概要
グーグ族(Gugs)は夢の国(ドリームランド)の「魔法の森」の地底深くに追放された、毛むくじゃらの巨大な種族である。かつては森に石の環を築き、外なる神々と這い寄る混沌ニャルラトホテプに奇怪な生贄を捧げていたが、ある夜彼らの犯した忌まわしき所業が地球の神々の耳に達し、地底の洞窟へと追放された[1]。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | 種族(夢の国) |
| 欧文表記 | GUGS(単数形 Gug) |
| 棲息地 | 魔法の森の地底、コスの塔を擁する都市(夢の国) |
| 初出 | 未知なるカダスを夢に求めて(1926–1927年執筆/1943年発表) |
初出作品
グーグ族が登場するのは『未知なるカダスを夢に求めて』(1926–1927年執筆/1943年発表)のみであり、この作品が種族としての初出でもある。
原典での描写
グーグ族は身長二十フィート(約六メートル)に達する巨躯を持ち、全身を黒っぽい毛で覆われている。両腕には二フィート半もある鉤爪付きの太い前肢が付き、頭部は樽ほどの大きさで、目は頭の両側から二インチほど突き出て粗い毛に覆われた骨の隆起に守られている。最大の特徴は頭部いっぱいに縦に開く牙だらけの巨大な口で、上下ではなく縦方向に開閉する[2]。声帯を持たず、表情によって意思を伝え合う[3]。
グーグ族の都市は、直径三十フィートもの戸口を持つ円塔が林立する巨大なもので[4]、コスの印を掲げた中央の塔には、魔法の森へ通じる石段が隠されている。地球の神々の呪いによって、グーグ族自身がこの石の扉を開けて地上へ出ることは決してできないが、塔や石段そのものにはこの制約が及ばないため、逃亡者を石段の上まで追跡することは可能とされる。彼らの墓所は苔むした巨大な石柱の森として夢の国の地底に広がっており、埋葬されたグーグの死骸は食屍鬼にとって一年近くも一族を養えるほどの貴重な食料源になるという。人間の墓を掘り返す手間を考えれば、地底の食屍鬼にとってはグーグの死骸を掘り出すほうが効率がよいとまで語られている。
グーグ族は睡眠中を最も無防備な時間帯とし、その眠りを狙ってガストが穴蔵から抜け出す。両者は「ジンの穴蔵」の暗闇の中で互いに狩り狩られる関係にあり、グーグ族が置く見張りもしばしば居眠りしてガストの奇襲を許してしまう。また、グーグ族は音に非常に敏感な聴覚を持ち、暗闇の中を音もなく進む彼らの気配は、忍び込む者にとって最大の脅威として繰り返し強調される。
ランドルフ・カーターが食屍鬼の手引きでグーグ族の都市を踏破した際は、コスの塔の石段を上って魔法の森へと脱出する舞台としても描かれた。段差が人間には大きすぎるため食屍鬼に助けられながら登る描写や、目覚めたグーグの巨大な手と口が闇の中に浮かび上がる場面は、物音一つで巨大な追跡者が現れかねないという緊張感とともに描かれている。
ダーレス以降の変化
現行の素材にダーレス以降の扱いを裏付ける記述はない。未照合。
TRPGでの扱い
TRPG側の設定は確認できていない。
登場作品一覧
| 作品 | 年 | 作者 | この作品が足したもの |
|---|---|---|---|
| 未知なるカダスを夢に求めて | 1926–1927執筆/1943発表 | H・P・ラヴクラフト | グーグ族という種族の設定のすべて。唯一の登場作[1][2][3][4] |
関連神格・地域・書物
種族
神格
地域
- 魔法の森 — かつてグーグ族が地上で生贄の儀式を行っていた場所。地底からコスの塔の石段を通じて繋がっている
- ジンの穴蔵 — グーグ族の都市に隣接する、ガストとの縄張り争いの舞台
人物
- ランドルフ・カーター — 食屍鬼の案内でグーグ族の都市を踏破し、コスの塔から脱出した『未知なるカダスを夢に求めて』の主人公
参考文献
- [1] “The gugs, hairy and gigantic, once reared stone circles in that wood and made strange sacrifices to the Other Gods and the crawling chaos Nyarlathotep, until one night an abomination of theirs reached the ears of earth’s gods and they were banished to caverns below.”(訳:「毛深く巨大なグーグ族は、かつてかの森に石の環を築き、外なる神々と這い寄る混沌ニャルラトホテプに奇怪な生贄を捧げていたが、ある夜彼らの犯した忌まわしき所業が地球の神々の耳に達し、地底の洞窟へと追放された」) — H. P. Lovecraft, “The Dream-Quest of Unknown Kadath”(1926–1927年執筆/1943年発表), 公式アーカイブ ↩
- [2] “That mouth had great yellow fangs and ran from the top to the bottom of the head, opening vertically instead of horizontally.”(訳:「その口には黄色い大きな牙が並び、頭部の上から下まで走っており、横ではなく縦に開いた」) — H. P. Lovecraft, “The Dream-Quest of Unknown Kadath”(1926–1927年執筆/1943年発表), 公式アーカイブ ↩
- [3] “gugs have no voice, but talk by means of facial expression.”(訳:「グーグ族は声帯を持たず、表情によって意思を伝え合う」) — H. P. Lovecraft, “The Dream-Quest of Unknown Kadath”(1926–1927年執筆/1943年発表), 公式アーカイブ ↩
- [4] “This was the great city of the gugs, whose doorways are thirty feet high.”(訳:「これがグーグ族の巨大な都市であり、その戸口はどれも高さ三十フィートに達していた」) — H. P. Lovecraft, “The Dream-Quest of Unknown Kadath”(1926–1927年執筆/1943年発表), 公式アーカイブ ↩
FAQ
Q. グーグ族はなぜ地底に追放されたのですか。A. かつて魔法の森で外なる神々とニャルラトホテプに奇怪な生贄を捧げていたところ、ある夜その所業が地球の神々の耳に達し、地底の洞窟へと追放されたとされる[1]。
Q. グーグ族は自力で地上に出られますか。A. 出られない。地球の神々の呪いによって、地上へ通じる石の扉を自分たちの手で開けることは決してできないとされる。ただし塔や石段そのものにはこの制約が及ばないため、逃亡者を石段の上まで追跡することは可能とされる。
Q. グーグ族とガスト・食屍鬼はどう違いますか。A. いずれも夢の国の地底に棲むが別種である。ガストはグーグ族の眠りを狙う捕食者で、両者は「ジンの穴蔵」で互いに狩り狩られる関係にある。食屍鬼はグーグ族の墓所を暴いて死骸を食料とする種族で、原典ではランドルフ・カーターの案内役として敵対しない立場で描かれる。
Q. グーグ族はダーレス以降の作品やTRPGでどう扱われていますか。A. 現行の素材ではダーレス以降の扱いもTRPG側の設定も確認できていない。
Q. グーグ族が登場する作品は何ですか。A. 『未知なるカダスを夢に求めて』のみである。





