概要
一人称の語り(友人エリオットへの独白)という形式で進む、画家をめぐる怪奇譚。ボストンの地下鉄工事現場を食屍鬼が襲う絵など、あまりに生々しい作品群で知られた画家ピックマンの秘密が、一枚の写真によって暴かれる。
作品情報
- 執筆・発表年: 1926年9月執筆/1927年10月発表(「ウィアード・テイルズ」誌)
- 主題タグ: 写実性の恐怖、地下アトリエ、写真という物的証拠
登場神格・用語
(なし)
あらすじ
語り手はかつての友人である画家リチャード・アプトン・ピックマンについて、なぜ交際をやめたのかを友人エリオットに語り始める。ピックマンの絵は、ボストンの地下鉄工事現場を食屍鬼の群れが襲う光景や、コップス・ヒルの墓地での踊りなど、あまりにも生々しい写実性で周囲を戦慄させていた。彼は「写真を背景に使う」と語り手に説明し、北エンドの秘密のアトリエへ案内する。そこで見せられた未完成の巨大なキャンバスと、壁に貼られた「背景用の写真」に語り手は極度の恐怖を覚え、ほとんど失神しかけて逃げ帰る。後日、上着のポケットから、あの時とっさに丸めて持ち帰っていた紙片が見つかる——それは背景の写真などではなく、ピックマンが描いていた怪物そのものを写した、正真正銘の「生きた実物からの写真」であった。
読みどころと注目テーマ
一人称独白による緊張感の醸成、写真という動かぬ証拠、都市の地下に潜む恐怖
執筆背景と影響
ボストンの実在の地名(ノース・エンド、コップス・ヒル、ボイルストン街地下鉄)を舞台にした都市怪奇譚。「絵の題材が写真ではなく実物だった」という最後の一行の反転は、ラヴクラフトの短編の中でも屈指の切れ味を持つ結末として知られる。



