであり、書籍単体の新刊情報とは別に、アプリを軸にした継続的なコンテンツ追加が行われていることがわかる。

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出典

  • [1] クトゥルフ神話TRPG公式サイト「ルールブック・ソースブックについて」(2026年9月13日取得)。「クラシック版」(2004年刊行)と「新版」(2019年に全面改稿・アップデート)という2版の刊行時期、アプリ版『クトゥルフ神話TRPG ルールブックPLUS』の機能説明、ソースブック一覧(新版対応3点・クラシック版対応10点)を確認。https://product.kadokawa.co.jp/cthulhu/coc-rule-book/ ↩
  • [2] KADOKAWAグループポータルサイト「社史――総合メディア企業へ(2003年〜2012年)」(2026年9月13日取得)。2004年(平成16年)の出来事として「『アスキー』『エンターブレイン』グループ入り」の記載を確認。https://group.kadokawa.co.jp/company/history/05.html ↩
  • [3] KADOKAWA公式サイト トピックス「KADOKAWAオフィシャルサイト内 各ブランドページについてのお知らせ」(掲載開始日2021年08月17日、2026年9月13日取得)。「2013年10月1日に子会社9社を吸収合併し、新生KADOKAWAがスタート」した旨、および合併対象としてエンターブレインを含む8社名を確認。https://www.kadokawa.co.jp/topics/6247/ ↩
  • [4] KADOKAWAグループポータルサイト「社史――デジタル・ネット時代にトランスフォーメーション(2013年〜2019年)」(2026年9月13日取得)。「2013年10月1日、子会社9社を吸収合併し新生KADOKAWAがスタート」の一文を確認。個別9社の列挙はこのページ本文中には無い。https://group.kadokawa.co.jp/company/history/06.html ↩
  • [5] 4Gamer.net「『クトゥルフ神話TRPG』の公式サイトが本日オープン。今後の展開を占うユーザーアンケートも」(編集部:touge、2021年10月29日20:30掲載、2026年9月13日取得)。公式サイトが2021年10月29日に公開されたこと、公開と同時にユーザーアンケートが開始されたことを確認。https://www.4gamer.net/games/487/G048727/20211025110/ ↩
  • [6] クトゥルフ神話TRPG公式サイト「書籍情報」一覧ページ(2026年9月13日取得)。著作権表記「Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc.; all rights reserved.」「PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION」、および2020年2月28日『スタートセット』から2025年11月29日『カタリスト9』までの刊行日・著者/編集クレジットの一覧を確認。https://product.kadokawa.co.jp/cthulhu/product-c/ ↩
  • [7] クトゥルフ神話TRPG公式サイト「クトゥルフ神話TRPG二次創作ガイドライン(個人向け)」(2024年5月1日更新、2026年9月13日取得)。権利表記「本作は、『株式会社アークライト』及び『株式会社KADOKAWA』が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』シリーズの二次創作物です」および「Arranged by Arclight Inc.」の記載、SPLL・動画配信・改変再配布に関する可否の一覧を確認。https://product.kadokawa.co.jp/cthulhu/guideline.html ↩
  • [8] クトゥルフ神話TRPG公式サイト トップページ「お知らせ」欄(2026年9月13日取得)。2026年9月9日付「『神話存在 逆引き辞典』この世ならざるもの編」公開、2026年9月1日付「9月の追加シナリオ:シナリオ・ライブラリー for プレミアム」配信開始の告知を確認。https://product.kadokawa.co.jp/cthulhu/ ↩
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