概要
怪奇と怪異を追い求めることを生業とする語り手が、キャッツキル山地の一角、雷が鳴るたびに人々を襲う「潜み棲む恐怖」の正体を突き止めるべく、荒れ果てたマーテンス邸に乗り込む一篇。
作品情報
- 執筆・発表年: 1922年11月執筆/1923年1〜4月発表(アマチュア雑誌「Home Brew」連載)
- 主題タグ: 近親交配による退化、雷鳴と恐怖、地底に潜む一族の成れの果て
登場神格・用語
(なし)
あらすじ
語り手は、テンペスト山の頂に建つ荒廃したマーテンス邸に一世紀以上取り憑いてきたという「潜み棲む恐怖」の調査に、二人の屈強な仲間と共に乗り込む。雷鳴のたびに現れては村人を襲い、あるいは連れ去るというこの怪異の伝承を追う中、山肌の陥没や地下の複雑な坑道網を発見した語り手は、かつてこの地に君臨したマーテンス家が、外界との接触を絶ち、使用人階級との近親婚を重ねる中で退化していった歴史を突き止める。ついに語り手は、地下に蠢く「白っぽいゴリラのような」異形の怪物と対峙し、これを撃つ。息絶えたその怪物の目は、片方が青く片方が茶色という、伝承に語られたマーテンス家特有の左右異色の瞳をしていた。
読みどころと注目テーマ
血統の退化という恐怖、地底の坑道網の閉塞感、左右異色の瞳という視覚的手がかり
執筆背景と影響
「壁のなかの鼠」と並び、一族の血統が閉ざされた環境の中で退化していくというテーマを扱った代表作。雷鳴という自然現象と怪異を結びつける演出は、ラヴクラフトが繰り返し用いた恐怖の手法の一つ。



