概要
『Bloodborne』は、FromSoftwareが開発しソニー・コンピュータエンタテインメントが発売したPlayStation 4専用のアクションRPGです。「クトゥルフ」を一切標榜していないにもかかわらず、コズミックホラー作品として頻繁に参照される作品で、Metacriticユーザースコア8.9/10(2026年8月時点)は、当サイトでレビューしたクトゥルフ関連ゲームの中でも最高水準です。
クトゥルフ神話との関係
物語序盤はゴシックホラー的な「獣の呪い」を巡る物語として進行しますが、進行するにつれて「上位者」と呼ばれる不可知の存在、次元を超越した知性、そして人間の認識能力の限界といったテーマが前景化し、世界の解釈そのものが反転していきます。この構造は、ラヴクラフトが繰り返し描いた「理解できると思っていた世界が、実はもっと恐ろしい真実の表層に過ぎなかった」という感覚を、ゲーム体験そのものとして再現しています。
ファンの間で指摘される具体的な符合
ゲーム内メカニクスや固有名詞について、ラヴクラフト作品との具体的な対応関係がプレイヤー・ファンコミュニティの間でしばしば指摘されている。いずれも一つの解釈であり、開発元(フロム・ソフトウェア)が公式に典拠として認めたものではない点に注意されたい。本サイトが採用する原典/ダーレス以降/TRPGの三層区分にはそもそも当てはまらない、いわば「第四の層」的な二次創作的解釈として扱うのが適切である。
- インサイト(啓蒙)/フレンジー(狂乱)システム: 啓蒙値を得るほど、それまで見えなかった怪物(レッサーアメンドーザ等)が見えるようになる仕組みは、「知覚することそのものが恐怖である」というラヴクラフト作品に繰り返し見られる構図——たとえば神話体系外の短編『彼方より』で、松果体を刺激する装置によって常に周囲に存在していた異形の実体を初めて知覚できるようになる、という着想と重ねて語られることが多い
- 上位者の妊娠モチーフ: 終盤、複数の女性キャラクターが「上位者」の子を身ごもる展開は、外なる神ヨグ=ソトースが人間の女性ラヴィニア・ウェイトリーを懐胎させる『ダニッチの怪』の筋書きとの類似がしばしば指摘される
- ビルゲンワース学院: 「上位者」と真実の探求を掲げてかつて存在した学び舎という設定が、ミスカトニック大学の位置づけと重ねて語られることが多い
- 漁村(フィッシングハムレット)と上位者コス: DLC『The Old Hunters』に登場する漁村と、そこで信仰される上位者「コス」は、インスマスと深きものども・母なるヒュドラの関係になぞらえられる
- エブリエタス: クトゥルフや古のものを思わせる触手状の外見を持つ上位者で、両者の意匠を組み合わせた造形だとする指摘がある
- ロマ(空虚なる蜘蛛): 「空虚」という形容が、盲目にして白痴の魔王アザトースの無心・無意味な性質と重ねて語られることがある
独自の要素・原典との違い
高難度の近接戦闘と、断片的なアイテム説明・環境描写のみで物語を伝える「環境ストーリーテリング」が最大の特徴です。プレイヤーは会話や説明を与えられず、自ら情報を繋ぎ合わせて世界観を推測することになり、これは原典の「全てを説明しない」恐怖の作法と共鳴しています。Metacriticユーザースコアは8.9/10(ユーザー評価14,000件超、2026年8月時点)と非常に高く、美術・戦闘・世界観設計は絶賛される一方、30fps動作やフレームレートの不安定さは長年指摘され続けている弱点です。「クトゥルフ」を名乗らない作品の方がコズミックホラーとして優れている場合がある、という好例としてしばしば言及されます。


